新世紀のビッグブラザーへ blog-日本の田植え祭

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三橋貴明診断士事務所  を開設しました。お仕事のご依頼はこちらから 
Klugにて「三橋貴明の『経済記事にはもうだまされない』」連載中

Voice+で中国経済に関して連載中
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共同提案者 渡邉哲也氏ブログ
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「新世紀のビッグブラザーへ」発売開始しました!

http://www.amazon.co.jp/dp/4569771416/


まずは事務連絡です。

1. 月刊 BOSS(ボス) 2009年 08月号 
http://www.amazon.co.jp/dp/B002CIH1OG/
 で、「著者に聞く 三橋貴明」というインタビュー記事が載っており、インタビュアーさんと一緒に「メディアの無節操なダブルスタンダード」ぶりを盛大に叩いています。「本当はヤバくない日本経済 ~破綻を望む面妖な人々~」の著者としてインタビューを受けたのですが、メディアのダブルスタンダードの問題や、海外の日本に関する高評価を報道しない国内メディア、さらには今後の日本円や日本経済の方向性について、かなり巧くまとめて頂きました。
 ご興味がある方は、是非ご一読を。

2. 代表戸締役様との共著『完全にヤバイ!韓国経済』の正式発売日が決定しました。全国発売は 7月7日となります。(一部地域では、翌日又は翌々日の発売となります。)
 また、6月30日都内の有名書店で先行発売をさせていただきます。各書店とも限定数がございますので、限定数到達までの発売となります。
 <東京駅エリア>
八重洲ブックセンター本店(JR東京駅八重洲南口徒歩5分) / 丸善丸の内本店(JR東京駅前丸ノ内オアゾ内1F) / ブックエキスプレス・ディラ東京店(東京駅構内ディラメディアコート) / ブックエキスプレス東京南口店(東京駅構内京葉線連絡通路)
 <新宿駅エリア>
山下書店新宿西口第一店(丸ノ内線新宿駅改札階段上) / ブックエキスプレス新宿南口店(新宿駅南口改札内)
 <池袋駅エリア>
リブロ池袋本店(池袋西武書籍館1F) / 東武ブックス池袋北店(池袋駅北口、東上線改札そば)
 <上野駅エリア>
ブックエキスプレス・ディラ上野店(JR上野駅改札内3F)
 <浜松町・品川・大崎エリア>
ブックストア談浜松町店(浜松町駅南口改札徒歩1分) / ブックエキスプレス・ディラ品川店(【注】7月1日発売)(品川駅構内) / ブックエキスプレス大崎店(大崎駅改札内)
 <横浜・川崎エリア>
有隣堂横浜駅西口店(横浜駅西口地下街ダイアモンド内) / 有隣堂川崎アゼリア店(川崎駅前地下街アゼリア内)
 <船橋エリア>
ときわ書房本店(JR船橋駅南口直ぐ)
 ※先行販売にご興味がある書店様、彩図社までご連絡ください。

3. 今週発売のSPA!6/30号のP4「今週の~」にインタビュー記事が掲載されています。

 14兆円の景気対策の補正予算と並び、第一次麻生内閣の最大の功績になる可能性が極めて高い「大転換」が、昨日、ついに正式に決定されました。

「骨太方針2009」を閣議決定、歳出改革に後退感
http://jp.reuters.com/article/domesticJPNews/idJPJAPAN-38686420090623
 政府の経済財政運営の指針となる「骨太の方針2009」が23日、閣議決定された。最優先課題として経済の底割れ防止と確実な底入れ・反転の実現を掲げる一方、少子高齢化や格差拡大による構造問題に対して社会保障の機能強化や雇用を軸とした生活安心保障の再構築など中長期的な取り組みを打ち出したのが特徴。
 社会保障制度を持続可能なものとするために、債務残高対国内総生産(GDP)比を2020年代初めに安定的に引き下げる新たな財政健全化目標を明記し、中・長期的な財政再建スタンスに揺るぎがないことも強調した。
 しかし、2010年度予算編成に関して、与党調整の過程で、社会保障費の自然増を年2200億円抑制してきた方針が棚上げされることが決まった。政府原案の「『基本方針2006』等を踏まえ、歳出改革を継続しつつ、安心と活力の両立を目指して現下の経済社会状況への必要な対応を行う」に「安心安全を確保するために社会保障の必要な修復をする」を加筆し、「昨年度とは異なる概算要求基準を設定」する方針を明記した。
 歳出・歳入一体改革の指針となってきた「骨太の方針2006」は辛うじて残ったが、2007年度以降進めてきた歳出改革の後退感は否めない。(後略)』

 後略のところでは、再び財政再建派に鞍替えし、「大臣」から呼び捨てに格下げになった(当ブログで)与謝野が、
「歳出改革が緩むことはあってはならず、あり得ない」
 などと、お前はよくもまあ、そうコロコロと宗旨替えができるなあ、と呆れ果てるようなコメントをしています。財政再建派と経済成長重視派(麻生首相など)は、真っ向から立場が異なるのです。数ヶ月ごとに、巨人ファンと阪神ファンを行ったりきたりする人物を、あなたは信用できますか、てなもんです。
 このタイミングで与謝野に強烈な疑惑が浮かび上がってきた事実は、色々と深読みをさせられます。小沢同様、迂回献金問題で盛大に叩かれ、さっさと政治力を失ってしまえ、風見鶏。そして頑張れ、検察!

迂回献金 先物会社が与謝野氏、渡辺喜氏に ダミー通じ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090624-00000004-maip-soci



 さて、今回閣議決定された閣議決定ですが、財政健全化目標については以下の通りとなっています。(ソースは「骨太の方針2009 素案」)

「『短期は大胆、中期は責任』との方針の下、経済成長や社会保障制度を持続可能なものとするため、以下の目標を掲げ、財政健全化の取組を進める。
Ⅰ.財政健全化基本目標:国・地方の債務残高対GDP比を位置付け、これを2010年代半ばにかけて少なくとも安定化させ、2020年代初めには安定的に引き下げる。
Ⅱ.今後十年以内に国・地方のプライマリーバランスの黒字化の確実な達成を目指す。利払い費を含む財政収支の均衡を視野にいれ、収支改善の努力を続ける。
Ⅲ.まずは景気を回復させ、5年で国・地方のプライマリバランス赤字(景気対策によるものを除く)の対GDP比を半減。但し、現下の世界経済等の流動的要素に鑑み、時宜に応じた検証を行う。

 まずは、これまでに日本経済の最大のボトルネックであった、2011年までのプライマリーバランス黒字化という基本目標を撤回し、公的債務対GDP比率を2010年代半ばにかけて安定化、2020年代初めには安定的に引き下げを新たな基本目標に設定するという大転換がなされました。この決断は、冗談抜きに日本経済を救う可能性があり、世界経済にも大きな影響を与えるでしょう。
 問題のプライマリーバランス黒字化は、期限が「十年以内」に延長され、かつ努力目標に格下げされました。しかも、財政赤字半減の目標も「景気対策によるものを除く」や「時宜に応じた検証を行う」などなど、やる気のなさを行間ににじませています。素晴らしい!
 本来であれば、プライマリーバランス黒字化を丸ごと撤回して欲しいところですが、政治的になかなか難しいということは理解できます。まあ、どうせ日本の名目GDPが成長路線に復帰し、公的債務対GDP比率が安定化すれば、日本人はみんなプライマリーバランスの黒字化など忘れてしまうと思いますので、現時点ではこれでオッケーです。

 ちなみに、後略したロイターの記事には、「新たな健全化目標の中核に置いた債務残高対GDP比が安定的に低下し目標が達成されるのは、世界経済が急回復するか、順調回復下で消費税を12%に引き上げる場合。」などと恐ろしく低レベルなことが書いてありますが、これは悪質なミスリードとしか言いようがありません。
 なぜならば、そもそも「骨太2009」には「消費税」という単語は一度も登場せず、12%云々というのは民間議員の「試算」に過ぎないのに加え、「債務残高対GDP比」のGDPが名目値なのか実質値なのか書いていないからです。(ちなみに、素案本文にも書いていません。)
 そもそも一般的に政府債務残高とGDPを比較する際は、GDPは名目値、すなわち名目GDPを使います。なぜならば「借金とは名目値で返済するもの」だからです。要するに1万円を借りた場合、その後の物価変動がどうなっていようと、1万円で返さなければいけないということですな。
 そして「債務残高対GDP比」のGDPが名目GDPである以上、別に世界経済が急回復しなくとも「安定的に引き下げる」ことは可能です。単純に、日本がデフレを脱却すればいいだけなのです。逆に現在はデフレである以上、名目GDPの成長は頭を押さえつけられたも同然ですから、「債務残高対GDP比」改善は困難になります。
 ついでに書くと、前回(97年)の例を見ても、消費税を引き上げると景気悪化が加速し、「債務残高対GDP比」も却って悪化することになるでしょう。
 ロイターの記者の書いているように、「GDP比が安定的に低下し目標が達成されるには、順調回復下で消費税を12%に引き上げる場合」などということは、過去の事例から見ても非現実的なのです。消費税を12%に引き上げた状況で、順調回復などできるはずがありません。
 記者のレベルが低いのか、あるいは確信犯としてミスリードしたいのか知りませんが、最近のロイターの日本記者のレベルは目を覆いたくなるほど酷くなっています。
 
 財政健全化目標以外の「骨太の方針2009」について簡単に触れますと、今回は社会保障費抑制を取りやめるという、素晴らしき決定もなされました。国内の需給ギャップが凄まじく、政府支出拡大によるGDP下支えが求められている状況で、社会保障費(GDPの政府最終消費支出項目)を削減するなど、ほとんど狂気の沙汰としか言いようがありません。しかも、社会保障費抑制とは、「国民の福祉」を削り取ることそのものなのです。
 さらに、「首相の強い意志」(内閣府幹部)を受け、「安心社会実現」が前面に打ち出されました。

 6月18日の日経新聞のコラム大機小機が絶賛↓していた「2009年度補正予算14兆円」同様に、
http://blogs.yahoo.co.jp/takaakimitsuhashi/29047257.html
 今回の骨太方針大転換も、自民党主導で行われたようですね(官僚主導ではなく)。
 何度も書いていますが、わたしは総裁選で「麻生太郎」に投票するためにのみ、党費を払っている似非自民党員で、別に自民党支持でも何でもありません。だからと言って、韓国民団などの外国人、日教組、部落解放同盟などに熱烈に支援された、おぞましき民主党に投票するほどアホでもないので、総選挙は普通に自民党に投票します。
 要は、消去法的な自民党支持なのですが、補正予算や新・骨太方針を見る限り、何か自民党がかなりまともに見えてきてしまいました。恐らく「今まで」と「他の党」が、あまりにも滅茶苦茶過ぎる(過ぎた)からだと思いますが。

 さて、なぜプライマリーバランスの黒字化が不要かといえば、単純に継続的に黒字になっている国が世界に一つも無いからです。
 そもそも、長期的に見れば、日本政府の債務残高の増加ペースは、G7諸国では「低いグループ」に属しているのです。

G7各国の政府の借金 (1980年=100)】 (ソースはIMF。作成は廣宮氏)
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/G7Saimu8007.JPG

 ご覧頂いたとおり、1980年以降で最も政府の借金が増えているのは、仏伊両国です。何しろ、1980年時点の14倍にも政府債務が膨らんでいるのですから。
 日本は、米英独加諸国と共に第二グループを形成しているに過ぎません。しかも、最近の増加ペースは、明らかに米英両国の方が速くなっています。
 だからと言って、別にこのグラフ一つ見せて「日本政府の財政破綻はあり得ない」と主張する気はありません。日本政府の財政破綻があり得ないのは、複合的な要因によるもので、それは明日以降じっくりとご説明するつもりです。

 とりあえず本日は、G7諸国で継続的にプライマリーバランス黒字化を達成している国など一つもなく、同時に「財政破綻」した国もまた、一つもないということを覚えておいて頂ければと存じます。
 また、質問が出る可能性が高いので、先に書いておきますが、ここで言う「政府の借金」とは、以前「ルクセンブルグモデル」で出てきた「対外債務↓」とは違います。(一部重なっている部分もありますが)

【日米欧主要国対外債務(単位:十億ドル)/対外債務対GDP比率】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/Taigaisaimu090510.JPG

 昨夜もどなたかがご紹介して下さったようですが、「公的債務(政府の借金)⇔民間債務」「対内債務⇔対外債務」「自国通貨建て債務⇔外貨建て債務」をごちゃごちゃに理解している方(筆頭は、日本のマスメディアですが)は、Klug連載の「第二回 国家の負債を整理する↓」をぜひご一読ください。
http://www.gci-klug.jp/mitsuhashi/2009/06/02/005606.php

G7各国の政府の借金のグラフを見て、騙された気分になった方は、

↓このリンクをクリックを。

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