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と言いつつ、いきなり関係ない話(いや、なくもないですが)から始まるのですが、地上デジタル放送が始まり、最新のBDレコーダーで番組を録画すると、面白いことができることに気がつきました。(昔の機器でもできたのかな?)
デジタルで録画した番組の場合、スキップ「>>|」ボタンでCMを一気に飛ばすことができるのです。もちろん、以前から「30秒スキップ」機能などはあり、アナログ放送でも30秒ずつCMを飛ばしていくことは可能でしたが、デジタルの場合は一発飛ばしができます。
これは、強烈な機能です。(テレビのビジネスモデルにとって)
そもそも、NHKを除く民放のビジネスモデルの場合、テレビ局が見て欲しいのは番組では全くなく、CMなのです。「良い番組」や「人気ある番組」をテレビ局が作るとしたら(実際に作るのはプロダクションでしょうけれども)、番組それ自体を見て欲しいからではなく、CMをより多くの人々に見て欲しいからなのです。要するに、番組とはCMを見てもらうための「仕掛け」に過ぎないわけです。
テレビ局は別に視聴者からお金を貰っているわけではなく、スポンサー企業から貰っているわけですから、当たり前といえば当たり前です。
さて、電通総研が毎年出している「情報メディア白書」(←バカ高いです。。。)によると、2003年以降のテレビ広告費は以下の通りとなっています。
2003年 1兆9480億円
2004年 2兆0436億円
2005年 2兆0411億円
2006年 2兆0161億円
2007年 1兆9981億円
2008年 1兆9092億円
※2008年のみソースは⇒『2008年のネット広告費、テレビ・新聞に次ぐ「第三の媒体」の地位固める
http://journal.mycom.co.jp/news/2009/02/25/061/index.html
』
テレビ局の主な「稼ぎ手」である広告費が、2008年は早くも2003年以前の水準に落ち込んでしまっているわけですね。
また、テレビCM総出稿量(2007年)は以下の通りとなっています。(在京民放5局のみ)
スポットCM 1851万秒
番組CM 774万秒
合計 2625万秒
ご存知かも知れませんが、番組CMというのは別名「タイムCM」と言いまして、スポンサー企業が番組丸ごと提供する方式です。30分や1時間の枠をスポンサー企業が買い取り、その時間枠のCMを一社で独占するわけです。但し、最近は複数の企業で番組の共同スポンサーになるケースも増えているそうですが。
「この番組は、○○の東芝の提供でお送りいたします。」
とナレーションで企業名が入るのが、番組CMというわけですね。
逆にスポットCMとは、番組と番組の間、つまり隙間の時間に、比較的短いCM(15秒)を怒涛のように流していくCMになります。以前は番組CMの方がスポットよりも多かったそうですが、最近はご覧の通りスポットの方が圧倒的にシェアが大きくなっています。
さて、このスポットCMですが、テレビ局の最も重要なメトリックス(物差し)とも言える「視聴率」と密接に絡んでいます。
実は、スポットCMを打つ企業は「延べ視聴率」でテレビ局に「広告を発注」するのです。
延べ視聴率とは何かといえば、そのCMが「延べ」で何%の視聴率を獲得したか(見られたか)を示す単位になります。毎分視聴率1%の番組に1本のCMを流すと、1GRP(Gross Rating Point:延べ視聴率)となります。毎分視聴率10%の番組に、例えばある企業が2本のCMを打った場合、今度は2x10%で20GRPとなります。
先述の通り、企業はスポットCMを打つ際に「200GRPで」こんな感じの発注をします。この場合、テレビ局は「毎分視聴率10%x20本=200GRP」でも、「(毎分視聴率1%x10本)+(毎分視聴率5%x38本)=200GRP」でも、組み合わせは何でも構わないので、とにかくGRPが200に到達するまで、その企業のCMを打ち続けなくてはならないわけです。
ところが、全てのテレビ局にとって、時間は有限です。(人類の全てと同様に) ある時間枠を、ある企業のために使った場合、その時間枠は他の企業のためには使えないのです。当たり前ですが。要は、テレビ局はCMを打つ「時間枠」を売ることで、売上を稼ぐビジネスモデルなわけですね。
さて、このモデルの場合、企業からの発注時に指定されたGRPを消費するには、短い時間枠にできるだけ沢山の視聴率を稼ぐことが、テレビ局の至上命題になります。A企業のGRPを速やかに消費することができれば、次の時間枠には別のB企業のCMを入れることができるのです。
ところで、GRPを消費することだけを考えるなら、CMの時間枠を伸ばせば済みそうなものです。ところが、日本民間放送連盟が定めた放送基準により、テレビ局は1週間当たりのCM総量を、総放送時間の18%以内に押さえなければなりません。
こうなると、速やかにCRPを消費するには、視聴率を高めることが最も適切なソリューションということになります。
だからこそ、テレビ局は悪名高き「視聴率至上主義」に陥ってしまったわけですね。
問題は、ここからです。テレビ局に押し寄せた「デジタル化」という波は、テレビ放送というビジネスモデルを、根底からひっくり返そうとしています。
■デジタル化された番組は、ハードディスクレコーダーにより、ボタン一発でCMを飛ばせてしまう。野村総研の調査によると、2005年時点のHDレコーダー所有者のCMスキップ率は、平均64%。デジタル放送になると、さらに上昇することは確実。
企業はCMがスキップされる番組のために、宣伝費を使うはずがなく、テレビ局はCMがスキップされていないことを企業に示す必要があるが、現実には不可能。
■デジタル化されると、これまでの周波数帯と異なるため、現行の視聴率測定機は利用不可能となる。新たな視聴率測定法の場合、新たな基準を企業に求められることになるが、それがCM費用を下げる方向に動くのは確実。
■アナログ放送からの切り替え時期(2011年)に、およそ30%の視聴者がテレビを全く見なくなると言われている。単純に、各社の視聴率が実質的に平均3割下がるため、同じGRPを消費するためには、少なくともこれまでの四割り増しのCM数が必要になってしまう。その分、他の企業のCMを打つ機会が消える。
例:現在 20GRP を視聴率10%で消費⇒20÷10で、CM2本
2011年以降 20GRPを(実質的な)視聴率7%で消費⇒20÷7で、CM2.8本 現在の四割り増しのCM数が必要
というわけで、総務省の意向(携帯電話用の波をテレビ局から取り戻す)とは無関係に、地上波デジタル放送は、テレビ局にとって致命的な打撃を与えることになりそうです。要は、GRPに依存した収益モデルが成立しなくなるわけです。
しかも、早くも現時点で全く視聴率を取れなくなった、すなわちGRPをなかなか消費できなくなってしまったテレビ局もあるわけです。
『TBS緊急改編…水戸黄門(再)が小林麻耶を救う!? 大苦戦中の「THE NEWS」の直前に移動
http://www.zakzak.co.jp/gei/200906/g2009061915_all.html
』
水戸黄門はともかく、韓国版「花より男子」と「宮廷女官チャングムの誓い」かよw TBS、自分で自分の首を絞めてやがる、m9(^Д^)プギャー
TBSが本当に視聴率を回復したいなら、ユーザー調査でもアンケートでも何でもやって、視聴者に媚びればいいのです。とは言え、これまで視聴者のために番組を作っていたわけではないので、なかなかそういう発想は出てこないのでしょうね。
インターネット出現までは、TBSのような屑テレビ局でも、そこそこ視聴率が取れ、GRPを消費できていましいた。それが限界に達し、しかも折からの経済危機により企業の宣伝費が激減。企業はなかなかGRPを消費してくれない、TBSのような屑テレビ局への広告出稿から取りやめていくでしょう。
ああ、何て毎日変態新聞にそっくりなんでしょうか・・・・。
ふと気がつくと、「新世紀のビッグブラザーへ」ではなく、延々と「インターネット・メディア」の話を続けてしまいました orz
とにもかくにも、「新世紀のビッグブラザーへ」は6月23日発売です!
へえ~、テレビ局のビジネスモデルってそうなんだ~、と思った方は
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