「ドル崩壊! 今、世界に何が起こっているのか?」現在、amazonランキング71位!再び二桁!(ナゼ・・・?)
http://www.amazon.co.jp/dp/4883926583
http://www.7andy.jp/books/detail/-/accd/32119420
 
 9月22日(月)発売のSPAに、インタビュー記事が出ます。
 9月19日(金)発売の撃論ムック「猟奇的な韓国」に「崩壊進行中の韓国経済の病理」を寄稿しました。
http://www.oakla.com/gekironweb/gekironcontents.html
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4775512609

米、最大75兆円の不良資産買い取り案を議会に提示
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080921AT2M2100K21092008.html
 米財務省は20日、公的資金による不良資産買い取り案を議会に提示したと発表した。買い取り規模は最大7000億ドル(約75兆円)で総合的な金融安定化策の最大の柱となる。米政府は週内決着をめざしているが、議会では借り手支援拡大などを求める声も浮上している。 (中略)
 財務省案によると、買い取り期間は2年。住宅ローンや関連の証券化商品が購入対象。7000億ドルの上限は、買い取る資産の帳簿価格ではなく売買価格で算出する。 (後略)』

 先週後半は、日米欧主要六中央銀行による資金供給(ドル供給)と、公的資金による不良資産の7000億ドル買取案に関するアメリカ政府の報道により、株式市場は週前半の下げ幅をほぼ取り戻して引けました。しかしもちろん、大元のアメリカ住宅市況は落ち込んだままであり、資産の不良化が止まらない以上、実際には問題は何も解決してはいません。
 明日、月曜日から上記不良資産買取案に関する、アメリカ議会による検討が始まりますが、ポイントになりそうな事項を予めリストアップしてみたいと思います。
 買取案の要旨は以下の通りとなっています。

 ①最大金額:7000億ドル(約75兆円)
 ②期間:二年間の時限措置
 ③対象金融機関:米国内に本店を置く金融機関のみ
 ④買取対象:住宅ローン、商業ローンの他、住宅ローンに関連するあらゆる証券化商品
 ⑤買取原資:米国債発行
 ⑥買取方法:入札方式(最も安い金額を提示した金融機関から、優先的に買い取る)

 個人的に気になる点を幾つか上げます。①から③までは、まあ、いいでしょう。問題は④から⑥です。
 最初に④ですが、まずは日本の不良債権買い取りスキームの柱であった、RCC(整理回収機構)を思い出してみてください。アメリカのスキームは、当面は財務省が民間金融機関から専門家を雇い、買取と売却業務を行うことになっています。まあ、それは別に構わないのですが、一つ、今回のアメリカのスキームとRCCとの間に、決定的に違う点があるのにお気づきでしょうか。
 そうです。買取対象の債権が、日本のRCCの場合は主に企業融資などであり、差押の対象が「企業」という実態を持つ存在だったわけです。そのため、RCCは買い取った債権を整理して売却するのみならず、再生見込みの高い企業については再生させ、そうではない企業については責任を追及していきました。また、基本的にRCCの業務は国民生活と無関係で、かつ影響範囲が日本国内に限定されました。
 それに対し、今回のアメリカのスキームでは、買取対象が「証券」「債券」です。つまり、差押対象が実体を持たない、「金融工学」により産み出された「クレジット」なのです。(要は、この「証券」を持つ人に「誰か」が利回りを支払うというクレジットです。)しかも、証券が複数の証券化プロセスを辿っていた場合など、証券が最終的にデフォルトに陥ったとき、アメリカ政府は一体誰に責任を追及すればいいのでしょうか? 日本のRCCの場合は「企業」及び「経営者」だったわけで、責任の所在が明確だったわけです。
 更に、今回の「証券」のステークホルダーは、世界中に拡散しています。果たしてこの状況で、買い取った債権の最終処理が可能なのでしょうか。恐らく、永久的に塩漬けにするしかないような気も致します。(インディ・ジョーンズ「失われたアーク」のラストシーンのように、買取った証券を詰め込んだ箱を、某所に封印しちゃうとか。)
 さて⑤ですが、案の定、アメリカ国債で買取原資を調達するとなると、二つ疑問が浮かびます。一つ目は、一体誰がこの巨額の国債を引き受けるのでしょう、という疑問です。
 例により、外国の貿易黒字国ですか? しかし、世界的な需要の縮小で、日中独など代表的な輸出大国の貿易黒字が明確な減少を見せています。この状況で、果たしてアメリカは順調に国債を消化できるのでしょうか。
 予め書いておきますが、すでに現段階で、日本は米国債の持ち高を減らしつつあります。
 次に、もしも巧く国債を消化できたとして、これだけ巨額の債務が一気にアメリカ政府に積み上がり、果たして米国債は信用を維持できるのかという疑問です。額も巨額ですが、調達された資金により購入されるのが「価値が減少していく」のが確実な証券な分けです。下手に巨額の新国債を消化できたために、逆に米国債の格下げというクラッシュを引き起こしたりはしないか、不安でなりません。
 最後の⑥ですが、これは各金融機関に「できるだけ評価損を被れ」その上で、残った部分を引き受ける)と言っているわけで、アメリカ政府としては当然の主張だと思います。が、結局は巨額の評価損を被ることができるだけの「体力」が各金融機関に残っているかどうか、がポイントになってしまうわけで、果たして仕組み的に有効に機能するのかどうか、疑問に思えます。
 まあ、今回の不良資産買取案は、上記の疑問点以前に、果たしてアメリカ議会に批准されるかどうかという、最大の難点が未解決なんですが。

米政府の不良資産買い取り計画は民主、共和党の対立招く恐れ-議会で
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003009&sid=aMz0S.hQ6ZSA&refer=jp_home
 米議会民主党は政府が提案した住宅ローン関連の証券など7000億ドル(約75兆2150億円)の不良資産買い取り計画を利用して、米金融機関の首脳の給与抑制や住宅の差し押さえ回避を実現しようとしており、ブッシュ政権や共和党と対立の可能性がある。(後略)』

 後略以降も大変参考になるので、ぜひお読みください。今週の株式相場と為替相場は、アメリカ議会の動向により、再びジェットコースター状態に陥りそうな気が致します。

 アメリカの不良債権買取案とは別に、先週末、国家による株式買い支えを行った中国とロシアの株価がどのように推移するかも、中々見所です。と言うか、大変不安ですw
 また、22日には自民党新総裁に麻生太郎氏が選出されることがほぼ確実な情勢です。
 麻生氏は選挙戦の期間「企業・個人向け減税による内需のテコ入れ」を主張(by日経新聞)されていました。まさにこの時期、「日本の内需というモノの見方」が可能な人にこそ、この国においてリーダーシップを発揮してもらいたいのです。これはもちろん日本のためでもありますし、同時に世界経済のためでもあるのです。
 以前も書きましたが、プラスサムゲームの内需に対し、外需はゼロサムゲームです。日本が外需(純輸出)を伸ばしたとき反対側の国のGDPが純輸入となり、需要を日本に奪われる事になります。
 世界経済が順調に成長していっている時期なら別に構わないのでしょうが、こんな時期に世界で二番目の規模の内需を持つ日本が、「外需頼み」「外需頼み」などと連呼しているのは、世界に対し大変「非貢献的」というものですよ。ねえ、与謝野さん。

 人気ブログランキングに参加してみました。
 日本が大好き!な方は、↓このリンクをクリックを。
http://blog.with2.net/in.php?636493  

 新世紀のビッグブラザーへ ホームページは↓こちらです。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/index.htm
 新世紀のビッグブラザーへ blog一覧は↓こちらです。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/blog.html