「ドル崩壊! 今、世界に何が起こっているのか?」再々重版決定!m(_ _)m 感謝! amazonの在庫も復活!
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9月19日(金)発売の撃論ムック「猟奇的な韓国」に「崩壊進行中の韓国経済の病理」を寄稿しました。
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http://blogs.yahoo.co.jp/takaakimitsuhashi/17553399.html
 9月24日に書いた「世界経済最後の貸し手たち」「世界経済最後の貸し手」という言葉は、「本当にヤバイ!中国経済」を書いていた時に、世界にマネーを提供していた国々、国際収支の資本収支が大幅に赤字になっていた二カ国、すなわち日本とスイスについて説明する際に思いついたものです。その後、スイスが転び、日本が正真正銘の「世界経済最後の貸し手」になってしまいましたが、誰でも思いつきそうな言葉なので、もしかしたら以前に何らかの折に目に触れたこの言葉が、頭の片隅に残っていて、執筆中にアウトプットされたのかもしれません。
 「ドル崩壊!」の最大のキーワードである「フェイクマネー」の方は、これは出所がはっきりしています。「ドル崩壊!」にも書いたように、ロイターの報道です。
 今回の世界的な経済危機を表現する際に、フェイクマネーは確かに適切な言葉ではありますが、危機の半面しか表していない気がします。つまり、現在進行中の世界的な危機の「金融面」のみを表しているに過ぎないと思うのです。
 ではもう半面は何か、足りない概念は何かといえば、もちろん「実体経済」の危機を表現する言葉です。本日の日経朝刊に、現在の実体経済の危機を一語で表現する言葉が載っていましたので、「あ、やられた!」と思ったわけです。
 その言葉とは、「最後の買い手」です。

止められるか 金融・経済危機 需要支える国際連携必要 日本経済新聞2008年10月15日朝刊
 金融危機に注入する公的資金は米欧で合わせて五十兆円以上-。金融危機に手をこまねいていた米欧の政策当局が包括的な金融安定化策を一斉に打ち出した。これを好感して、世界の株式相場は急反騰している。
【融資絞込み】
 だが、公的支援で資本が増強されたとしても、欧米の金融機関が貸し出しを増やすとの見方は少ない。膨らんだバランスシートの圧縮は、傷んだ経営を健全化するのに避けて通れないからだ。
 「クレジットカードの利用限度額引き下げを突然通告された」。米メディアはそんな消費者の声を伝えている。住宅価格が下落している地域の住民が標的という。顧客拡大に懸命だったクレジットカード会社が、信用の絞込みを始めた。
 保有する住宅の時価より、住宅関連の借入額の方が大きい米国の世帯は一千万以上に達する。住宅の値下がりが止まらないためで、消費にも回っている住宅関連の新規融資は、この二年で十四分の一に激減した。
 借入に頼って膨らんだ米国の消費は維持不能の所まで来ている。国内総生産(DGP)に占める消費の比率は60%台半ばで安定していたが、ここ二十年近くは一本調子で上昇し、今年4-6月期には70.9%と空前の水準になった。
 住宅バブルの崩壊から消費バブルの崩壊へ。米エコノミストの間では今年7-9月期から一年間は米国の消費がマイナスになるとの見方が出てきた。それを裏付けるように九月の自動車販売は前年比26%減と惨憺たる状況になった。
 2000年代に世界経済が高成長を遂げた一因は、世界的なカネ余りに伴う低金利で、米国人が背伸び消費を続けたことだ。そんな「最後の買い手」の退場は世界経済に大きな打撃をもたらしかねない。04年には二桁増となった世界の貿易量の伸びも今年は5%以下に落ちる見通しだ。(後略)』

 http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_02.html#sekaikeijou

 すでに何度もこのグラフは登場していますが、世界の経常収支赤字の内、アメリカ一国で実に七割を引き受けていました。アメリカはサービス収支が比較的大きな黒字ですので、貿易収支の赤字だけに絞ると世界に占める割合はもっと増えるでしょう。
 しかも、恐ろしいことにアメリカの消費(貿易赤字)がここまで膨れ上がったのは、住宅バブル、住宅価格上昇を前提にしたホーム・エクイティ・ローンなどの(架空の)キャピタルゲインに基づく「借金」だったわけです。つまり、フェイクマネー(の一部)です。
 日本はアメリカにフェイクマネーの源泉となるマネーを貸付け、借金で消費しまくるアメリカ人に製品を輸出することで潤いました。世界中の国々が何らかの形で「フェイクマネー+最後の買い手」のモデルに携わることで、かりそめの繁栄に酔いしれました。多くの国は、アメリカのモデルを模倣し、国内の株式・不動産・通貨バブルにフェイクマネーを引き寄せ、海外からモノを買い捲り、「貿易赤字の繁栄」を築き上げました。
 イギリス、スペイン、アイスランドなどに代表されるこのモデルは、今やもろくも崩れ去り、後にはコア・コンピタンスの産業を失った抜け殻のような国ばかりです。
 前述の日経の記事は、後半は以下に続いています。

『【日本、外需に限界】
 財政赤字が膨らみ、政策金利も極めて低い日本はマクロ政策に限界がある。だが、外需頼みから脱却し。内需の成長力を高める施策に知恵を絞るべきだ。競争力の強化に繋がる投資を税制面から後押しするなど重点的な対応が求められる。』

 お前が言うな!は、もういいでしょう。後出しジャンケンでも風見鶏でも何でも構いません。日経が現実を見据えた内需重視に転じた事を、素直に評価したいと思います。
 世界経済「最後の買い手」が沈もうとしている今、日本に求められる役割は、我々が思っている以上に大きく、そして世界経済に対する責任も同じように大きいのです。
 この時期、麻生総理大臣、中川財務・金融大臣、白川日銀総裁という、アカウンタビリティに優れたトリオが日本の中枢に座っている事は、本当に幸運だと思います。先週からのこのトリオの働きを、超大国のトリオ(ブッシュ、ポールソン、バーナンキ)の動きと比べてみてください。確かにブッシュ政権が政権末期のレームダック化しているという問題もありますが、それにしても差がありすぎるとは思いませんか。
 世界経済最後の買い手が崩れ落ちようとしている今、その役割を(全く同じレベルは無理としても)代替できる国内需要を持つ国は、もはや日本しか残されていないのです。

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