三橋貴明診断士事務所
を開設しました。お仕事のご依頼はこちらから 
崩壊する世界 繁栄する日本 「国家モデル論から解き明かす」 発売中!
SPA3月31日号(表紙が矢口)P4にインタビュー記事「今週の"むちゃぶり" FRB」が掲載されています。

共同キャンペーン 日本の田植え祭  
共同提案者 渡邉哲也氏ブログ
田植え祭まとめ@Wiki  
放送倫理・番組向上機構に意見を送るス



 昨日、チャンネル桜の「日本よ、今...闘論!倒論!討論!2009-大恐慌は来るのか?世界経済と日本の行方・第4弾」に出演してきたのですが、
http://www.ch-sakura.jp/topix/488.html
 楽観論者と悲観論者が共に「アメリカドルは、危険だ」との共通認識を抱いていたのが、大変印象的でした。
 当番組で以前取り上げた「日本国家のバランスシート」を初めてご紹介したのですが、結構、出演者の方々にとって印象的だったようです。


http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_16.html#BSJP08


 このバランスシートだと、あまりにも日本のストックが健全になってしまうため、
「いや、日本政府は年金という1000兆円の『隠れ負債』があるから、日本は債務超過だ」
 と、バランスシートを全く理解していない突込みをされた方がいらっしゃいましたので、
「日本政府に年金という1000兆円の『隠れ負債』があるということは、日本の家計に1000兆円の『隠れ資産』があるということですね
 とお返し申し上げましたです、はい。(ありがとう、廣宮さん!)


 日銀が情報をアップデートしてくれたので、本来であれば、このバランスシートを08年12月末版にアップデートしなければならないのですが、まだやっていません。先に、家計の金融資産日米対比の方をアップデートしました。
 その話に入る前に、まずはこちらをご覧下さい。


家計の金融資産、5.7%減 08年末、株価急落響く
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090324AT2C2400824032009.html
 日銀が24日発表した2008年末の資金循環統計(速報)によると、家計が保有する金融資産残高は前年末比5.7%減の1433兆5167億円となった。前年末に比べた減少率は比較可能な1998年末以降で最大。昨秋来の金融危機の深刻化を背景にした株価の急落を受け、家計の株式や投資信託などの評価額が大きく目減りした。

 資金循環は家計や、企業、政府部門などのお金の流れや保有残高を分析する統計。08年末の残高は4年ぶりの低水準だった。四半期ベースでみた昨年10―12月の減少率は、1979年度の統計開始以来で過去最大(確報値で6.2%)となった同6―9月に次いで過去2番目の大きさ。

 家計の資産残高を項目別にみると、株式(出資金を含む)は値下がりによる評価額の目減りが響き、前年末比40.2%減の87兆794億円。投資信託は同33.4%減の47兆8527億円だった。昨年末にかけて金融危機に端を発した世界同時不況への警戒感が強まり、世界的に株価が急落。日経平均株価は昨年12月末時点で1年前と比べ4割下落した。 』 


 08年末における日本の家計の金融資産残高は、07年末と比べて5.7%減の1433兆円になりました。ちなみに、08年9月末は1467兆円だったので、三ヶ月で約2.3%減少ということになります。
 無論、日経の記事にもあるように「融危機の深刻化を背景にした株価の急落」が大きく影響しているわけですが、それをいったら株式の割合が日本よりも高い、アメリカの家計の方が状況は悲惨に思えます。実際の数字で見てみましょう。
 08年9月末におけるアメリカの家計の金融資産は、45.3兆ドルでした。これが08年12月末には、何と40.8兆ドルへと一気に10%も減少してしまったのです。繰り返しますが、三ヶ月で家計の金融資産が一割減ったのです。
 細かくアメリカ家計金融資産の三ヶ月の変遷を見てみましょう。(ソースは日本銀行 資金循環の日米比較:2008年4Q)


【アメリカ家計金融資産変遷 08年9月⇒08年12月 単位:兆ドル】
総額 45.3 ⇒ 40.8
現金・預金 6.1 ⇒ 6.1
債権 3.9 ⇒ 3.8
投資信託 5.7 ⇒ 4.8
株式・出資金 15.0 ⇒ 13.0
保険・年金 12.7 ⇒ 11.4
その他 1.9 ⇒ 1.6


 やはり、株式の減少額(三ヶ月で2兆ドル!が消滅)が大きいですね。
 08年末における日米家計金融資産残高を、以下の通り比較してみました。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_17.html#KinyuShisan
 恐ろしいことに、相変わらず日本の家計が持つ「現金・預金」の絶対額が、アメリカのそれを上回ってしまっています。

 さて、ここで昨日の最後に発した問いを思い出してください。

『それでは、基軸通貨国ではない国々、すなわちアメリカ以外の国々は誰に国債を売っているのか。別の言い方をすると、国債という「借金証書」と引き換えになる、現金は果たして「どこ」にあるのか。』

 金融資産といっても色々あるわけで、例えば「株式を国債に振り替える」が巨額な金額分行われた場合、何が生じるでしょう。もちろん、株価が大暴落します。
 つまり「国債を購入しやすい」金融資産とは限られているわけで、その中でも最も「使いやすい」金融資産は、いうまでも無く現金・預金になるわけです。そして「世界で最も現金・預金」を持っている国が、我らが日本なわけです。
 日本政府の国債金利が世界最低なのは、「市場がその金利でも国債を購入する」ためですが、これは別の言い方をすると日本に円建国債を購入する現金・預金があり余っているからなのです。この状況では、たとえ日本の公的債務が1000兆円を超えたところで、日本の国債金利は相変わらず低空飛行を続け、「日本悲観論者」が待ち望む日本政府の財政破綻など、夢幻のごとくでしょう。(それ以前に日本円を刷れる日本政府が、「円建」国債で破綻すると考えている人たちが、アホなのですが。)
 しかし、この最も「国債を購入しやすい」金融資産である現預金を、世界で最も多額に保有している日本を、他国が放っておくはずがありません。特に、需要収縮が最も激しく、財政支出拡大のための財源を渇望している某基軸通貨国は(ry

 日本国家に「戦略性」が、切実に求められる時代が訪れました。


 日本の家計が保有する現預金額世界一に驚いた方は↓このリンクをクリックを。


新世紀のビッグブラザーへ blog


 新世紀のビッグブラザーへ ホームページ はこちらです。
 
新世紀のビッグブラザーへ blog一覧 はこちらです。
 
関連blogへのリンク一覧 はこちらです。

 兄弟ブログYahoo!版へ