「ドル崩壊! 今、世界に何が起こっているのか?」再重版決定!m(_ _)m 感謝!
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9月19日(金)発売の撃論ムック「猟奇的な韓国」に「崩壊進行中の韓国経済の病理」を寄稿しました。
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 本日は、以前もご登場いただいたNOさまのご投稿を中心に、崩壊始めた世界の自動車市場について。
 実はここ数週間、NO様から世界の自動車市場(特にアメリカ)の急減速について警告の情報を幾つか頂戴していたのですが、本日の日経についに大々的に世界の自動車市場に警鐘を鳴らす記事が掲載されました。

新車販売 世界で急減速(日本経済新聞 2008年10月3日朝刊)
金融危機 製造業に波及 08年台数 7年ぶり減少も
 米国発の金融危機が世界の自動車産業を揺さぶっている。震源地の米国の新車販売台数は九月、前年同期比26.6%減となり十七年ぶりの低水準に縮小。ガソリン高に加えた金融機関の貸し渋りや株安などを背景に頼みの綱だった新興国市場も減速感が強まっており、今年の世界販売台数は七年ぶりにマイナスに転じる可能性が出てきた。世界経済の牽引役となってきた自動車産業の不振は金融危機が実体経済に波及し始めたことを象徴している。
 -15年ぶり低水準
 一日にまとまった九月の米新車販売台数は異例の数字ずくめとなった。年率換算では湾岸戦争で個人消費が冷え込んだ1991年以来の低水準で、単月の販売台数が百万台を割り込んだのも93年以来となる。
 ガソリン高に加え金融危機に伴う株価下落で消費者の購買意欲が一段と減退。自動車ローンの利用が難しくなったこともあり需要が大きく冷え込んだ。最近は「燃費のいい小型車も売れ行きは厳しい」(トヨタ自動車の石井克正常務役員)
 2008年通年の米販売台数は07年の1615万台から約1400万台に減少、93年以来十五年ぶりの低水準に落ち込みとの見方が強い。
 欧州(主要十八カ国)の販売台数も八月まで四ヶ月連続で減少。前年同月比16.5%減だった八月に続き、九月も二桁減になった模様だ。インドは七月、中国は八月に前年比マイナスに転じた。新興国でも伸び悩み始めたことで、世界の自動車市場が大きく減速するのは必至だ。(後略)』

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_12.html#Car081003

 リンク先のグラフを見ると、本当にアメリカの自動車市場が1615万台⇒1400万台レベルの縮小で済むものだろうかと、ゾッと背筋が寒くなるのを覚えます。特に九月の米国自動車市場の販売台数百万台割れは、業界の人々に大いにショックを与えたようです。
 世界第二の自動車マーケットに大成長を遂げる!などという謳い文句で日経が煽っていた中国も、八月に対前年比マイナス成長に落ち込む体たらくであったことは、以前のエントリーで書きました。実は、記事にもグラフにも載っていませんが、ロシアの自動車市場も八月は対前月比で22%のマイナス成長となる急ブレーキになりました。(対前年比では辛うじてプラス)中国にしても、ロシアにしても、某巨大自動車メーカーがかなり入れ込んでいましたよね。果たして、トヨタの運命はいかに・・・。
 しかし本当に恐ろしいのは、今後、中国やロシアで減産や工場閉鎖に追い込まれる可能性があるトヨタでさえも、アメリカのビッグスリーに比べると、状況はむしろ良好とさえ言えることです。(注:トヨタは中国では九月から減産を始めました。また、ホンダも中国で生産調整を開始したという情報も入ってきています。)
 アメリカのGM、フォード、クライスラーは、米国自動車市場縮小に加え、自前の金融会社の危機の影響をまともに喰らい、本業以外で大幅な赤字を余儀なくされているのです。言わば、市場縮小と金融危機の挟み撃ちを受けているようなもので、果たしてビッグスリーが一年後も三社共に生き残っていられるかどうか、疑問に思えてなりません。
 ドルの危機は容赦なく実体経済にも波及し、代表的な産業である自動車産業に牙をむいたわけです。
 最近、とみに"ジャイアン化"しているアメリカは、ビッグスリーの苦境を救うために「米国政府保証による、三社に向けた低利融資」を実施する法律を成立させました(おいおい・・・)。この法律により、ビッグスリーは米国政府が供与する保証枠を利用し、総額二兆七千億円の低利融資を受けることが可能です。
 どこの共産国の法律だよ・・・と揶揄したくなるようなアメリカ政府のビッグスリー支援ですが、恐らくこの支援は無駄に終わる可能性が高いでしょう。と言うか、むしろ逆効果ではないかとさえ思います。
 なぜならば、ここ数年、日本の自動車メーカーがなぜ世界を席巻できたかといえば、「世界で最も自動車が不要な」日本人を相手に自動車を開発し、競争力を磨き上げてきたからです。
 以前にも書きましたが、東京という公共インフラが整い、治安もいいメガロポリス(しかも駅近のマンション)に住むわたしは、文字通り「全く」自動車を必要としません。あらゆる社会インフラへのアクセスが、徒歩または公共交通機関により可能です(しかも時間的には、自動車よりも間違いなく速い)。わたしのように「別に、自動車は必要ないし~」な生活を送っている人間の割合は、主要先進国では日本が確実に最大です。
 日本の自動車メーカーは、「別に自動車は必要じゃないし~」な人々に対して自動車を販売しなければならず、日本国内の自動車市場は間違いなく世界屈指の競争市場と化していたわけです。この日本市場でひたすらもまれ、叩かれ、必死に技術やサービスを磨き上げた日系自動車メーカーが生産する車が、世界市場で大いに受け入られているのは当然の話だと思います。
 とはいっても、やはりトヨタもアメリカで四苦八苦しているのは間違いないようで、先ほど以下のニュースが入ってきました。

<トヨタ>ゼロ金利キャンペーンを開始…7割対象に
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081003-00000083-mai-bus_all
 トヨタ自動車は3日、米国で販売しているトヨタブランド車の7割を対象に、自動車ローンの金利をゼロにするキャンペーンを開始したと明らかにした。トヨタが米国で大規模な「ゼロ金利」を展開するのは初めて。米低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題に端を発した市場低迷が深刻なため、実質的な値下げで販売をてこ入れする。(後略)』

 恐らく一年後、世界の自動車メーカーや自動車市場は激変を遂げているのではないでしょうか。少なくとも、アメリカのビッグスリーが三社とも健在でいられるとは、今の状況見ているととてもではないですが信じられないのです。。

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