新世紀のビッグブラザーへ blog-日本の田植え祭

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 いい加減に韓国経済のことを書こうと思うのですが、李明博大統領になって以降、ぶっ飛んだネタが少なくなってしまい、困っています。地味~に経済が落ち込んでいっていますが、それはまあ、他の国にしても同じですからねえ。
 現在の世界にはトンデモない状況に陥っている国が多々あるため、どうしても韓国は後回しになってしまいます。その内、ニュースバリューが薄れてきて、書けなくなってしまうのです。
 さて、韓国と言えば「日本から資本財を買い入れ、世界に耐久消費財を売り込む」という「国家モデル」で成り立っていた国です。耐久消費財の最終消費地(特にアメリカ)の需要が縮小し、韓国の国家モデルが崩壊に瀕していることは「崩壊繁栄」で詳述しました。
 ところで、欧州にも韓国そっくりな「国家モデル」で成長していた国々があるのです。それはバルト三国を含む、東欧諸国になります。
 別に言うまでもない気がしますが、欧州で日本の役割を演じていたのは、ドイツです。
 韓国の国家モデルが成り立たなくなったように、欧州の迂回(鵜飼)製造立国のモデルも崩壊の危機に瀕しています。この辺の話は、6月末に出る「日本経済三部作」の最終巻(講談社)にも書きましたが、さすがのIMFもこれらの東欧製造立国の成長率について悲観的に予測しています。

東欧諸国の実質GDP成長率2001年-2010年(09年及び10年はIMFの予想)
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_19.html#EastEuroGDP

 特にバルト三国の成長率予測が厳しくなっており、エストニアとリトアニアがマイナス10%、ラトビアがマイナス12%となっています。
 しかし、どうやら事態は「その程度」では済まされない状況に至ったようです。(情報提供NO様)

「ラトビア危機欧州の火種に 国債売り出し失敗、マイナス40%成長」 読売新聞 2009年6月9日
 バルト3国のラトビアで深刻化した経済危機が中・東欧全体に波及しかねない情勢となっている。急激な通貨安、国債売り出しの失敗、40%のマイナス成長という異常事態だ。ラトビア向け債権を抱える西欧や北欧の金融大手の業績悪化に直結する可能性が高く、市場では「ラトビアショック」が欧州金融の新たな火種になるとの観測が強まってきた。
 ラトビアが3日に売り出した5000万ラト(約98億円)の短期国債は入札に応じる投資家が現れず、失敗に終わった。財政事情の悪化でデフォルト(債務不履行)懸念が高まっていることが理由だ。
-失業率17%超-
 ラトビアはユーロ導入を目指し、為替相場を1ユーロ=約0.703ラトに事実上固定している。しかし、金融危機の拡大と財政難で通貨ラトの切り下げ観測が強まり、ラトは連日売り浴びせられている。
 欧州連合(EU)のアルムニア欧州委員(経済・通貨担当)は「固定相場を維持するラトビア当局を支持する」と支援を表明。中央銀行もラト買い支えの為替介入で防戦しているものの、5月末の外貨準備高は約28億ユーロ(約3800億円)と3ヶ月間で33%減少した。
 人口230万人のラトビアは、主に北欧からの投資による不動産ブームで年間10%を超える経済成長を遂げた。しかし、2008年秋以降の世界的な金融危機で情勢は一転。海外資金の引き揚げが加速し、投資は停滞した。09年1~3月の実質国内総生産(GDP)成長率は11.2%減、年率換算では40%超のマイナス成長に陥った。4月の失業率は17.4%に跳ね上がっている。
 リトアニアやエストニアも経済状況はほぼ同じで、バルト3国やポーランドなど東欧諸国で通貨危機が再燃する恐れが高まっている。(後略)』

 ラトビアの経済成長率は、09年通年どころか09年第1四半期の「対前期比成長率」だけで、マイナス11.2%になってしまいました。(40%超というのは、年率)
 ラトビアは元々(ソ連時代から)工業国として有名だったのですが、ソ連から独立後は長年貿易「赤字」を続けていました。しかし、2007年までは例により海外からフェイクマネーが流入し、貿易赤字をファイナンスしてくれた上に、国内に消費拡大や不動産バブルをもたらしていたのです。ある意味で、アイスランドと韓国の脆弱な部分を組み合わせたようなモデルになっていたわけです。
 もちろん、どんな国家モデルであろうが国民経済が成長し、きちんと為替価値を維持できている以上、何の問題もありません。しかし、世界の多くの国と同じように、今回の危機で現行モデルの継続は不可能になってしまいました。
 ラトビアの危機が非常にデンジャラスなのは、同国の破綻が欧州各国に波及する可能性が極めて高いからになります。そのため、IMFや欧州諸国は緊急の対応を迫られていますが、経済構造の破損があまりにも激しく、なかなか巧くいっていないようです。

IMFとEUはラトビアへの追加融資に踏み込まず、通貨切り下げ懸念高まる
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-38414520090605
 欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)は4日、ラトビアに関する声明を発表した。ただ、通貨切り下げ回避のために必要とみられている追加融資に踏み込んだ内容とならなかったことから、ラトが切り下げられた場合、その影響がスウェーデンや他の東欧市場にも及ぶとの懸念が高まった。
 また、格付け会社のフィッチ・レーティングスは、ラトのペッグ制維持のためには、IMFが同国の新たな予算案や追加融資に同意する必要があると指摘した。(後略)』

ラトビア危機が波及するのを防ぐため、状況を注視=アルムニア欧州委員
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-38423520090605
 欧州連合(EU)のアルムニア委員(経済・通貨問題担当)は5日、危機に見舞われているラトビアの動向が他国に波及することを防ぐため、状況を注視していると述べた。
 同委員はポーランドの財務相との会談後、記者団に対し、ポーランドの財政状況も「懸念の的」だ、と述べた。』

 バルト三国や東欧の破綻は、欧州系金融機関のバランスシートを直撃します。すでにアメリカの証券化商品暴落で、欧州金融機関のバランスシート(の資産サイド)は激しく毀損しているのですが、ここに東欧諸国の破綻が加わったとき・・・・、あまり想像したくないです。
 欧州金融機関の問題は、冗談抜きに世界経済の爆弾になりつつあり、ついにアメリカまでもが、
さっさとストレステスト(資産査定)せい!
 と要求する状況になっています。

米国が欧州各国に厳格なストレステストの実施を要求へ-米紙WSJ
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=infoseek_jp&sid=aRXacnmCLn_w
 米紙ウォールストリート・ジャーナルは9日、オバマ政権が欧州各国に対し、景気が一段と悪化しても欧州の金融機関が生き残れることを明確にするために、より厳格なストレステスト(健全性審査)の実施を望んでいると伝えた。ガイトナー米財務長官は今週の主要8カ国(G8)財務相会合で、この問題を取り上げる見通し。 』

 欧州金融機関へのストレステストの要求は、アメリカのみならず当の欧州からも出ています。
 昨日(6月9日)、フィンランドのカタイネン財務相が、欧州の銀行システムへの信頼性を回復させるには「確かなストレステスト」が必要であると発言しました。同財務相はさらに、
「これまでの取り組みでは、市場は十分に納得していない。従って、短期金融市場と銀行セクターへの信頼を高める唯一の手段は、バブルを破裂させることだ。つまり、銀行が互いについて今まで以上に知り競合他行に関する情報をより多く持つことが、信頼回復へのただ一つの道だ」
 と発言しています。
 そりゃあ、フィンランドの状況は他の欧州諸国よりもカタイねんから、こんな発言もできるのでしょうが。(今回はこれがオチ)

欧州経済の現況に心底から((( ;゚Д゚)))ガクブルした人は、
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