「夕刊フジ 11月14日版 韓国経済“崩壊”危機…止まらぬウォン安、年末要注意」にインタビュー記事が載りました。
http://www.zakzak.co.jp/top/200811/t2008111445_all.html
「Voice 12月号 特集 金融危機を突破する法」に「特集Ⅱ 東アジアの危険な火種 韓国経済は崩壊寸前だ ウォン暴落、純債務国化-悪循環は連鎖する」を寄稿しました。
http://www.amazon.co.jp/dp/B001IUMRZW/

 最近の新聞紙上で最も数多く登場する国際機関の名称と言えば、文句なしでIMF(国際通貨基金)でしょう。
 今回の金融サミットでも、焦点の一つは金融危機に見舞われている国に対するIMF融資と、IMFの機能(融資能力)強化でした。

IMFに対し外為特会より最大1000億ドル資金融通を行う用意、新興国支援で=麻生首相提案
http://jp.reuters.com/article/domesticFunds/idJPnJT827801220081113
 政府は、14日からワシントンで開催される緊急首脳会議(金融サミット)で、麻生太郎首相が提言する金融危機克服に向けた提案の概容を発表した。国際通貨基金(IMF)に対し、外国為替資金特別会計から最大1000億ドルの資金融通を行う用意があることを正式表明し、IMFの新興国向け融資を側面支援する。金融危機防止策として、IMFの市場監視機能や早期警戒機能を向上させる必要性も提言する。(後略)』
 
 外国為替資金特別会計とは、政府の特別会計として外国為替(主にドルやユーロ)の保有や売買、それにともなう取引を管理する会計です。為替介入を実施したりする際などに使われ、円高介入(ドル買いなど)で得た外貨は外貨準備となります。
 2008年10月末時点の日本の外貨準備は977,723Mドル。前月比で18,167百万ドル減少しましたが、これは恐らく、十月のユーロ対ドル暴落が原因でしょう。
 http://www.mof.go.jp/1c006.htm
 財務省の「外 貨 準 備 等 の 状 況(平成20年10月末現在)」を読むと、外貨準備の内、預金されているのはわずかに10%で、85%以上が何らかの有価証券(もちろん多くは米国債)で運用されていることが分かります。今回のIMFへの資金融通(融資)は、有価証券で運用されている分を振り分けるのでしょうか。額的に考えて、そうだとは思います。
 まあ何を言いたいかと言えば、外貨準備に積み上がった外貨は何らかの形で運用されるのが普通であり、IMFに資金供給と言ったところで、運用先をIMFに変えるだけに過ぎないんじゃないの?という事です。要は、IMFに資金供給するからといって、別に日本人に1000億ドル分増税してIMFに回すわけじゃないよ、という事です。
 ついでに書くと、一般に為替介入する際に市場に供給する円は政府短期証券によって調達されていますので、こちらも別に税金を使っているわけじゃありません。要は、日本政府が金融機関(主に国内の銀行)から借金(証券販売)をして、得た円を用いて為替市場でドルを買っていたわけです。
 日本の政治家には「1000億ドルもIMFに供給するなら、国内の景気対策に回せ!」などと莫迦なことを叫んでいる人もいますが、1000億ドルものドルが一気に円に両替されたら、下手をするとドル暴落の引き金になりかねません。また、もしも円に両替したとしても、とりあえずは発行した政府短期証券の償還に回すのが筋でしょう。
 財政再建、財政再建と喧しいメディアが、↑こういった論調を全く載せないのは不可思議な事です。政府短期証券もメディアが大好きな日本政府の債務の一部であることは、間違いないのですよ?

 世界最大の債権国である日本は、世界中の国々に対してお金を貸しています。そのため、今回の金融危機において新興経済諸国や発展途上国が次々にデフォルトして破滅していくのを、暢気に眺めていられる立場ではありません。デフォルトとはすなわち債務不履行、つまり日本などの債権国が貸したお金の返済不可能を意味するのですから。
 だからと言って、軍事的圧力を掛けて返済させる手法が採れない日本は、二カ国間融資を行うのも避けたいところです。今のアイスランド(サムライ債をデフォルトした)のように「返せないものは、返せない!」と開き直られたとき、日本は一体どのような手を採るべきでしょうか。まさか「話し合い」で解決ですかw
 黙って手をこまねいていることも、二カ国間融資もできない以上、「構造調整計画」により問答無用に返済を強制できるIMF経由で「つなぎ資金」を提供するというのは、至極真っ当な手法ではないでしょうか。ご存知IMFの構造調整計画は、緊縮財政、高金利によるインフレ・通貨下落の防止、市場の自由化などを強制することで、返済資金をその国から絞り上げてくれます。
 但し、これまでのIMFの構造調整計画は、あまりにも画一的でした。相手国の事情など一切お構いなしで統一的な計画を強制するIMFの手法には批判も多く、今回も中川財相がIMFに対して融資条件を柔軟にすることを求めていました。
 この天下の金貸しIMFですが、返済不可能なところには貸しません。分かりやすく言うと、構造調整計画を実施したところで、返済するに充分な付加価値を稼ぎ出せないところには、貸さないのです。アジア通貨危機時の韓国やインドネシアは、構造調整計画を実施すれば返済できる、とIMFが判断したからこそ、IMF管理下に入れたわけです。
 さて、今回の金融危機において破綻のトップを飾ったアイスランドに対する融資が、微妙な状況になっているようです。

IMF、アイスランド向け融資の承認を延期=FT紙
http://jp.reuters.com/article/domesticFunds/idJPnTK827548820081112
 12日付の英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)は、国際通貨基金(IMF)がアイスランドに対する融資の承認を先送りしたと報じた。
 情報源は不明。
 アイスランドは世界的な金融危機で打撃を受け、10月24日にIMFから20億ドルの融資を受けることで暫定合意に達した。ただ、融資の実行にはIMF理事会の承認が必要で、理事会はこれまで複数回にわたって承認を延期している。(後略)』

 アイスランドはクローナ暴落後、対外債務がGDPの十倍を超える状況になっています。しかも、人口はわずかに30万人。
 アジア通貨危機時の韓国やインドネシアには、アイスランドとは比較にならない膨大な人口が住んでいました。しかも製造業などのインフラがそこそこあり、世界的な需要興隆期であった幸運も重なり、IMFの処方箋を実施すれば返済可能であると判断されたのだと思います。
 しかし、果たして金融業以外に付加価値の高い産業を持たないアイスランドが、この状況でGDPの十倍を超える対外債務に耐え切れる(デフォルトしないでいられる)でしょうか。どれだけ知恵を絞ってみても、筆者にはその方法が思いつきません。
 アイスランドはこのままIMF管理下にさえ入れず、国としての存亡の危機に晒されるような気がしてなりません。大胆に予測すると、最後には元の鞘に納まる、つまりデンマークに併合してもらうしかないのではないでしょうか。
 
 ところで、一度、IMFの構造調整計画の猛威に晒された韓国は、IMFを死ぬほど怖がっているご様子です。

韓国、IMFからの資金支援は必要ない=企画財政省高官
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-34934920081116
 韓国企画財政省の申斉潤(シン・ジェユン)次官補は15日、韓国は、世界的な金融危機の影響に対処するため国際通貨基金(IMF)に資金支援を求める必要はない、と述べた。
 韓国はIMF支援を必要としているかとの記者からの質問の答えた。
 同次官補は、韓国の外貨準備は潤沢で、米国との通貨スワップ協定もあるし、日本や中国とも通貨スワップ拡充を計画していると説明し、「現在のところ、外貨の流動性に何の問題もない。最初の防衛ラインは2400億ドルの外貨準備だ。第2の防衛ラインは米国との通貨スワップ協定だ」と述べた。』 

 短い割に突っ込みどころ満載の記事なので、箇条書きに

■記者から「韓国はIMFの支援を必要としているのではないか?」と聞かれちゃうのねw
■外貨準備は2400億ドルもないでしょうw (十月末時点で2122億ドル
■外貨準備の他には、日米中とのスワップ協定しかないのですか。どれだけ他国頼みw
■「外貨の流動性に何の問題もない」なら、防衛ラインはいらないでしょうw

 いやあ、面白い国です。本当に。

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