新世紀のビッグブラザーへ blog-日本の田植え祭

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Klugにて「三橋貴明の『経済記事にはもうだまされない』」連載中

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「新世紀のビッグブラザーへ」をお買い上げ頂いた皆様へのお願い
 「新世紀のビッグブラザーへ」は、内容に政治色が極めて強いため、これまで以上にアンチな方々が沸いてくることが予想されます。
 つきましては、今回はあえて掲示板を設けず、感想は以下のamazonのカスタマーレビューにお書き頂きたくお願い申し上げます。
http://www.amazon.co.jp/dp/4569771416/  
 ご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。(三橋)


 今時、珍しいとさえ言えるレベルの面白記事を、毎日変態新聞が書いてくれました。(コメント欄に情報書き込んで頂いた皆様、ありがとうございました。)
 
選択の手引:’09衆院選 どうする消費増税(その2止) 財政再建の方途は
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090628ddm003010158000c.html
(前略)消費税上げ不可欠、受益の姿も示せ--森信茂樹氏・中央大法科大学院教授(租税法)
 国内総生産(GDP)に対する債務残高の比率を見れば、主要先進国で日本の財政状況が最悪であるのは間違いない。ここ数年はっきりした問題は、国債のほぼ全額を国内で消化することはもはや難しく、海外の投資家に頼らざるを得なくなってきたことだ。
 貯金で暮らす高齢者が増え、貯蓄率は低下した。輸出の伸び悩みで経常黒字も縮小し、国内の余剰資金は国債投資に回らなくなってきた。海外の投資家を引きつけるためには金利を上げて金融商品としての魅力を高める必要があるが、金利上昇は国債の利払い費の増加と、財政の硬直化を招いてしまう。
 金利が上がれば景気回復の足かせとなる。日本経済にとり、巨額の財政赤字は最大の弱みだ。政府が財政再建への取り組みを緩めれば、市場で金利が跳ね上がる事態がいつ生じてもおかしくない。市場という「外圧」が働く前に、深刻な財政問題について政治は国民に警告を発するべきだ。(後略)』

 とりあえず、国債の記事書くときに、租税法の専門家を連れてくんなw 日刊ゲンダイですかw
 というのは置いておいて、この記事って、もしかして中央大の森信教授のコメントは二割くらいで、残りの八割は毎日変態記者の個人的な感想文ではないでしょうか。そのくらいレベルが低い記事です。
  
「ここ数年はっきりした問題は、国債のほぼ全額を国内で消化することはもはや難しく、海外の投資家に頼らざるを得なくなってきたことだ」
 なぜ国債金利が世界最低の国が、国債の国内消化ができなくなるのでしょうか。それ以前に、国債を国内で消化しきっている日本の方が、世界的に見れば明らかに異常なわけですが。
「国内の余剰資金は国債投資に回らなくなってきた。」 
 だから、何でそんな国の国債金利が、世界最低のままなのでしょうか。国債投資にマネーが回らなくなったのなら、金利が上がるでしょう、JK。
「金利上昇は国債の利払い費の増加と、財政の硬直化を招いてしまう。金利が上がれば景気回復の足かせとなる。」
 日銀に買い取ってもらえば済む話でしょう。現実に日銀が実施しているオペレーションを、なぜスルーする?
「市場で金利が跳ね上がる事態がいつ生じてもおかしくない。」
 日銀に(ry


 さて、毎日変態新聞ら日本破綻原理主義者にとっては残念なことに、日本国債の金利は相変わらず世界最低で、かつ(ここが大事ですが)極めて安定した動きを見せています。

【日米長期金利及び日銀長期国債買取額2008年1月-2009年6月】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_20.html#Nichibeikinri

 比較のために米国債十年物金利も載せておきましたが、改めて見るとちょっと乱高下しすぎですね、米国債金利は。これでも日米以外の他国の国際金利と比べるなら、マシなのかも知れませんが。
 この異様に安定した日本の長期金利ですが、これは毎日変態新聞のような日本破綻原理主義者たちが忌み嫌う指標です。なぜならば、彼らが叫び続ける「日本政府は財政破綻する」を真っ向から否定する数値になっているからです。
 そのため、冒頭毎日の記事のように、
「もうすぐ、国債金利が上がり始める。あるいは上げざるを得ない!だから破綻なの!破綻なのったら、破綻なの!
 というワケワカメな現実無視な論旨になってしまうわけです。
 この国債金利が長期低迷しているという事実は、極めて重要です。なぜならば、この原因を探っていくと、日本破綻原理主義者たちの「日本は破綻なの!」があり得ないことが、あからさまになってしまうからです。
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「なぜ、日本政府の負債残高があれほど積みあがっているのに、日本国債の金利は低いのだろう」
>日本の国内金融市場に、国債を欲する日本円が溢れかえっているからです。

「え、日本は借金大国なんじゃないの?」
>負債が多いのは政府だけで、民間は金持ちです。家計の純資産だけで、1000兆円を超えています。結果、国全体で見た純資産は世界で最も大きくなっています。日本は借金大国なのではなく、世界一の(国としては)金持ちなのです。国家の純資産は対外純資産とイコールなので、日本の対外純資産は世界最大になっています。
【日本国家のバランスシート 2008年12月末日版
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_17.html#JPBSQ408

 また、日本の家計の現預金額は極端に多く、絶対額でアメリカを超えています。結果、銀行などに運用先を求めるマネーが溢れ、機関投資家が日本国債を買い続けているのです。
【2008年12月末時点 日本・アメリカ 家計金融資産 】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_17.html#KinyuShisan

 だからこそ、日本国債の金利は世界最低のままなのです。バブル崩壊以降、日本の民間が金融資産を増やし始めたため、「国家経済の流れ」であるフロー(GDP)は低迷しました。日本政府はフローの減少を食い止めるために、国債を発行して政府支出を増やし、フローの下支えを行ったのです。結果、日本政府の負債残高は増大しました。
 要するに、日本の民間が金融資産を増やしたから、政府の負債が増えた。ただそれだけなのです。
(※この辺の話は、廣宮氏の「再び宗旨替え?与謝野財相 」などに詳しく載っています。
http://blogs.yahoo.co.jp/eishintradejp/18942437.html  )
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 日本の長期金利についてきちんと調べていくと、上記のようなストーリーが成り立ってしまうわけです。

 さて、日本の財政を語る際に、一つ残っている「日銀がどこまで長期国債を買い取るか、あるいは買い取るべきか」という課題ですが、この問題に対する解答は個人的には、やはり何らかのアコードを日本政府と日銀が締結するべきだと思います。
 アコードとは、政府と中央銀行が共に政策を進めるに際し、両者が協調していくことを定めた協定のことです。アコードを結ぶことで、政府による中央銀行への干渉がなくなり、同時に中央銀行の政府への協力が担保されます。
 現在、日銀は、
長期国債の保有残高を銀行券(お札)の発行残高までにとどめる
 という通称銀行券ルールを維持しています。しかし、この銀行券ルールは別に何らかの根拠があって決められているわけではなく、あくまで、
「無制限に国債の買取はしませんよ」
 という歯止めの「目安」に過ぎないのです。
 さらに、この種の「幾らまで!」というルールは弾力性に欠け、現在のような時代にはそぐわないように思えます。
 日銀の白川総裁は、以前(今年の3月)に日銀が月額1.8兆円の長期国債買取を発表した際に、銀行券ルールを引き合いに出し、限界論に言及しました。しかし、最近は限界論を口にすることを避けるようになっているようです。
 いずれにしても、現在のように国債増発と国債買取が求められているような時代には、硬直的なルールは却って危険だと思います。より柔軟に、日銀の長期買取を実施でき、かつ日銀の独立性もある程度確保できるアコード(政府と日銀の協定)が、今の時代に適していると思うのです。

 しかし、今時冒頭のような記事を書く記者が残っているとは、心の底から吃驚しました。
 どうでもいいけど、経済について何かを主張するときには、「数字」を使うように心がけまチョウね、マイニチヘンタイチンブンのキチャくん。

毎日新聞のレベルの低さに呆れ返った人は、

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