新世紀のビッグブラザーへ blog



SAPIO 12/17号に「[通貨危機]ウォン大暴落で借金国家に転落した韓国の土壇場」を寄稿しました。
http://www.zassi.net/mag_index.php?id=55
11/25 20:55~21:20 J-WAVE(FMラジオ・81.3・首都圏ネット)「JAM THE WORLD」に生放送出演しました。http://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/cgi-bin/minutes/form.cgi?event=open&start=1

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 最近、中国経済が新たな段階に入ったと思われる報道が出揃って参りました。

中国、人民元下落が急ピッチ 切り下げ誘導観測
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2M0402F%2004122008&g=G1&d=20081204
 中国の通貨、人民元の対ドル相場が急ピッチで下落している。中国当局は世界的な金融危機の影響で景気が下ぶれするのを防ぐため、元相場を切り下げ方向に誘導しているもようだ。元相場の下落は中国製品の輸出競争力を高め、経済成長を後押しする効果が期待できる。ただ、中国政府が2005年の制度改革から続けてきた元相場の切り上げ政策を転換すれば、米国などが反発するのは必至だ。
 4日朝の上海外為市場で、人民元の対ドル相場は取引開始直後に値幅制限の下限の1ドル=6.8845元まで下落した。元相場が取引時間中に値幅制限の下限まで下げるのは4日連続。(後略)』

 「管理変動相場制(通称、似非ドルペッグ制)」を採用している中国は、人民元の対ドル相場の変動を一定範囲で認めています。逆に言えば、一定範囲以上の対ドル変動を認めていません。
 中国当局は今年の七月中旬までは人民元高を許容しており、人民元は日本円とともに数少ない対ドルで上昇を続ける通貨の一つでした。ところが、七月後半から人民元の上昇ペースが落ち始め、先月末まではほぼ七月の水準を保ったまま推移します。(添付グラフ参照)
 そして今月に入り、中国は明確な人民元安政策に転換したようで、昨日の上海外為市場は1ドル6.8845元と、今年の六月十八日以来の安値水準で引けました。七月十六日につけた高値からは、ほぼ1%下落したことになります。
 同じ期間、日本円は対ドルで約10%上昇していますので、人民元の動きは明らかに不自然です。中国当局が通貨高防止の為替介入(人民元でドルを購入する介入)を行い、また外貨準備を積み上げているのでしょう。
 この中国当局の人民元安誘導の狙いは何でしょうか。もちろん日経の記事にあるように、輸出促進が目的なわけですが、それで終わってしまうとあまりにも芸がありません。
 ここで復習を兼ねて、中国のGDP構成を振り返ってみましょう。

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_13.html#CHINAGDP

 ご覧頂いた通り、中国のGDPの中で「純輸出(注:中国の場合は ≒貿易黒字)」が約一割を占めます。何だ一割か、などと思うなかれ。純輸出対GDPが10%というのは、世界の主要国でトップクラスです。
 ご存知の通り日本の純輸出対GDP比率は1%そこそこで、アメリカやイギリスに至ってはマイナスです。GDPの一割を純輸出に頼っている中国こそが、まさに「外需依存国」の名に相応しいのです。(主要国では、ドイツの純輸出対GDP比率が中国に近いです。)
 中国のGDPに話を戻します。中国のGDP構成で特徴的なのは、個人消費がGDPに占める割合が、年々減っていってしまっているという点です。ご存知、社会保障制度が存在していない中国では、一般国民は万が一や老後に備えて、ひたすら貯蓄に励み続けています。中国の貯蓄率は主要国の中でも突出して高く、昨年は25%程度でした。
 上海総合株式バブル崩壊までは、中国人の景気の良い消費っぷりが日本で繰り返し報道されましたが、あれはあくまで沿海地域のバブルで儲けた一部の人たちの話です。大体、13億人を超える中国人がそれほど消費を謳歌しているのであれば、個人消費の対GDP比率が年々減り続ける説明がつかないのです。
 さて、昨年後半に始まった株式バブル崩壊や、インフレーション、それに沿海工業地域の失業率上昇により、現在の中国の個人の消費は冷え込みつつあります。それに加えて、GDPの40%を占める、ある意味、ここ数年の中国高度成長を支えてきた要の項目と言ってよい総固定資本形成(要は、住宅投資と設備投資)が洒落にならない状況になりつつあるのです。
 とくにデンジャラスなのが、不動産・建設産業です。

後編に続く
http://blogs.yahoo.co.jp/takaakimitsuhashi/21155884.html