「ドル崩壊! 今、世界に何が起こっているのか?」再重版決定!m(_ _)m 感謝! amazonの在庫も復活!
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9月19日(金)発売の撃論ムック「猟奇的な韓国」に「崩壊進行中の韓国経済の病理」を寄稿しました。
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 初めに書いておきますが、今日のエントリーはとても「固い」です。

 もしも子供から「経済って、なあに?」と質問された場合、あなたは何と答えますか? これが本日のテーマです。
 Wikipediaから経済の意味を引っ張ってくると、「社会が生産活動を調整するシステムのことである。世の中にある資源は有限であり、希少性を有する。社会においてはさまざまな財(商品)が生産され、交換・分配などのプロセスを経て消費されるが、資源の希少性ゆえ要求されるすべての商品が供給できるとは限らない。経済はそれらの要求に応じて供給を決定し、実行するシステムである。」と、長ったらしい上に、概念語が頻発する説明になります。この説明で子供を納得させることは、無論、不可能です。
 しかも、実際のところ、これだけでは「経済」を説明するには不充分です。経済には商品供給のみならず、生産と消費が同時に行われるサービスもありますし、対価(お金)が動かない場合もあるボランティアも立派な経済活動の一つだからです。
 要は、本日は「概念語」の話なのですが、日本は「漢字」というツールを用い、幕末以降、様々な概念語を産み出し、アジアに輸出していきました。例えば経済はもちろんのこと、文化、文明、民族、思想、法律、資本、階級、分配、宗教、哲学、理性、感性、意識、主観、客観、科学などなど。子供から「○○って、なあに?」と聞かれ、説明に困る、というか簡単に説明できない言葉である「概念語」の多くは、日本では日本人自身が「産み出した」漢字語です。
 実際には幕末から明治にかけ、西洋からの輸入概念に、漢字を当てはめたわけです。無論、概念語自体は幕末以前から大量に日本に存在していました。
 我々は経験と学習から、例えば「経済」の意味を理解しており、使用していますが、この手の概念語無しでは、高度な思考や文章表現は事実上、不可能だと思います。「需要」「供給」「資本」「生産」「消費」などの概念語無しで、果たして経済を説明できますか?という話でございます。
 概念語の「産出」方法には色々あるようで、当然ながらこれには文化的バックボーンが大きく影響します。
 例えばアメリカのサブプライムローン問題を語る際にはCDS、MBS、CDO、SIV、GSEなどなど、わけの分からない三文字略語のオンパレードになります。これも立派な概念語で、金融関係者などは、当然相手がこの手の略語の意味を分かっているものとして、話したり書いたりするでしょう。しかし、日本人のわたしが初めてこの手の略語を読んだ時は、何を書かれているかさっぱり分かりませんでした。もちろん、注釈などで「CDS:~~~」という説明は載っているのですが、それを読んでも、正直さっぱり理解できませんでした。
 概念語を理解するには、ある程度の経験が必要なのだと思います。この「経験」を本の上で体験してもらおうというのが、実は「ドル崩壊!」を書いた動機の一つだったりします。
 さてCDOなどの三文字略語ですが、日本人にとっては「債務担保証券」と漢字で書いてくれた方が、まだしも理解しやすいですね。しかし、CDSの場合は、たとえ「クレジット・デフォルト・スワップ」とカタカナで書かれたとしても、恐らく理解不能でしょう。更に、もしもCDSを漢字語にしてしまうと「貸付債権信用保険型金融派生商品(適当です)」とか何とかになってしまい、余計混乱しそうです。と言うか、単語が長すぎて、実際に使用しようとすると不便極まりないですね。
 アメリカ人なら「CDSはCDSで理解するのが正しい」と言うでしょうし、それはその通りなのでしょうが、漢字語文化圏の人間にとってはこの手の略語を活用するのは難しいものです。これはもちろん逆もしかりで、日本語を勉強する外国人にとっては、山ほど出てくる漢字語、概念語の学習・理解に苦労するであろうこと、疑いありません。
 しかしこの手の概念語を産み出す手段を持っていない、あるいは産み出しにくい文化・文明の場合、高度な思考や会話、記述をするのに大変な苦労をすることになるでしょう。もちろん、漢字語を捨ててしまった韓国のことなのですが。
 例えば先ほどのCDSにしても、無理やりに「貸付債権信用保険型金融派生商品」と漢字語を作った場合、日本人(恐らく中国人も)がこれを読めば、何となく意味が分かります。少なくともこれが金融業に関連する言葉であることは、100%近い確率で分かるでしょう。
 しかし、これが「カシツケサイケンシンヨウホケンガタキンユウハセイショウヒン」などと書かれてしまうと、もはやエコエコアザラク級の呪文と化してしまい、読んだ人には何がなんだかさっぱり分からないでしょう。しかも「サイケン」が「債権」なのか「債券」なのか「再建」なのか「再見」なのか、「辞書を引いてさえ」分からない文明の場合は、なおさらです。
 漢字語を失ってしまった韓国人は、果たして概念語をいかに産出しているのか。恐らく英語の概念語は、そのまま英語で使用しているのではないかと思いますが、それにしても苦労が絶えなそうですね。
 本日のテーマは「概念語」でしたが、明日は「抽象化」について。

 さて、日本経済の話ですが、昨日「1929年(の大恐慌)に匹敵する。欧州も巻き込んでいるので、日本に影響は必ず出てくる。目先の景気対策、金融対策が優先されるべきだ」と発言した麻生首相が、補正予算に続く緊急経済対策を指示しました。
 
麻生首相 追加的な緊急経済対策を指示
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/081009/stt0810091010002-n1.htm
 米国発の金融危機を受け、麻生太郎首相は9日午前、自民党の保利耕輔、公明党の山口那津男両政調会長と首相官邸で会談し、追加経済対策の早期策定を指示した。与党は取りまとめを急ぎ、平成20年度補正予算案の成立後、直ちに打ち出す方針だ。
 会談で保利氏は首相に「赤字国債発行もやむを得ない」と述べ、規模は現在の補正予算案を上回る考えを示した。これに対し麻生首相は明確に回答しなかったという。追加経済対策は高速道路料金の大幅引き下げや中小企業の資金繰り支援強化などが柱。内需刺激策として、設備投資減税、証券優遇税制、定額減税なども盛り込まれる見通し。
 これに先立ち、自公両党の幹事長、国対委員長、政調会長が都内で会談し、追加経済対策の策定に直ちに着手する方針を確認した。自民党の細田博之幹事長は記者団に「不況の足音が高くなっており、さらなる景気対策をしなければならないのは事実だ」と語った。』
 
 この期に及んで「外需拡大策」など正気の沙汰ではありませんので、「内需拡大」という路線に舵を切った麻生内閣を、わたしは素直に評価したいと思います。
 また、わたしが福田前首相をいまいち評価できないのは、この種の危機が起きた時に、他人事のようなコメントを発してしまう癖のようなものがあったからです。報じるメディアに多くの問題があるのは確かですが、例えば中国毒餃子で、中国公安省が中国国内での毒物混入に否定的な見方を示したことに関して「非常に前向きだ」などというコメントが「報道」されてしまう時点で、福田前首相の危機管理能力に問題があったか、あるいは脇が甘かったとしか言いようがありません。
 何というか、日本人は何だかんだ言っても、日本政府を信頼している、あるいは信頼したいわけです。その政府のトップにこの種の他人事な発言をされてしまうと、殆どの日本人は疎外感を感じざるを得ないでしょう。
 その点、麻生現首相は少なくとも「大変な事態だ(実際、大変な事態です)。大至急、対策を練る」と、多くの日本人が抱いている恐れに「共感」する発言を繰り返しています。これは、非常に巧いです。
 自分の失言に対してさっさと謝罪して終わりにしてしまう点なども含めて、麻生氏にはメディア対策のブレーンが存在しているのではないかと想像したりします。もしかしたら、ご本人かも知れませんが。

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