新世紀のビッグブラザーへ blog-日本の田植え祭

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三橋貴明診断士事務所  を開設しました。お仕事のご依頼はこちらから 
Klugにて「三橋貴明の『経済記事にはもうだまされない』」連載中

Voice+で中国経済に関して連載中


「新世紀のビッグブラザーへ」をお買い上げ頂いた皆様へのお願い
 「新世紀のビッグブラザーへ」は、内容に政治色が極めて強いため、これまで以上にアンチな方々が沸いてくることが予想されます。
 つきましては、今回はあえて掲示板を設けず、感想は以下のamazonのカスタマーレビューにお書き頂きたくお願い申し上げます。
http://www.amazon.co.jp/dp/4569771416/  
 ご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。(三橋)


 昨日、Ameba側のPCのUUだけで16,200人を突破しました(新記録です)。これに携帯(PVで12,000超)、Yahoo!(UUで10,000人くらい)を合計すると、どうなんでしょうか。UUで30,000にはさすがに達していないと思いますが。
 昨日同様に、この25,000人を上回るUUの皆様に向け、一日だけでもブログ更新を代行して書いて頂ける方を募集します。テーマは、そうですね。「政治」「メディア」もしくは「経済」で。(広っ!

 本日は、黒い韓国こと「完全にヤバイ!韓国経済」の発売日です。
http://www.amazon.co.jp/dp/4883927008/
 本書は事実上、代表戸締役様こと渡邉哲也氏の処女作となっています。(共著のわたしが担当したのは、三分の一くらい)
 特に戸締役様のご担当された部分は、「ハゲタカ(ファンド)にしゃぶり尽された韓国」「リーマン破綻の引き金を引いたのは韓国?」「韓国外貨準備のナゾ」「KIKO」「タンカー事故で貿易不能?」などなど、韓国経済における面白ネタ満載になっています。(わたしの方は、やや固いかな?)

 ちょっと面白いニュース。

出版8社が「責任販売制」を導入 懸案の返品率抑制に期待
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090706-00000588-san-soci
 出版不況の中、業界の売り上げ減や返品増の現状を打開しようと、筑摩書房や中央公論新社、河出書房新社など東京都内の中堅出版8社は6日、都内で会見し、現行の「委託販売制」に変わる新しい販売システム「35(さんご)ブックス」の導入を発表した。出版不況のなか、書店の利益確保に貢献し、出版社の利益を圧迫してきた返品率の改善が目的という。
 新制度では、店側の定価に占める取り分(マージン)を、現行の22~23%程度から35%に引き上げる代わりに、売れずに返品となった際には、書店側も一定額を負担する。現行は、仕入れ値と同額での返品が可能で、書店側に不利益は生じなかった。しかし、新制度では返品の際、出版社は書店から定価の35%でしか引き取らない。書店からの注文をもとに、部数を決めるという。(後略)』

 実は、意外に知られていませんが、日本の書店に並んでいる本は「返品可能」となっています。そのため、大量に書籍を印刷し、書店に(取次ぎ経由で)突っ込んでも、数ヵ月後にはほとんど返品されてしまうケースが普通にあるのです。
 また、書店の側も、「返品ができる」という事実に甘え、あまり真剣に本を売ろうとしないという傾向が、やはりどうしてもあるそうです。しかも、酷いときには書店に納品された書籍について、担当者が面倒くさがって封さえ解かず、書籍を店頭に並べず、返品時期が来たらそのまま箱ごと送り返すケースさえあるとか何とか。
 過去に、ある出版社が試みに「買取制(但し、本屋のマージンは高い)」で本を卸したところ、本屋店頭における販売率が激増したそうです。書店の店員さんも人間ですから、
「売らなければ、損をする」
 という状況になれば、売り切るために様々な工夫を凝らすわけです。逆に言えば、委託販売(返品可)では、凝らさないというわけですね。
 冒頭の記事は、返品率を改善し店頭における販売率を高めるために、八社の出版社が高いマージンと引き換えに、書店に「半買取制」を共同で提案しています。この試み自体は素晴らしいと思いますが、イギリスで過去に業界全体で「委託販売制⇒買取制」の切り替えを行ったところ、店頭に並ぶ本の数が激減し、結局、委託販売制に戻さざるを得なかったという事例がありますので、留意が必要だとは思います。


 さて、書籍や雑誌などは独占禁止法で禁じられている「再販売価格維持」について、一定の要件の元に容認している「再販制度」の対象となっています。
 書籍や雑誌の場合は、上記「委託販売制」を根拠に、書店側に再販売価格維持をさせることを認めているわけです。すなわち、委託販売とは実質的には書店ではなく、「出版社」が書店の軒先を借りて本を売っていると見なしているため、再販制度が成り立っているわけですね。
 書籍販売が買取制に移行した場合、出版社の再販価格維持は認められないでしょう。在庫リスクなどを書店サイドが負うことになるので、当然です。

 ところで、日本で再販制度(独占禁止法が禁じる再販売価格維持について、例外的に認める)の対象となっているのは、書籍、雑誌、新聞、音楽(CDなど)の四つです。この四つ全てについて全て再販制度を適用しているのは、主要国の中では日本しかありません。(ちなみに、アメリカは一つも適用していません)
 この四つの再販制度適用商品の中に、一つだけ制度が極めて強烈な仕組みになっており、
「あ、あ、あ・・・、あり得ねえ~っっ!!!!」
 と思わず叫びたくなるものがあります。それは、新聞です。
 新聞は、再販制度が適用されている上に、さらに「新聞特殊指定」という独占禁止法の例外措置が適用されており、他の三つと比べても異様に閉鎖的な商慣行になっているのです。
 書籍や雑誌、それに音楽CDなどの再販制度は、あくまで独占禁止法の「例外措置」なのです。そのため、書店などによっては再販制度を守っていない、すなわち定価未満の価格で販売しているところも存在しています。(例:amazon.co.jp)キャンペーンなどの場合に、割引価格で販売するケースなどもあります。
 冒頭の「責任販売制」の場合も、ほぼ間違いなく「例外措置」を認められないでしょう。すなわち、出版社側が書店に「定価で売って」と指示することはできないのです。(もし責任販売制の下で定価販売を出版社が指示したら、パーフェクトな独禁法違反になると思います。)
 ところが、新聞の場合は「例外なく定価以外の販売ができない」という、異常極まりないルールになっているのです。新聞特殊指定の概要を、以下にご紹介しましょう。

1.新聞発行本社が、多様な卸売価格を設定することを禁止する。(相手によって卸売価格を変更してはならない) (注:学校一括購入などは例外)
2.新聞販売店が、多様な小売価格を設定することを禁止する。(相手によって値引き販売などをしてはならない
3.新聞発行本社の押し紙行為の禁止

 3の押し紙禁止ですが、建前上は「押し紙をしないから、新聞販売店は定価以外の販売はしてはダメよ」という理屈になっているわけです。(現実には、守られていないのですが。)
 この新聞特殊指定ですが、例えば押し紙に苦しむ販売店が、余った新聞を割引価格で叩き売ることすら認めていません。(建前上は押し紙は存在しないことになっています)
 あるいは、競合他紙からシェアを奪うために、販売店が新聞代を割り引く行為すら禁止です。
 さらに、変な話ですが、新聞発行本社の方がキャンペーン期間などを設け、自紙を安く販売して競合からシェアを奪い取る行為までもが禁止なのです。例えば、経営不振に苦しむ毎日や産経が、割引価格で読売や朝日に価格競争を仕掛けることすらできないのです。

 ポイントがお分かり頂けるでしょうか。
 書籍や雑誌などは「委託販売制」の下で、
返品認めるなら、まあ、出版社側が定価を指定しても構わないよ
 と、独占禁止法の「例外」になっており、本来的には出版社は書店に定価販売を強制することはできないのです。
 ところが、新聞の場合は「定価販売を強制」しているわけです。何しろ、新聞社同士の価格競争すらできないのですから。(どうしても価格競争をしたいならば、産経新聞のように、新聞社本体が定価を下げるしかない)
 すなわち、新聞産業とは「市場における価格競争」を法的に拒否している業界ということになります。
 こんな連中に、
市場競争こそが大切だ
 とか何とか、言われたくありません、実際。
 ちなみに、公正取引委員会は、さすがにこの新聞特殊指定を問題視し、2006年に指定を取り消そうと試みました。しかし、新聞業界は政治家を巻き込み、特殊指定取消に反対する大キャンペーンを展開し、最終的には公正取引委員会を挫折させたのです。このとき、自民党(他党も絡んでいましたが)側で窓口を努めたのが、元日経新聞記者の中川秀直になります。

 なぜ新聞産業が市場競争を拒否しているのか。その辺を、現在、次回作の「インターネット・メディア(仮)」に書いているわけです。
 いずれにせよ、今後、新聞紙面で「市場競争がどうのこうの」という記事を見かけたら、
「まず、お前が競争しろよ!」
 と大きな声で突っ込んであげましょう。


新聞産業の偽善ぶりに唖然とした人は、
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