「メリークリスマス!麻生首相」祭り開催中
http://blogs.yahoo.co.jp/takaakimitsuhashi/21288749.html
まだご参加されていない方は、是非!

 S&Pがロシアのソブリン債(政府や政府機関が発行する債券)に対する格付けを引き下げました。(BBB+からBBBへ)

S&P lowers Russia's sovereign credit ratings
http://www.marketwatch.com/news/story/russias-ratings-cut-sp-first/story.aspx?guid=%7BB8688F3C-3BE0-4382-A4B5-0D2F37D76F0D%7D&dist=msr_1

 大前研一が「ロシア・ショック」を書いて、ロシアが「経済大国だ」などと礼賛するから、こういうことになるのです。という冗談は置いておいて。
 ロシアの国債が格下げされるのは、一ヶ月ほど前から予想されていました。というか、一部の格付け会社は既に格下げを実施していたのです。S&Pは、ある意味、後追いですね。

ルーブル30%切り下げも 原油急落、資本逃避で露苦境
http://www.business-i.jp/news/bb-page/news/200811110009a.nwc
 世界3位の外貨準備高を誇るロシアも、原油価格急落と資本逃避に抗しきれないのか-。ロシア中央銀行によるルーブル切り下げ観測が強まっている。投資銀行としてはロシアで最も古い歴史を持つ、トロイカ・ディアログは、最大30%という衝撃的な切り下げ幅の可能性も指摘する。
 ≪「投資は得策でない」≫
 1998年に見舞われた財政危機の際、ロシアは世界的な株式・債券相場の暴落と、400億ドル(約3兆9676億円)相当の国債がデフォルト(債務不履行)に陥った結果、最大で71%の下落となったルーブルに対し、なすすべがなかった。
 現在、ロシアは、原油相場が7月のピークから61%下げたのに加え、国内経済の成長鈍化、新興市場に対して投資家に強い懸念が生じたこともあり、外貨準備を切り崩して、しのいでいるといえる。10月31日までの12週間で外貨準備は19%減少、4846億ドルまで落ち込んだ。
 外貨準備切り崩しの目的は、ルーブルの変動幅の抑制による、輸出競争力の弱体化防止だ。しかし、ルーブルは8月1日時点から、対米ドルベースで13%下落しており、切り崩しの効果は疑問という指摘もある。モスクワに拠点を置く投資銀行、トラスト・インベストメントによれば、ロシア中銀が10月中に行ったドル売り介入は、過去最大規模の400億ドルに上った。
 仏大手運用会社、アクサ・インベストメントで3420億ドル相当の債券資産を管理するアナ・エルメジ氏(パリ在勤)は「ロシア市場からの資本引き揚げと、ルーブル安が続く現状を考えると、ロシア市場に投資を続けるのは得策ではない」と指摘。「原油価格が現在の水準での推移に落ち着いてしまえば、ロシアは相当困難な状況に陥る」との見通しを示した。
 アクサ・インベストメントでは、8月の時点ですでにロシア国債は「ホールディングス」に格下げていた。 (後略)』

 通貨下落や外貨準備減少といえば、当ブログの読者の皆様には韓国がお馴染みですが、ロシアも全く同じ状況に陥っているわけです。まずは両国の今年一月からの為替相場推移を、対ドルで比較してみましょう。
 
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_14.html#RUBKRW
 
 んんん・・・。今年初めからの対ドル下落率は、ロシアルーブルが約15%、韓国ウォンが約60%。比較にならないほど、韓国ウォンの暴落の方が激しく、かつダイナミックですね。
 確かに今年の八月後半、ルーブルは対ドルで下落に転じましたが、それまでは年初から比較するとルーブル高の時期が続いていたのです。九月以降は確かにルーブルは一貫して下落傾向にありますが、韓国ウォンの暴落ぶりとは比較になりません。というか、韓国ウォンのボラタリティ(変動率)、滅茶苦茶w
 もしかしたら、韓国よりもロシアの方が大掛かりな為替防衛の介入を行っていたため、ルーブルはウォンに比べると落ち方が緩いのかもしれません。

【ロ韓両国の外貨準備高変遷】
      08年1月時点         直近(ロシアが十月末、韓国が十一月末)
ロシア  4,788億ドル     ⇒    4,846億ドル
韓国   2.618億ドル     ⇒    2,005億ドル

 んんん・・・。ロシア、年初から比べると外貨準備高増えています。もちろん、ロシアの外貨準備は八月には6,000億ドルにまで膨らんでいたので、それに比べると1,000億ドル超という派手な減少になっています。しかし、逆に言えばそれまでの期間、ロシアの外貨準備は着実に増え続けていたわけです。
 再度、上記のロ韓為替相場推移を見て頂きたいのですが、ルーブルが対ドルで上昇傾向にあった八月までの期間、ロシアは為替防衛をする必要がなく、外貨準備は増え続けていました。そこから一気に状況が悪化し、ルーブルの下落と外貨準備の減少が顕著になったわけです。
 しかしそれにしても、年初から一貫して状況が悪化している韓国に比べると、ロシアは随分ましに思えます。なぜS&Pは韓国ではなく、ロシアを格下げしたのでしょうか。
 殆どの読者の皆様には、理由がお分かりですね。(記事に書いてあるし)現在のロシアにおいて金融危機・グルジア問題によるキャピタルフライトが発生しているのに加え、世界的な資源バブルが華々しく崩壊したからです。韓国はロシアと同じようにキャピタルフライトには見舞われていますが、資源バブル崩壊の悪影響は、間違いなくロシアよりも小さくなります。というか、資源価格下落は韓国経済にむしろ好影響を与えるでしょう。
 資源バブル崩壊が、それほどロシアに悪影響を与えるのでしょうか。
 実は、ロシアの経済は原油価格の上下にまともに影響を受ける、極めて脆弱な構造になっているのです。何しろロシアの知識人たちが自虐の意を込めて「石油こそ我らが全て」と揶揄するほどですから。(井本沙織著:ロシア人しか知らない本当のロシア[日経プレミアシリーズ]より)

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_14.html#WTIGDP

 図はWTI(ロシアに影響するのは厳密にはウラル・ブレンド原油ですが、データが無いのでWTIで代用)の推移と、ロシアの経済成長率の関係を示したものです。笑ってしまうほど、ロシアの経済成長率と原油価格の推移にはっきりとした相関関係がある事をご理解頂けるのではないでしょうか。
 また、ロシアのここ数年の財政健全化は、主に原油価格上昇による原油輸出税の増収によりもたらされたものです。原油価格下落は、ロシアの経済成長率を激減させる上、輸出税の縮小により財政の悪化ももたらすのです。
 それに加えてキャピタルフライトによるRTS(株価)、ルーブルの下落と、外貨準備の激減。これらの要因が重なり、S&Pによるロシア・ソブリン債格下げが実施されたわけですね。

 著者の次々作「国家のモデル」では、もちろんロシアも取り上げる予定です。「石油こそ我らが全て」に限らず、一つの産業(アイスランドの金融など)に頼った国家の経済運営が、いかに脆弱か。「オンリーワン」に頼りきっていたにも関わらず、つかの間の、仮初の経済繁栄を成し遂げた国々を称えていた自称評論家氏たちが、いかに何も見ていなかったか。
 アイスランドやロシアの行く末は、日本経済のあるべき姿を考える時に有用な、様々な示唆を与えてくれます。 

 人気ブログランキングに参加しました。
 ロシア経済マジヤバス!と思う方は↓このリンクをクリックを。
http://blog.with2.net/in.php?636493  
 ※人気ブログランキングの「ニュース部門」で一位を継続中です。皆様のご協力に御礼申し上げます。m(_ _)m 

 新世紀のビッグブラザーへ ホームページは↓こちらです。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/index.htm
 新世紀のビッグブラザーへ blog一覧は↓こちらです。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/blog.html
 関連blogへのリンク一覧は↓こちらです。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/link.html