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 まさか今度は「55ページ切り」をしてくるとはっ!(分かる人はため息を付くけど、分からない人にはまるで分からない挨拶)

 告知系が増えてきたので、上部にまとめました。
 さて、本日のタイトルは「バランスシート不況の世界」となっています。バランスシート不況とは、ご存知、リチャード・クー氏が命名した、バブル崩壊以降に日本経済が陥っていた状況です。

『日本は橋本政権下の増税と小泉政権下の「国債発行額を三○兆円以内に抑える」と過去に二回大規模な財政再建を行ったが、両方ともものの見事に失敗したことはご記憶のとおりである。橋本政権では、あれだけ税率を上げ、それまで続いていた減税措置を撤廃し、大型補正予算を見送ったにもかかわらず、財政再建が進む前に経済の方が先に崩壊し、税収も激減、結果的には財政赤字はほぼ倍増してしまった。まさに泣きっ面に蜂という惨憺たる状況となってしまった。もしもあの時、橋本首相が何もしないで首相公邸でプラモデルでもつくっていれば、日本は何百兆円もの政府債務の発生を防げたであろう。(中略)
 小泉内閣は就任当初、国債発行額を三○兆円に抑えようとした。家計が貯金して企業か借りないお金が三○兆円以下であれば、それでも何の問題もないが、あの時はITバブルが崩壊した上に「九・一一テロ」があり、デフレ・ギャップは三○兆円よりも大きくなっていた。ところが小泉首相が、「国債発行は三○兆円しかやらない」と公約したものだから、政府は三○兆円までしか民間の過剰貯蓄を所得循環(三橋注:GDPのこと)へ戻せず、戻せなかった部分から景気が大幅に悪化し、株価も二○○三年には結局七六○七円まで落ち込んでしまった。
 そこで、あの頑固な小泉首相も二○○三年になると、もうどうしようもなくなって国債発行枠三○兆円という公約を放棄したが、そのとたんに今度は税収が増えて赤字が減っていた。(中略)
 バランスシート不況の世界は、通常の世界とはまったく逆の現象が起こるのである。』

 上記は廣宮氏やわたくしの著述ではありません。「バランスシート不況」について書いた、リチャード・クー氏の「日本経済を襲う二つの波(P242~)」からの抜粋になります。

【日本の名目GDP成長率、実質GDP成長率 1995-2008】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_19.html#GDP9508

 日本のGDP成長率は、バブル崩壊以降に二回の底を迎えています。すなわち、1998年と2002年です。
 リチャード・クー氏はこの両年の日本経済の底について、橋本政権、及び小泉政権の緊縮財政の結果であると説明しています。実際、数字を見る限り氏の見解は裏付けられています。(政府が増税し、政府支出を減らした結果、経済が悪化し、却って政府の負債が増えた。)
 ところで、引用の最後に「バランスシート不況の世界は、通常の世界とはまったく逆の現象が起こるのである。」とありますが、それでは「通常の世界」とは何でしょうか。通常の世界とは、いわば「クラウディング・アウトが成立する世界」と言っていいでしょう。
 クラウディング・アウトとは「政府がお金を借りるのをやめれば、代わりに民間が効率的に使い、経済成長率が高まる。逆に、政府が財政赤字を増やすと、民間の貯蓄を政府が吸い上げ、金利上昇を招き、民間が資金を借りられなくなった結果、経済効率が悪化する」というロジックです。
 確かに、「政府が負債を増やす⇒民間の資金を吸い上げる⇒金利上昇を招く⇒民間がお金を借りられなくなる」というのは、ロジックとしては一応成り立っています。しかし、これには大前提があるわけです。すなわち、
「民間が資金を借りたがっている」
 この前提が成立していない限り、クラウディング・アウトは成り立ちません。
 金利をゼロにしても民間が資金を借りたがらない世界では、政府が負債を増やそうが、金利は上昇しません。(これに反論する人は、政府の負債が増えている日本の国債金利が、長年、世界最低を維持している点について、きちんと説明しなければなりません。)
 そしてこのとき、もしも政府が負債を増やすことに躊躇し、自ら支出を拡大しようとしなければ、「誰もお金を借りない。誰も支出しない」という恐るべき事態を到来させ、経済は恐慌に突入することになります。
 実際、1929年に始まった世界大恐慌は、アメリカのフーバー政権が膨れ上がる政府負債残高に肝を冷やし、政府支出を絞り込んだ結果、最終的なカタストロフィに突入しました。


 さて、「日本経済を襲う二つの波」において、リチャード・クー氏は政府支出を拡大し、GDPを下支えし続けた日本政府を基本的には誉めています。が、それでも上記二回の「財政再建」については、滅茶苦茶に貶しています。数字上、日本経済の回復を逆進させたことは間違いないので、批判されても当然だとは思います。
 要するに、バランスシート不況下では「景気回復やデフレ脱却が明確になるまで(いや、なっても!)、緊縮財政は厳禁!」ということなのです。
 現在、かつての日本と同様にバランスシート不況に突入したアメリカが、非常に不穏な情勢になりつつあります。

米財務長官:国債発行上限、議会は「できるだけ早期に」引き上げを
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=infoseek_jp&sid=aa8dBB0OV1ec
 ガイトナー米財務長官は議会にあてた7日付書簡で、国債発行の法定上限を「できるだけ早期に」引き上げるよう求めた。(後略) 』

FOMCゼロ金利維持 国債買い取り10月末に終了
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090813-00000509-san-bus_all
 米連邦準備制度理事会(FRB)は11、12の両日開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を、現行の0-0・25%の範囲に据え置くことを決定した。また、信用緩和策の一環で続ける総額3000億ドルの米国債の購入を徐々に鈍化させて、10月末までに完了させる方針も決めた。(後略)』

米新車購入助成、24日で終了=開始1カ月で予算払底
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090821-00000023-jij-int
 ラフード米運輸長官は20日、低燃費車への買い替えに最大4500ドル(約42万円)を支給する新車購入助成制度について、8月24日で終了するとの声明を発表した。同制度には予想を上回る申し込みが殺到(中略)
 7月の米小売売上高では部品を含む自動車が前月比2.4%増加するなど大きな効果を上げた。政府関係者は「目的は達成された」とし、延長計画はないとしている。』

 上記の通り、アメリカの「国債発行」「財政支出」「国債買取」のパッケージの継続について、微妙な報道が相次いでいます。同じ時期、中国の「54兆円景気対策!」に基づく公共投資の予算も底をつくことになります。
 世界各国が、日本の橋本政権や小泉政権の轍を踏みそうな気がしてならないわけです。

世界経済、冗談抜きで(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル と思った方は、
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