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9月19日(金)発売の撃論ムック「猟奇的な韓国」に「崩壊進行中の韓国経済の病理」を寄稿しました。
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 以前、麻生総理が誕生した自民党総裁選挙に際し「最高に強い種が、最高に知的な種が、生き残るわけではない。周囲の変化に最も敏感に適応した種が、生き残る」というチャールズ・ダーウィンの言葉をご紹介しました。

金融・経済危機 今、何をすべきか(下) 2008年10月21 日本経済新聞朝刊一面
政治空白避け 内需喚起 日本経団連会長 御手洗富士夫氏
-欧米金融危機を切っ掛けに日本経済もふらつき始めています。
「日本の景気回復は世界同時好況の中で外需を支えに五年超も続いた。金融危機で外需に頼れなくなりつつある今こそ、内需拡大の手段を講じて落ち込みを防がないといけない
【対策 減税中心に】
-政府・与党は月内に追加経済対策をまとめようとしています。
「景気対策として注文したいのは、まず所得減税だ。年収五百万円以下の所得者層を対象に二兆円相当の現金を戻す措置が必要。あわせて子育て世帯への減税も検討すべきだ。住宅ローン減税は今の借入上限額二千万円を三千万円に引き上げるなど拡充した上で、三年の延長を求めたい。」(後略)』

 色々批判する人もいるでしょうが、ここ数年、それこそ外需依存で急成長してきたキヤノンの会長「内需を喚起せよ」と言えるのは、率直に言って凄いと思います。人間は、中々自らの成功体験の枠内から抜け出せないものだと思っていましたが。
 実際問題として、世界中で(特に先進欧米諸国から)需要が縮小していく中で、「日本は輸出依存の貿易立国」などと考えるのは、狂気の沙汰としか言いようがありません。しかも日本の場合は、シンガポールや韓国のように内需が小さいために外需依存になっているわけではなく、世界第二位の規模の内需を持っているわけですから。
 政府の首脳陣と経団連会長が、一応と言っては失礼ながら、状況が見えているのは大変嬉しいことです。と言うか、もしも状況がこの逆で、政府や財界が未だに「外需、外需」言っている情景を想像してみてください。
 さて、世界的な需要縮小は先進諸国のみならず、つい最近まで持て囃されていた新興諸国の経済までも直撃しようとしています。新興経済諸国の中で最も内需が大きな中国でさえ、経済成長率が一気に減速しました。

中国GDP伸び率9・0%、3年ぶりに1けた成長
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081020-00000017-yom-bus_all
 中国国家統計局が20日に発表した2008年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値の実質伸び率は前年同期比9・0%と、四半期ベースでは05年の10~12月期以来の1けた成長となった。
 米国発の金融危機の影響による世界経済の低迷で、輸出や工業生産の伸びが大きく鈍化した。世界の成長センターの一角として03年以来、年間2けた台の高成長を続けてきた中国が、6年ぶりに1けた成長へ減速する可能性が出てきた。
 中国政府は「金融危機が国内経済に影響を与え始めている」(国務院常務会議)として減税や金融緩和、輸出促進策などの景気対策を早急に打ち出す方針だ。
 生産・輸出の鈍化は今年に入ってから強まっており、1~9月期のGDP伸び率は前年同期比9・9%だった。
 製造業などの第2次産業の1~9月期の実質GDP伸び率は10・5%増と、前年同期の伸び率に比べ3・0ポイント低下。サービス業などの第3次産業の伸びも前年同期から2・4ポイント下がって10・3%にとどまった。1~9月期の輸出の伸びは同22・3%と、昨年1~9月の伸び率(27・1%)から大きく減速、貿易黒字額も1809億ドルと同2・6%減少した。
 個人消費の指標の「社会消費品小売総額」の1~9月期の伸び率は名目で前年同期比22・0%増、設備投資などを含む「固定資産投資」の名目伸び率も前年同期比27・0%増だった。9月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比4・6%の上昇と、8月(4・9%)からさらに低下した。
 中国では今年、沿岸部の輸出企業を中心に中小企業の倒産が相次ぎ、上半期だけで2000万人以上が失業したとされる。最近も米国を主な取引先としていた広東省の世界最大級の玩具メーカーが経営難に陥り、数千人規模の労働争議が発生するなど、景気後退が社会不安につながりかねない情勢となっている。 』

 上半期だけで2000万人以上が失業とは、属国の上を行くダイナミックぶりですね。
 中国の内需、特に個人消費の縮小については、日経により詳しい状況が載っていました。
 現在、中国では明確に高額品の売れ行きが鈍り始めているそうです。例えば先日のエントリーで、8月の中国国内の自動車販売が前年実績割れになってしまったことをお伝えいたしましたが、9月もまた、前年割れになりました。二ヶ月連続で自動車販売が前年実績割れということで、中々深刻な状況です。
 更に家電の売れ筋商品などは、北京五輪前よりも1~2割安になっています。「本当にヤバイ!中国経済」で、わたしは「食糧、エネルギー、医薬品」がインフレ状態にありながら、「携帯電話、自動車、家電製品」がデフレ状態になっている、つまり工業製品の価格が下がり続けている中国の謎について触れましたが、北京五輪以降、この状況がより悪化したということです。
 一言で書くと、供給過剰状態な分けですけどね。
 一方、早くも「工業製品が売れなくなった」中国市場では、何とトヨタ自動車が「一万元(約十五万円)の値引きに加え、内装も一千元まで無料にします。」という販売テコ入れ策を実施しているそうです。トヨタですよ、トヨタ。
 「中国13億人の市場!」などと日系企業を煽っていた奴ら、ちょっと前に出て、日系企業の前で土下座しろ、という感じです。

 本エントリーを書いている間も、為替相場は刻々と動いておりまして、何とか踏みとどまろうとしているドル円以外、クロス円総崩れの状態です(要はドル高超円高)。ちなみに20:30現在、ドル円は100.9円、ユロ円が133.33円、豪ドル69.3円、ポンドル171.3円となっています。
 輸出企業の状況は益々悪くなっていきますが、はっきり言って、円高だろうが円安だろうが、世界的な需要縮小が起きている以上、マーケットを外に求めるのは愚の骨頂でしょう。どうせ売れません。
 同じ時期、世界第二位の需要を持つ日本人の購買力は、円高が進むにつれ、刻一刻と上昇していっているのです。
 ここで、冒頭のチャールズ・ダーウィンの言葉に戻るわけです。

 最高に強い種が、最高に知的な種が、生き残るわけではない。周囲の変化に最も敏感に適応した種が、生き残る。 

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