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 本日は日曜日なので、何となくコラムっぽくしてみました。

ヒューマニスティック:人間らしいさま。人間的。

 最近、その道(経済)のプロの方々とお話しする機会が多く、色々と気づかされたため、まとめてご紹介します。

 まずは、二回ほど取り上げた堂免信義氏の「日本を滅ぼす経済学の錯覚」。本書の中で、堂免氏が、
「日本政府は財政破綻して、IMF管理下になる!」
 と、物凄い電波論を唱えていたことはご紹介しましたが、氏はすでに、この説を撤回されたそうです。普通に考えればそうなるので、当たり前といえば当たり前です。
 とは言え、一度、書籍に残ると、人々の元に届いた情報を全て回収することはできません。そうである以上、情報を発信する企業に勤める人は、一般企業以上に社会的責任感を持たなければならないと思うわけです。(はい。自戒ついでに、マスメディアの皆さんに言っています。)
 
 先日、FXCMジャパン様のWeb対談セミナーに出た際に、わたくしは以下の主旨の発言しました。

「対外純資産国の『負債』とは、結局『誰が借りているか』の問題に過ぎない。現在の日本は政府が借りているが、それは単に日本国内の民間企業が負債を増やさないからである。今後、景気が回復すれば、民間の資金需要が増えていくことになる。すなわち『民間企業』の負債が積み上がっていくわけだが、そうなると、今度は国内マスメディアは『企業の借金が信じられない水準に積み上がっている!もはや破綻だ!』と叫ぶのだろうか?

国内銀行 貸出金・実質預金・預金超過額 (単位:十億円)
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_23.html#Kashidashi01

 上記のグラフの通り、国内銀行は預金超過額(わたくしたちの預金のうち、企業などに貸し出しきれなかった額)の運用難から、国債を買っています。逆の言い方をすれば、政府が借りているわけです。
 これがもし、民間企業の資金需要が高ければ、預金超過額は生じず、銀行は国債を買う必要はありません。同時に、民間企業の資金需要が高いとは、これはすなわち好景気ですから、景気対策が不要になり、税収も増え、政府の方もそもそも国債を発行する必要がないわけです。
 すなわち、「預金超過額発生⇒政府の借金が増える」「預金超過額減少⇒民間企業の借金が増える」というだけの話なのです。
 
 これが上記の「『企業の借金が信じられない水準に積み上がっている!もはや破綻だ!』と叫ぶのだろうか?」に繋がるわけですが、これを聞いたある方のご指摘。
「政府の借金が増えない状況では、民間企業の借金が増える。全くその通り。しかし、一般国民は民間企業の借金がどれだけ莫大になっても、全く気にしない。なぜならば、政府の借金は自分に関係があり、民間企業の借金は無関係と思っているからだ」
 これを聞いて、
「う~ん・・・」
 と思ってしまったわけです。
 現実には、政府と民間企業では、明らかに民間企業の方がデフォルトリスクは高いわけです。民間企業のデフォルト(債務不履行)など頻繁にありますが、政府のデフォルトは「外貨建て対外債務」の場合に限り、数年に一度発生するレベルです。しかも、あのジンバブエでさえ、政府の借金が対内公的債務であったため、デフォルトは起こしていないのです。
 それでも、人々はデフォルトがあり得ない自国政府の借金の心配をして、デフォルトがあり得る企業の借金の心配は全くしない。なぜでしょうか。

 答えは、人間だからです。

 たとえ論理的に正しい、あるいは現実として正しい意見であっても、「人間的に思ってしまう」という壁は簡単には突き崩せないのです。この「人間的(ヒューマニスティック)」な問題をクリアしていくことが、今後の課題になると、そのとき思いました。

 もう一つ例を出しましょう。
 政府の負債残高を問題視する人は、よく、
政府の借金が増えれば、金利の支払が莫大になる。だから破綻だ!
 などと叫びます。
 しかし、よくよく考えてみると、「金利の支払」と言っても、それは国内の銀行など、金融機関に支払われるわけです。金利収入は不労所得なので、金融機関の「利益」に積みあがり、経常利益(及び税引前利益)を押し上げた挙句に「課税」されます。法人税は40%くらいなので、政府が銀行に支払った金利の四割は、結局「法人税」として、政府に戻ってきてしまうわけです。
 しかも残りのお金にしても、金融機関が支払う給与としてフロー拡大(個人消費など)に貢献するか、あるいは内部留保され、再び国債購入に使われることになります。あるいは好景気ならば、企業に貸し出されてフロー拡大(民間企業設備投資など)に貢献することになるわけです。
 フローが拡大すれば、政府の公的債務対GDP比率が下がりますので、政府の借金問題は優先順位が下がっていきます。結果、国債の利払いについて気にする人はいなくなるでしょう。
 
 要するに「永久に継続する」「徴税権がある」「通貨発行権がある」政府の問題を、家計のやりくりと同じ感覚で捉えようとするから間違っているわけです。
 とは言え、まさにこの「家計のやりくりと同じ感覚」で捉えてしまう行為こそが、まさしく「ヒューマニスティック」なのです。
 たとえロジックとして正しかったとしても、
「いや!政府は金利の支払が莫大になるから、破綻する!」
 と頑なに主張する人々の前には、「ヒューマニスティックな問題」という壁が立ち塞がっており、今後はこれを突き崩すメソッドを開発していかなければならないようです。

 そう考えると、「日本は輸出依存度が高い」の嘘を修正するのに、
日本だけが旧来型の輸出依存の成長は、現実的ではない。」(参考:http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-10241698679.html  )
 という表現を用い、「ヒューマニスティックな問題」の壁を崩そうと試みた麻生首相は、改めて凄い人だなあと思いました。

「ヒューマニスティックな問題」に色々と納得された方は、
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