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メディア・リテラシー:情報メディアを主体的に読み解いて、必要な情報を引き出し、その真偽を見抜き、活用する能力のこと。「情報を評価・識別する能力」(Wikipedia)

 昨日の予告どおり、本日は中国の「IT情報強制開示」に関する解説を。
 今回の件を最初に報道したのは、読売新聞でした。

中国、ITソースコード強制開示強行へ…国際問題化の懸念 読売新聞 2009年4月24日
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090424-OYT1T00053.htm?from=navr
 中国政府がデジタル家電などの中核情報をメーカーに強制開示させる制度を5月に発足させることが23日、明らかになった。
 中国政府は実施規則などを今月中にも公表する方針をすでに日米両政府に伝えた模様だ。当初の制度案を一部見直して適用まで一定の猶予期間を設けるものの、強制開示の根幹は変更しない。日米欧は企業の知的財産が流出する恐れがあるとして制度導入の撤回を強く求めてきたが、中国側の「強行突破」で国際問題に発展する懸念が強まってきた。(後略)』

 読売の書き方だと、「強制開示制度が5月中に発足する」となっているので、文字通り各企業が製品ののソースコード開示を五月に強制されると読めてしまいます。後略部の記事の中にも『「ソースコード」の開示をメーカーに強制するものだ』なる文言が入っています。
 これに対し、翌日に報道された日経新聞の記事では、

中国、ソフト設計図に固執 IT情報強制開示、来月に詳細
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20090425AT1C2400N24042009.html
 中国政府は5月までにIT(情報技術)セキュリティー製品の技術情報をメーカーに強制開示させる制度の詳細を公表する。(後略)』

 となっており、制度の詳細が公表されることのみを伝えるに留まっています。つまり、中国の新制度が本当に読売が書いたように『「ソースコード」の開示をメーカーに強制するもの』なのかどうかは、現時点ではまだ分からないのです。日経の紙面版は結構長い記事なのですが、それはあくまでこの新制度について詳しく解説しているに過ぎません。いつから発足するかなど、時期については何も書いていないわけです。
 ブルームバーグの報道でも、

河村長官:あらゆるレベルで再考求める-中国のIT強制認証
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90003017&sid=agHXAmjyKSEo&refer=jp_japan
 河村建夫官房長官は24日午前の閣議後会見で、中国政府がデジタル家電などの中核情報をメーカーに強制開示させる制度を5月に発足させるとの報道について「中国政府にはあらゆるレベルで再考を求めている」と述べた。また、中国から5月1日までに強制認証制度を公表するとの説明があったことも明らかにした。(後略) 』

 と、読売新聞の報道を受け、「中国から5月1日までに強制認証制度を公表するとの説明があった」と河村官房長官コメントした事を書いているだけです。つまり、日本政府に通告されたのはあくまで「5月1日までに強制認証制度を公表する」であって、その中身ではないわけです。
 本来、中国の独自認証制度である「強制製品認証制度(英語だとCCC認証)」とは、
「人の健康や安全、環境などに悪影響を与える可能性のある製品について、強制的に安全性を確認する」
 制度であり、中国の試験期間で認証を受けなければ、中国国内で販売ができないというシステムになっています。これだけであれば、日本のJATEなどの認定制度と、あまり変わらない気がします。(個人的にJATEには散々苦労させられたので、この種の認定制度は好きではないですが)
 今回の問題の発端は、中国が2008年1月に「ITセキュリティ製品」など十三品目をCCC認証の対象に加えると発表したことに始まりました。セキュリティ製品などが本当にCCC認証の対象になると、これは本当に大問題で、というかその時点でセキュリティ製品ではなくなってしまいます。
 が、今回の一連の報道で一番違和感を感じたのは、日経の紙面版で、このCCC認証を管理している中国の国家認証認可監督管理委員会が、09年4月24日に、
「(CCC認証に)ITセキュリティー製品を加える方針や、当面は導入を延期する考えに変化はない
 と、発言していることです。
 つまり、「フォローアップ(第一回)」↓で取り上げたように、
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-10247004875.html
「中国政府は3月16日、IT(情報技術)セキュリティー製品を対象とした強制認証制度導入を当初予定の5月から延期することを明らかにした。」
 と、何も変わっていないとしか読めないのです。
 一つだけ状況に変化があったのは、日本政府に対し、中国が「5月1日までに強制認証制度を公表すると説明」した、この部分だけです。これは日本政府が認めている話なので、間違いない事実なのでしょう。
 しかし、読売新聞以外の誰も「5月に発足させる」とは言っていません。

 結論を決め付ける気はないのですが、個人的にはこれは、日本政府への「5月1日までに強制認証制度を公表する」という中国政府の通告を受けて、読売新聞が暴走した可能性が極めて高い気が致します。
 一つの傍証として、日経新聞の本日の朝刊を隅から隅まで探したのですが、本件に関する記述はゼロでした。(もし見つけた方がいましたら、コメントください) これだけ大変な問題の続報がないというのは、率直に言って異様です。
 そもそも日経の昨日朝刊の報道も、あくまで「IT情報強制開示 来月(五月)に詳細」について解説したもので、読売新聞のように「五月に発足」などとは一切書いていません。もちろんブルームバーグも書いていませんし、河村官房長官も「発足」については何も発言していません。
 時期的に、麻生首相の中国訪問(4/29、4/30)を控えたディスインフォーメーションに、読売新聞が引っかかったのかな、などとも考えました。何しろ、中国は一言も「五月に発足する」とは言っていませんので、勘違いした麻生首相が下手に中国側に畳み掛けたりしたら、
「はあ? 何言っているんですか?」
 となってしまうわけです。

 いずれにせよ、五月一日に詳細が中国から公表されるので、とりあえずはそれを待ちたいと思います。


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