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 Voice+で中国経済に関して(主に「中国の最悪の輸出品」について)連載していますが、単行本化のスケジュールの都合上、わたしは最終回となる「第4回 内憂外患」について入稿してしまています。えてして、こういうタイミングで面白いネタが舞い込んで来るのです・・・orz (以下、情報提供、書きお越しNO様)

中国動態 「データ不信の払拭狙った統計法の改正が骨抜きに」 2009年7月25日 週間東洋経済(P116-117)
 国内外の統計不信を解消させるために、全人代での採決を急いでまで成立させた改正統計法。だが、改革の目玉となるはずだった各省庁の既得権の解体や人事面での抜本策は実現できず、その内容は骨抜きにされた。(中略)
-統計不信の払拭へ虚偽への処罰厳格化-
 今年4月に中国の09年第一四半期GDP成長率が発表されると、国際エネルギー機関(IEA)は石油消費の減少との矛盾を指摘。米ウォールストリート・ジャーナル紙も電力消費の減少と工業生産増加の矛盾を指摘した。国内からも同様の疑問が出ている。
 それらに対して、国家統計局は反論しているが、不信感を払拭するには至らなかった。
 政府当局は統計法改正によって対外的には統計不信を払拭することを、国内の統計関係者には法的手段により虚偽統計を抑制することを狙っているようだ。
 国家統計局の馬建堂局長は今回の統計法改正の目的について、虚偽統計の予防や処罰に向けて法制度の改善を進め、統計数値の質向上を図るために、有力な法的保障を提供することだと説明している。
 改正の主要なポイントとしては、
行政干渉の防止、
統計責任の明確化、
虚偽行為への処罰の厳格化、
 の三つが挙げられる。(中略)
 政府部門と公務員に対する警告や行政処分などの罰則はあいまいさが残るものの、検察当局と行政管轄部門を介在させることで、処罰には一定の効力を持たせた。
 そのため、国家統計局前副局長の賀鏗氏は「それなりの進歩があった」と評価している。
-途中で消された法改正の目玉条項-
 ただし、草案審議段階で目玉とみられた「統計公表の一元管理」と、「垂直人事体制」は途中で消えた。
「統計公表の一元管理」が挫折した背景には、各官庁の既得権益がある。『経済観察報』の報道によると、最も正確かつ詳細な新車販売台数のデータを持っているのは、統計局や自動車協会ではなく、ナンバープレートを発行する公安局だ。ただし、このデータは一般公開されず、無錫にある公安系の企業によって高価で販売されているという。
 また、地方政府による統計の虚偽行為を防ぐため、草案では「県以上の地方政府の統計部門と、郷と鎮行政レベルでの統計要員管理体制は国務院が決め、人事定員枠は中央政府が統一決定する」、いわゆる「垂直人事体制」が検討されていたが、結局、幻の案となってしまった。
 「垂直人事体制」は、地方の統計機関にとどまらず、現行の行政体制の根幹を揺るがす恐れがあるため、政府が改革の「行き過ぎ」を懸念したのではないかと推量できる。
 「官出数字、数字出官」(官僚は数字を作り出し、数字は官僚を生み出す)という言葉が中国にはある。今回の統計法改正による処罰厳格化には、「官出数字」抑制に一定の効果があると評価したい。だが、根本的に統計不信を払拭するには、統計に幹部の業績評価の役割を持たせる人事体制を見直すべきだろう。』


 Voice+にも書きましたが、中国は以前から電力消費量と成長率や工業生産の乖離を指摘され、意味不明な言い訳を繰り返してきました。これは最近始まったわけではなく、1997年のアジア通貨危機の頃からです。(多分、その前にもあったのでしょうが、わたくしは存じません。)
 さすがに不味いと思ったのか、中国共産党は統計法改正により不正を減らそうと試みたわけですが、目玉であったはずの統計公表の一元管理、及び垂直人事体制は実現できませんでした。
 この記事では「中国の最悪の輸出品」について、様々なポイントを明示してくれています。
 例えば、「官出数字、数字出官」です。すなわち、中国では統計を共産官僚が「作成し」、作成された統計により官僚が出世するという、毛沢東時代から全く改善されていない問題です。中国の地方共産官僚の出世は、彼らが提出する統計「数字」に掛かっているため、現実は無視して「出世に必要な」数字を送ってくるわけです。
 また、中国は未だに「GDP至上主義」を取っているため、質を無視してひたすらフローの拡大に走る傾向があります。
 よく言われますが、橋を壊して作ることを繰り返すと、GDPはその度に増えていきます。(ただし、ストック面(固定資産)は変わらないわけですが) もちろん、環境破壊がどれほど深刻化しようとも、GDPが減るわけでも何でもありません。逆に、環境に考慮し開発の手を緩めると、フローの拡大ペースは緩んでしまいます。
 中国の「官出数字、数字出官」は、「最悪の輸出品」により海外に迷惑を掛けるのみならず、国内の生活環境をどんどん破壊していっているわけです。
 また、Voice+では取り上げることができなかったのですが、中国では「統計数字」が「利権」と化しています。
 中国の新車販売台数に関する正しい統計データは、公安局しか掴んでおらず、
「1車種あたり1年間のデータは約40万元。秘密を厳守することが条件」
 で「販売」されています。(続々 中国の最悪の輸出品 http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-10237538467.html
 公安が「販売する」というのは、利権王国中国のことであるから分からないでもないですが、「秘密厳守」というオマケがついてくるわけです。しかも販売するのが「中国の公安」ですから、買う方はびびるでしょう。


 中国では統計データだけではなく、医療や司法なども利権化しています
 毛沢東時代も「官出数字、数字出官」は変わりませんが(おかげで何千万人も死にましたが)、少なくとも現在のような金権主義的な状況はありませんでした。(かつての中国では毛沢東本人以外は、金持ちになることはできませんでしたので。
 鄧小平の改革開放により、かつての清帝国末期のような凄まじい金権・利権社会が蘇ってしまったわけです。結果、中国の大衆(非共産党員や民工)の間では改革開放に対する恨みが満ち始めています。
 ここからが非常に中国らしいのですが、鄧小平の改革開放を恨み、どのような社会を中国人が望むかといえば、民主主義ではありません
 何と現在の中国では、毛沢東を神格化し、毛沢東時代への回帰を夢見る人々が急速に増えていっているのです。
 結局のところ、中国は今も昔も絶望の大国なのです。熱狂的な毛沢東信奉者が増加していっているという話を聞き、わたくしはつくづくと思ったわけです。


「民主主義より毛沢東!」という中国人のメンタリティに絶望感を覚えた人は、

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