新世紀のビッグブラザーへ blog-日本の田植え祭

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崩壊する世界 繁栄する日本 「国家モデル論から解き明かす」 発売中!
Yen.SPA! 4月23日号に、インタビュー記事『「日本経済悲観論」の嘘』が掲載されています。

共同キャンペーン 日本の田植え祭  
共同提案者 渡邉哲也氏ブログ
放送倫理・番組向上機構に意見を送るス


三橋貴明と石平氏の対談本中国経済がダメになる理由は、4月16日にPHP研究所から発売です。(既に予約開始済み)

 国家のモデルシリーズは「崩壊する世界 繁栄する日本」出版で一応終了したのですが、折角新しいネタが出たので「真」つけて採用しました。(でも続きません。)

 わたしは「崩壊する世界 繁栄する日本」において、【明日の日本の国家のモデル】を以下のように定義しました。


【明日の日本の国家のモデル P239】
■輸出企業中心から、個人消費拡大に重点を置いた政策へ転換し、数年でGDPに対する個人消費の割合を六割超まで高める
■短期的には、国内市場における企業の高度技術育成の設備投資を後押しし、新市場拡大を中心に公共投資を実施する。総固定資本形成(注:GDPの投資項目)の額を高めることでGDPを嵩上げする。
■貿易収支の黒字縮小を是認し、所得収支の黒字最大化により経常収支黒字、対外純債権拡大を維持する
■成長率評価の基準として、GDPに加えGNI(国民総所得)も組み入れる


 これだけですと、あまりにもマクロ的過ぎて、何がなんだか分からないので、書籍の中で少しだけミクロに落とし込んだ例を複数挙げました。


■ガラパゴス化せよ(巨大な国内のローカル市場を活用し、オリジナリティを磨け)
■日本のコンテンツ産業が競争力が高いのは、グローバル市場とやらを意識したからでも何でもなく、ローカル市場のなかで激しく競合し、磨きをかけたからである。
■日本の家計の金融資産は莫大で、特に現預金はアメリカよりも多い。この資産を活用し、個人消費拡大に結び付けるべき。
■人口密度の低い地域へのインフラ整備ではなく、
都市向けに公共事業を積極的に行え。(電柱の地中化など)
電気自動車向けのインフラ整備も、国がお金を出して積極的に推し進めるべき。
■リニア新幹線について、JR東海に任せきりにするのではなく、国家プロジェクトと化せ。
■企業は国内市場に改めて目を向けると同時に、海外で積極的なM&A戦略を展開するべき(所得収支の黒字が増えるから)。
■日本政府は海外子会社からの配当について非課税にしようとしているが、これも所得収支黒字拡大に有効。
「日本は財政破綻する」というフィクションは、いい加減にやめろ


 予め書いておきますが、麻生政権の景気対策が驚くほど↑この路線に沿っているからといって、「麻生首相が本を読んでくれたんだ~」などと自惚れる気はさらさらありません。(昨日のびはあくまでジョーク) しかし、麻生首相は今回の景気対策を打ち出すために70人以上の「有識者」と話をされているわけで、その中に「崩壊する世界 繁栄する日本」を読んで下さった方はいるかもしれないなあ、くらいには思っています。
 15兆円(真水)の景気対策の方は、ここ数日、何度も取り上げましたので、今回は麻生首相のスピーチの方です。
 スピーチ聞きながら頑張って概要を書き起こした後に、大和朝廷さまから首相官邸に全文が掲載されている旨をコメント頂き、思わず失神しそうになりました。


『麻生内閣総理大臣スピーチ
http://www.kantei.go.jp/jp/asospeech/2009/04/09speech.html


 まあでも、折角書き起こしたので、以下の通り概要を掲載させて頂きます。


麻生総理スピーチ 新たな成長に向けて(平成21年4月9日) http://www.nicovideo.jp/watch/sm6709640
 -以下、概要を書き起こし-
■現在は危機であると同時に、百年に一度の「分かれ道」である。


■日本経済の未来:日本だけが旧来型の輸出依存の成長は、現実的ではない。新たな「成長モデル」に向けて、三つの柱を提示する。
 ・低炭素革命で世界をリード:三種の神器のようなライフスタイルの変換が必要で、低炭素社会実現のために新たな三種の神器が出現する。
 太陽光発電については、今後数年間で世界一を目指す。現在、需要がないから製品コストが高い。コストが高いから需要が高まらない。この悪循環を政治的に打破する。一般家庭が十年程度で「太陽光発電」により利益が出る仕組みとする。学校の太陽光発電設備投資について、お金を使い、需要を拡大することで製品コストを削減する。
 エコカーの世界最速普及を目指す。三年後に電気自動車の量産・量販を開始し、販売される車の半分がエコカーとなる社会としたい。国民が環境性能で車を買う時代を作りたい。
 省エネ家電を買った人についてはエコポイントを提供し、3000万台のエコ家電の需要を作る。


 ・安心・元気な健康を共有する社会
 日本の高齢者は就業意欲が高い。65歳以上の男性のうち、働いている人は日本が三割、アメリカが二割、欧州が一割。日本は高齢者の八割が、少なくとも七十まで働きたいと思っている。医療を充実することで、活力ある高齢者社会を作れる。内需型産業で35兆円の需要と210万人雇用が創出される。
 介護分野は人手不足。介護分野の雇用条件は、現在悪く、キャリアアップの展望も開けていない。介護の職場にも夢と希望がなければならない。処遇の改善、介護のための基金充実、当面三年間は別途予算で給与を上積みし、処遇改善を図る。
 地域医療の建て直しが必要だが、一つ一つの病院や市町村では解決できない。複数の市町村が連携した上で、全体でサービスをレベルアップする必要がある。地域一体となった医療、介護体制。これを実現するために資金を投下する。


 ・日本の魅力の発揮
 日本には長く培ってきた文化や感性に基づいたソフトパワーがある。ソフトパワーにより新たな産業を創出する。
 キラリと光る観光大国を目指す。2020年、年間2000万人の外国人が「旅行者」(<なぜか強調していた)として日本にくる社会にしたい。政府は日本へのアクセス改善に取り組む。
 観光地の景観、町並みを徹底的に改善する。福島県会津若松、大内宿。電柱を全部なくした。結果、観光客が急増した。今後三年間で30箇所を選び、無電柱化を実現する。
 日本のソフトパワーの発信。日本のソフト(漫画、アニメ、ファッション誌)などが、世界の消費者から支持を得ている。(あゆ、香里奈 、エビちゃんが表紙の中国の雑誌を紹介。エビちゃんを知らない人は「今の時代を生きていないんだなあ・・・」とのこと。まあ、そりゃその通りだと思います) 

 今や秋葉原や裏原宿が、東京観光の定番コース。
 しかし、残念ながら優れたコンテンツがビジネスに繋がっていない。海外での売上はわずかに2%(アメリカは20%)。日本のソフトパワーをビジネスに繋げ、20~30兆円の市場を作り、50万人の雇用創出に結び付けたい。

 
 以上、三つの柱のプロジェクトを中心に官民の集中的な投資と制度改革を実施する。2020年には実質GDPを120兆円押し上げ、400万人の雇用機会を創出するのが可能と考える。当面三年間で40から60兆の需要創出、140万から200万人の雇用創出を実現したい。


■アジアの成長:アジアは21世紀の成長センター。東アジアだけでも32億人、世界の半分が住んでいる。(パキスタンから東が「東アジア」とのこと)成長するアジア全体で富を産み出す。
 ・アジアの成長力の強化:公益インフラの整備、制度改善などを計画的に進めることで幅広い産業発展が見込める。
 例えば、ベトナムのホーチミンからインドのチェンナイまで、マラッカ海峡を経由して海路で二週間かかる。これを陸路を整備することで十日、さらに国境通過に掛かる時間を日本の技術で短縮化すると、八日に短縮できる。
 また、マラッカ海峡の沿岸発展を指させることで、エネルギー輸送の大動脈を安定化させることができる。
 ・ASEANインドを中心に、産業基盤強化のために総合開発計画の策定が必要。この地域ではインフラ投資の需要が50兆円あると考えられており、日本はODAによる資金調達、技術提供などで支援していく。
 日本はアジアのインフラ整備に貢献していく(環境技術含む)。水の循環システムなどの事業も進める。
 ・アジアにおける内需拡大も重要。今後、アジアの中間層が安心して消費を拡大するために、セーフティネットや教育充実が大切だ。基本的にはアジア各国が自主的に投資する必要があるが、アジア経済倍増に向け、日本は対等な立場で取り組んでいく。


■国内の生産を拡大することに固執するのではなく、国民の富が増大することを重視する。いわゆるGDP(国内総生産)に重点を置いた発想から、国民の総所得、GNIへの発想の転換が必要。


■高度経済成長を続けた「成長モデル」が崩壊し、新たな均衡を模索する大調整は歴史上何度もあった。なぜかつて栄えた(イタリア、オランダ、イギリスなどの)国々が、成長の主役を他国に譲ったのか。当初は製造と貿易で栄え、その後は行き過ぎた金融資本主義に陥ったのが共通点であると考えている。
 日本のモノづくりを支えてきたのは、チーム全体で発展する組織力。もう一度日本が持つ組織力の強みを再認識する必要がある。
 蒸気機関車はイギリスが発明した。しかし鉄道網は日本発である。東京23区内では76%の通勤者が鉄道を使っている。日本以外で最も進んでいると言われるイギリスでさえ、19%に過ぎない。
 日本がラッシュアワー、大気汚染が回避できた理由は、鉄道網にあると考えている。この存在を可能にしているのが、
日本人であり、その組織力である。
 自らの強みを失うのではなく、それを土台に創り上げたものが今回の成長戦略である。』


 おお!と思った箇所は色付けしましたが、そのほかにもいくつか。
 まず、成長センターであるアジアを利用した日本の成長戦略ですが、スピーチを聞くと首相が意図しているアジアとは、「ASEANからパキスタンまでの地域」が中心であることが分かります。この地域のインフラ基盤にODA・技術協力することで、あたかも「日本の内需」のごとく成長に活用しようという戦略で、元々の持論である「自由と繁栄の弧 」に完全に沿っています。
 とは言え、特定のアジア諸国を省いている事を明言することも(日本国首相として)できないので、「アジア」と言っているわけです。「東アジア」の定義も、わざわざ「パキスタンから東」と説しているところが、大変興味深く思いました。
 以前、毎日変態新聞が1月に「社説:09年チェンジ 世界同時不況」という記事を書き、それに基づきわたしが「新・大東亜共栄圏??? 」というエントリーを書きましたが、覚えておいででしょうか。
http://blogs.yahoo.co.jp/takaakimitsuhashi/22592451.html


 麻生首相の構想は、この毎日変態新聞の構想から「特定のアジア国」を省いたものになっているのです。

 もう一つ。わたしの本はともかく、首相が増田悦佐氏の「日本文明・世界最強の秘密」をお読みになっているのは確実だと思います。
 お分かりでしょうが、わたしも相当増田氏の著作に影響を受けています。「都市部の鉄道インフラと犯罪率の低さこそ、日本文明最強の根幹」という発想は、氏の著作を読まないとなかなか出てこないのではないかな、と。


 現在、日本経済・社会のボトルネックが、一つ、また一つと消えていっています。一年前には想像もしなかったような、新しい世界が始まろうとしているのです。
 とは言え、ボトルネックはまだまだ残っており、最大の物の一つが言うまでもなく「マスメディア」です。一日本人として、このボトルネックを何とかするために色々と始めていますが、もちろん日本のボトルネックはマスメディアだけではありません。
 日本経済全体に関しても、大きなのが一つ残っており、現在の三橋は結構、これの排除に注力を置いています。このボトルネックは本来、マスメディアの問題から派生したものです。逆に言えば、メディアをきちんと利用できれば、解消は可能だと考えているのです。
 明日は、このボトルネックについて。

 

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