SAPIO 12/17号に「[通貨危機]ウォン大暴落で借金国家に転落した韓国の土壇場」を寄稿しました。
http://www.zassi.net/mag_index.php?id=55
11/25 20:55~21:20 J-WAVE(FMラジオ・81.3・首都圏ネット)「JAM THE WORLD」に生放送出演しました。
http://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/cgi-bin/minutes/form.cgi?event=open&start=1
「SPA 11月25日号」P4に、インタビュー記事が載っています。内容はIMFと日本の1000億ドル資金供給についてです。 
http://spa.fusosha.co.jp/backnumber2008/cat_20081125.php

 サブプライム危機、厳密には08年9月のリーマン・ショック移行、世界経済、特にアメリカ経済はその姿を、それまでとは全く異なるモノに変貌させてしまいました。かなり崩れかかってはいたものの、それまでの市場中心主義はもはや跡形も無く消え失せ、残されたのは金融危機に悲鳴を上げ、政府に対し救済を求める米国超大手金融企業たちの姿でした。
 既に07年後半から、アメリカは大手金融企業たちを支えるため、新型証券融資制度を開始していました。すなわち(FRBの)窓口融資の枠を広げ、市場中心の金融政策」から、かつての日本のように「窓口中心の金融政策」へと大きく政策転換しようとしていたのです。そしてこの流れ(アメリカ金融政策の転換)は、リーマン・ショックにより決定的になり、もはや後戻りができない段階に至りました。

悩める中央銀行 膨らむ資産、劣化の恐れ 新たな懸念に警鐘(日本経済新聞2008年11月27日朝刊)
 米連邦準備理事会(FRB)ダラス連銀のフィッシャー総裁。全米に十二ある地区連銀のトップで最もインフレを警戒する「タカ派」だが、懸念がもう一つ加わった。FRBのバランスシート(貸借対照表)膨張だ。
「新年までにFRBの資産が三兆ドル(288兆円)に膨らんでも不思議はない。米国内総生産(GDP)の20%という額だ」。今月初め、そう警鐘を鳴らした。
【FRBは2.4倍】
 リーマン・ブラザーズが破綻する直前の九月上旬に九千四百億ドル(90兆円)だったFRBの資産規模は、わずか二ヶ月半で二兆二千億ドル(211兆円)と2.4倍に膨らんだ。金融機関や市場への資金供給を増やす目的で、証券や債権などの買い取りを拡大したためだ。
 二十五日には最大八千億ドル(77兆円)の住宅ローン担保証券や個人ローン債権を金融機関から買い取ると発表。借り手となる個人や金融機関の支援が狙いだが、買い取った債権はFRBの資産に計上され、バランスシートを膨らませる。早くも"予言"された「三兆ドル」が視野に入る。
 FRBの支援はまさに大盤振る舞いだ。▼ベアー・スターンズに二百九十億ドル(約2兆8000億円)▼アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)に千百億ドル(10兆円強)▼企業からのコマーシャルペーパー(CP)購入に二千七百臆ドル(約26兆円)・・・。(後略)』 

 かつて、サブプライム危機以前のFRBも、アメリカ国内の商業銀行に対して「米国債」を担保に窓口融資を行っていました。これが今や、対象の金融機関は投資銀行を含み(五大証券会社は無くなってしまいましたが)、住宅ローン担保証券(RMBS)や個人ローン債権を買い取ってまで、金融市場にドルを供給しようとしているわけです。しかも、企業のコマーシャルペーパー(短期の約束手形)まで買い取るとは・・・。まさしく隔世の感といったところです。
 リーマン破綻前には90兆円だったFRBの資産規模が、わずか二ヵ月半で211兆円にまで膨らんだわけですが、量の拡大もさることながら、質の低下も相当にデンジャラスです。かつては(新型証券融資制度スタート前は)FRBの資産の九割を占めていた米国債の割合が、今や二割にまで低下してしまったのです。残りは新型証券融資スタート後に新たに受け入れてきた、信用力の低い債券などで、価値が今後目減りしていく可能性を誰も否定できません。
 この状況で、アメリカはGCC(湾岸協力会議)による共通通貨「カリージ」導入(2010年予定)を迎える予定でした。ご存知、アメリカのドル機軸通貨制度が成り立っている理由の一つは、米国債の格付けがAAAだからです。そしてもう一つは、原油のドル決済、もっと言えばサウジアラビアがドルで原油を売っているからなのです。
 先日、アメリカはGCCに対し、共通通貨導入の先送りとドルペッグ維持、米国債の購入を要請し、GCC諸国は基本的にはこれを(安全保障強化と引き換えに)受け入れる意向のようです。しかし裏を返せば、ドルがいかに危うい状況にあるか、アメリカがGCCに「共通通貨導入を先送りしてくれ」と言わねばならないほど深刻な事態であることが分かり、寒気を禁じ得ません。
 また、GCCの共通通貨導入が先送りされたとしても、FRBの資産拡大、質の低下は止まりそうにありません。なぜならばアメリカ実体経済の悪化が加速する様相を見せているからです。

米消費、大幅落ち込み 1.0%、7年ぶり減少率
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20081127AT2M2603Z26112008.html
 米経済の内需不振が一段と鮮明になってきた。米商務省が26日発表した10月の個人消費支出は季節調整済みの年率換算で10兆399億ドルとなり、前月に比べ1.0%減少した。マイナスは4カ月連続で、米同時テロが発生した2001年9月(1.2%減)以来、約7年ぶりの大幅な落ち込みを記録した。住宅販売や耐久財受注も低迷しており、米景気後退は深刻化する可能性が出てきた。
 10月の消費支出の市場予想平均は前月比0.7%減。減少率は予想を上回った。9月中旬の米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻以降、金融危機の広がりを背景に実体経済の悪化に拍車がかかったことを裏づけた。
 個人消費は米国内総生産(GDP)の7割程度を占める内需の柱。10月の消費支出が大幅な落ち込みを記録したことで、10―12月期の米経済成長率は年率換算でマイナス0.5%成長だった7―9月期に続き、2.四半期連続でのマイナス成長となる公算が大きくなった。』

 最後の買い手として世界経済を下支えしていたアメリカの個人消費支出が、四ヶ月連続でマイナス成長と落ち込みを続けています。
 十月のアメリカの経済指標は、個人消費の悪化に加え、住宅販売が前月比5.3%減、1991年以来、約十八年ぶりの低水準、更に耐久財受注が前月比6.2%減と、まるでいいところがありませんでした。特に耐久財受注は、自動車関連が対前月比▲4.5%、航空機関連(民間)が同▲4.7%、航空機関連(国防)が同▲10.1%、産業機械が同▲6.8%、家電・電子機器類が同▲5.3%と、まさに総崩れの様相を呈しています。
 アメリカ実体経済が悪化を続ける以上、金融の回復は望みがたいですし、不動産価格の下落はRMBSなどの価値を、時間の経過と共に毀損していきます。
 想像を絶するFRBの資産劣化、資産の不良債権化が進む中、米国債は果たしていつまでAAAを維持していられるでしょうか。政治的に格付け機関をコントロールできたとしても、米国債の市場価格が暴落したり、市場で売れなくなればそれまでです。
 上記「悩める中央銀行」の記事の最後に、日銀の元理事による懸念のコメントが載せられていました。
「通貨を発行するFRBが損失を負えば、ドルの信認低下は必至。政府が穴埋めしても、今度は財政が悪化し、やはり同じ結果になる」
 ドル崩壊(アメリカ機軸通貨制度の崩壊)の物語は、未だ佳境を迎えることなく続いているのです。

 明日は、韓国の10月の国際収支と純債務国化(9月末時点)、そして櫻井よしこさんについて。 

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