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 一体、どうしたのでしょうか。中国の「最悪の輸出品(虚偽統計)」関連のニュースが、立て続けに出てきています。
 まずは、最も衝撃的だった産経新聞の報道から。(情報提供 天照様 多謝!)

中国GDP水増し疑惑、語るに落ちた?マイナス発表の山西省を表彰
http://sankei.jp.msn.com/world/china/090809/chn0908092005003-n1.htm
 【上海=河崎真澄】中国国家統計局が今年1~6月の国内総生産(GDP)に関する31の省級行政区ごとの集計作業で、唯一マイナス成長を発表していた山西省を、「実事求是(事実の実証に基づき真実を追求する)の精神がある」として、異例の表彰を行っていたことが明らかになった。上海紙、東方早報などが9日までに統計局の情報として報じた。
 1~6月のGDPをめぐっては、31の行政区が発表した地域ごとのGDPを合算すると全国統計の総額より約10%も膨らんでいた。GDP成長率でも、当局発表の全国平均が前年同期比で7・1%だったのに対し、平均値を下回ったのは山西省を含む6行政区にすぎず、当初から統計の“水増し”が指摘されていた。
 これを受けた今回の山西省への表彰は、他の地域の統計に何らかの操作があったことを統計局が暗に認め、改善を促した形だ。
 中国では1958年に毛沢東が農工業の大増産を指示した「大躍進政策」で、単位面積あたりの農産物生産量や地域ごとの鉄鋼生産量などが競われ、地方幹部らが極端な虚偽報告を繰り返した。そうした無謀な経済政策の結果、地方が疲弊し数千万人の餓死者を出したという“前科”がある。
 GDPは地方幹部の人事考課の重要な材料となってきたが、地方政府だけでなく、統計局のデータに関してもこのところ、失業率の低さや平均賃金上昇幅の大きさが現実離れしているとの批判が高まっている。』

 内容に入る前に、この産経の記事、Yahoo!配信版とタイトルが違うんですよね(笑
 Yahoo!に掲載されたものは、以下です。

中国GDP水増し疑惑 現実離れしたデータ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090809-00000568-san-int

 内容は全く同じなのですが、何でここまでタイトルが違うのでしょう。と言うか、どちらがオリジナルなのでしょうか。色々と考えさせられます。
 新聞を庇う人がよく言います。
「新聞は見出しでそのニュースの重要性がわかる!」
 いや、むしろ記者や編集者が勝手に「自分好み」のタイトル(見出し)をつけるので、購読者はウンザリするわけです。
「中国GDP水増し疑惑、語るに落ちた?マイナス発表の山西省を表彰」
 と、
「中国GDP水増し疑惑 現実離れしたデータ」
 では、読む人の印象がかなり変わってしまいます。「見出しをつける」という単純な作業であっても、「世論操作」そのものになる可能性があるわけです。

 さて、中国の上半期の経済成長率は7.1%(と発表された)でしたが、各地方のGDPを発表すると、全国統計の総額と10%以上もの乖離が生じてしまったわけです。10%といえば、日本なら50兆円以上もの乖離ということになりますので、洒落になりません。
 ここで一つ、疑問が生じるのですが(実は、以前から疑問だった)、地方の統計が無茶苦茶上乗せされ、実態よりもはるかに膨らんだ報告が送られてくるとして、それ以前にその比較基準となる「全国統計」のGDPは、果たしてどのように集計されているのでしょうか。
 GDPとは、普通は各地域のものを総計し、そこに中央政府分を上乗せすることで「全国統計のGDP」が算出されるものかと思っていました。特に、日本の場合は、各地域のGDPの合計値が、全国統計を下回る(中央政府分が入っていないため)ので、全国統計のGDPとは「積み上げ」で計算されると考えていたわけです。
 と言うか、地方の統計と無関係に全国統計のGDPを集計できるのならば、わざわざ地方官僚にインチキ統計を報告させる必要はないような気がするのですが。
 何でこんなことを言っているのかといえば、1990年代の(いつかは忘れましたが、震災があった年です)GDP発表時に、中国政府が「二桁成長」で発表しようとした数値を、朱鎔基が、
「震災でこれほどまでに被害が出ているのに、こんな(二桁成長)数値を発表できるわけがないだろ! 少し下げろ」
 と、GDP成長率を9%台に落として発表させたという逸話を思い出したからです。
 結局何が言いたいのかといえば、中央政府だろうが地方政府だろうが、中国が発表した統計は信用できない。という、至極まっとうで当たり前すぎる結論になるわけですが。


 以下、中国の最悪の輸出品関連の報道を、まとめてどうぞ。

超優秀?それともでたらめ?13億人の経済統計を15日間で作成―中国
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=33698
 2009年7月22日、中国国家統計局の関係者は、米シンクタンク研究者が提起した「疑惑」に反論、中国がきわめて短期間に正確な統計を発表できるのは優れた制度を構築したためだと主張した。23日、中国日報が伝えた。
 17日、米シンクタンク・ヘリテージ財団ウェブサイトはDerek Scissors研究院の署名記事を掲載した。記事は「中国経済は変化に富み複雑なものだが、国家統計局はわずか15日間で13億人の経済情勢を調査し発表している」と皮肉り、同局のデータは「共産党のニーズに合わせて作り上げられたもの」とまで断定している。
 一方、国家統計局関係者は「中国は10万人が調査や関連業務に従事する優れた制度を構築し、月末や四半期末から15日間で統計データを発表できる体勢を整えた」と反論した。』

 なんだか、中国の「統計不信」に対する回答が、徐々に喜劇性を帯びてきていますね。チャップリンを思い出すまでもなく、独裁政権や共産党政権は、端から見ると喜劇そのものになってしまうのですが。金正日の北朝鮮の喜劇っぷりには、吉本新喜劇もかなわないでしょう。
 いずれにせよ、「十万人が従事する優れた制度」とやらが果たしてどのようなものか、そのうちディスクローズしてくれるものと期待しております(棒

中国“統計の怪”…地方別GDP合計、全国値19兆円超過
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=0803&f=business_0803_068.shtml
 3日付京華時報によると、中国各省(中央直轄市・民族自治区)が発表した2009年上半期(1-6月)のGDPの合計が、国家統計局が発表した同期の全国GDPを1.4兆元(19兆円)上回っていることが分かった。(中略)
 しかし、京華時報は葉教授の説明だけでは納得できないと論じた。「分かる人は分かっている。原因は各地方政府の“ほら”にある」として、「経済指標が全国平均を上回ったことにしたいからだ」と断じた。中国では、共産党中央や国務院が、各地方の党・政府幹部の「成績考課」を行う。経済運営の優劣は、重要な項目のひとつだ。京華時報は「多くの地方政府が、経済指標をよくする口実を探している」、「地方政府への信頼を損ね、誤った数字が政策決定に悪影響を及ぼす」などと批判した。
 なお、あからさまな数字の操作が発覚した場合には、処分・処罰の対象になる。そのため、指摘された場合には「統計手法上の問題点だった」と言い訳できるよう、成績の水増しが巧妙化している可能性もある。
 京華時報は、葉青教授が「地方政府による数字の意図的操作」に言及しなかったことについて、「調べたところ、教授は湖南省の統計局副局長でもあった」、「なるほど、これで分かった」などと皮肉った。』

 何というか、韓国の新聞は日本人にとって鬱陶しいユーモアのセンスを発揮しますが、中国の報道のセンスは結構、同意できることが多いですね。
 「全く笑えない」という部分だけは、両者とも共通しているのですが。

最後の一文に思わずうなずいちゃった方は、

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