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本日発売のSPA12月30日号にインタビュー記事が掲載されています。(P6です。) http://spa.fusosha.co.jp/
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 本日は予告通り、産経新聞と毎日変態新聞の中間決算を比較します。

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_15.html#Sankei

 昨日と同様に、まずは産経新聞の決算について、変態新聞と同様に損益計算書の前年同期比を整理してみましょう。
 以下、⇒は平成20年3月期中間決算⇒21年3月期中間決算を意味します。
①売上高 58,812⇒53,943 前年同期比8.3%減少
②売上原価対売上比率 55.1%⇒55.1%
③粗利益 26,421⇒24,225  前年同期比8.3%減少
④粗利益率(売上総利益率) 44.9%⇒44.9% 前年同期比変化なし
⑤販管費対売上高比率 43.3%⇒46.9%
⑥営業利益 927⇒▲1,078
⑦営業利益率 1.58%⇒▲2.00%
⑧経常利益 998⇒▲1,305
⑨経常利益率 0.51%⇒▲4.00%

 ふむふむ。
 論評に入る前に、週間ダイアモンド47号「新聞・テレビ複合不況」から、産経に関わる部分を引用します。

活字・テレビ離れ加速 部数水増しはもはや限界 お気楽番組に視聴者もソッポ(週間ダイヤモンド47号 P44)
 二大メディアの苦境の理由は、コンテンツが魅力を失っていることにもある。読者離れ、視聴者離れの流れは簡単に止まらない。
「押し紙をやめるらしい」
 11月始め、産経新聞の幹部は少し怯えたような表情で語り始めた。数日前の幹部会議で、新聞業界最大のタブーである押し紙を廃止し、実売部数を重視する経営への路線転換が打ち出されたというのだ。実現すれば全国紙では初の取り組みだが、それはパンドラの箱を開ける行為でもある。
 押し紙とは、新聞社が販売店に対して一方的に押し付けた、実際には配達されない新聞で、業界では公然の秘密だ。
 部数至上主義で拡大してきた全国紙は、「公称部数の2~4割が押し紙ではないか」と語る関係者もいる。次章でも触れているが、実売部数との乖離が問題視され、負担を強いられてきた販売店からの訴訟も増えている。産経の決断は「部数こそ力」の論理から脱却する大きな一歩だ。
 この押し紙は、新聞社にとって麻薬のようなものである。押し紙による部数の水増しで公称部数は増え、媒体価値が高まることで広告収入もアップする。表面的には経営体力は強化されるが、いつしか依存するようになり、気づいたときにはもう身体はボロボロ-。(中略)
 元々他社と比べて財務基盤の弱い産経の経営は、上期だけで20億円減という広告収入の急速な落ち込みもあって、まさしく瀬戸際にある。産経幹部は「ここ最近、会社を見限った若手、中堅記者が流出して、退職者は東京本社管内の記者に限っても七月からの三ヶ月で四人になる」と嘆く。
 住田良能社長も11月19日発行の組合報で「わが社が置かれている深刻な状況を打ち破って前進するためには、抜本的な構造改革を行っていくという、不退転の決意が必要です」と訴えている。
 その答えが押し紙廃止であれば、合点がいく。(後略) 』

 予め書いておきますが、産経新聞が本当に押し紙を廃止したとしても、それは今年の11月以降の話なので、08年4月-9月の中間決算には影響していません。むしろ売上高が毎日変態以上に落ち込み、真実、危機感を抱いたからこそ、押し紙廃止を決断したのではないでしょうか。
 ちなみに産経の中間決算が、最終的に5億8300万円の黒字決算になっているのは、関係会社株式売却益として40億円近い特別利益を計上したからです。この特別利益押し上げ分が無ければ、変態同様に赤字決算になった可能性が高いでしょう。
 ところで、本ブログの読者には産経ファンの方が多いようですが、「まさか産経新聞の方が、毎日よりも早く倒産してしまうのでは・・・」などと考えた方がいらっしゃったら、断言しておきます。その可能性はゼロに近いです。
 なぜならば、確かに収益性で見ると産経と変態はドングリの背比べ状態ですが、安全性を見ると格段の差があるからです。

■安全性を見る経済指標
 ・流動比率 産経新聞⇒151.6%  毎日新聞⇒71.5%
 ・当座比率 産経新聞⇒66.3% 毎日新聞⇒40.6%
 ・負債比率 産経新聞⇒741.3% 毎日新聞⇒818.5%
 ・固定長期適合率 産経新聞⇒74.0% 毎日新聞⇒109.3%

 簡単に書くと、変態新聞は流動負債(一年以内に返済が必要な負債)の返済が、当座資産(現預金、受取手形、売掛金など流動性が高い、つまり現金化が極めて楽な資産)で不可能なのはもちろん、流動資産(一年以内に現金化可能な資産)ですら不可能な状況なのです。つまり一年以内に返済義務のある負債の返済をするためには、新たに借入するか、固定資産を売り飛ばさなければならないということになります。まさに今の某半島国状態なわけです。
 産経新聞の方は流動比率が曲がりなりにも100%を超えているので、流動資産のみで流動負債の返済ができるということになります。
 また、同じ売上減少状態でも、片や「若者の新聞離れのせいだ!若者の活字離れ、つまり若者がバカになっているので、我が社は苦境に陥っているのだ!」と斜め上の言い訳のみを繰り返す変態新聞と、片やウェブサイトへの積極的な取り組みを行い、グループ5社のサイトが月間合計8億ページビューを記録するなど順調に推移し、危機感を抱いた経営者が「押し紙」という最大のタブーに挑む産経新聞とでは、贔屓目なしに比較にならないでしょう。
 
 ところで、上記ダイヤモンドの記事の注目点は、産経新聞が上期だけで20億円の広告収入減になったという箇所です。
 産経新聞の上期売上高は、前年同期に比べて48億6900万円の減少となりました。ということは、広告による売上減の割合は約41%。売上減の四割が広告、残りが購買部数の減少ということになります。
 変態新聞の売上減少における広告減、購買部数減の割合はどうなっているのでしょうか。大変気になるところです。


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