三橋貴明診断士事務所を開設しました。お仕事のご依頼はこちらから http://takaaki-mitsuhashi.com/
SPA12月30日号にインタビュー記事が掲載されています。(P6です。) http://spa.fusosha.co.jp/
集合知プロジェクト 進行中! http://blogs.yahoo.co.jp/takaakimitsuhashi/folder/1158306.html

 新年早々、通貨暴落で市場がスタートした韓国の皆さん、明けましておめでとう!
 韓国の皆さんにとって幸いなのは、ボラタリティの高さに感覚が慣れ切ってしまい、通貨が4%下落しても5%下落しても、特に問題とは感じられなくなった事ですね。もしも日本円が一日で5%下落したら、さすがの筆者もビビりますが、韓国ウォンについては皆さんと同じく感覚が麻痺したようで、何の感慨も浮かばなくなってしまいました。

ウォンとシンガポールドルが下落、景気不安で
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-35685220090102
 2日のアジア通貨市場では、韓国ウォンとシンガポールドルが下落している。世界的な景気減速が、輸出依存度の高い両国経済に一段と打撃を及ぼすとの懸念が高まっている。
 韓国ウォンは5%超下落して1米ドル=1330.9ウォン。韓国政府が2009年の輸出について厳しい見通しを示したことが圧迫材料となっているほか、市場では当局が輸出セクター支援のためドル売り介入を縮小するとの観測が浮上している。
 韓国がこの日発表した12月の輸出は前年比17.4%減と、予想よりも大幅な減少となり、政府は09年の輸出伸び率が1%にとどまるとの見通しを示した。そうなれば8年ぶりの低い伸び率となる。(後略)』

 執筆の方でも使う予定のデータなので、韓国ウォンの推移とここ四ヶ月間の輸出上昇率を合体させたグラフを作成しました。
 
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_15.html#KRWEXPO

 昨年の12月末、KIKOやら輸入企業の精算日を迎え、韓国銀行はまさに死に物狂いで為替介入を繰り返し、何とか1ドル1200ウォン台中盤まで叩き落しましたが、年が明けた途端にウォン安の趨勢に戻ってしまいましたね。とりあえず12月末のツケは、1月始めの外貨準備高発表の際に払わなければなりません。非常に楽しみにしてます。
 また、韓国の輸出が二ヶ月連続でマイナス(しかも二桁)になってくれたおかげで、円安になれば日本の輸出企業が復活するという寝言を全否定することができます。何度も書いてきたように、現在の世界中の輸出企業の不振は需要の縮小が原因であり、通貨の問題ではないのです。(もちろん通貨高の悪影響がゼロというわけではないですが)
 果たして韓国は国の根幹とも言える輸出を救うためとは言え、記事中にあるように本当にウォン安誘導をするのでしょうか。前述の理論をより裏付けるためにも、ぜひ1ドル2000ウォンレベルにまでウォン安にして欲しいものです。それでもきっと、輸出は対前年比二桁のマイナス成長に終わると思いますが。
 しかしどうでもいいですが、輸出伸び率の予想1%って(笑) あ、スルーしようとしたのに、出来なかったw
 韓国だけではなく、今年は中国がいよいよ正念場を迎えることになりそうです。

【社説】韓国経済は中国にだけ依存するな
http://www.chosunonline.com/article/20081229000007
 中国政府は中国の輸出全体の33.7%を占める広東省で1-9月に7148社の企業が倒産したと発表した。一部メディアは10月以降、6万7000社が破綻に追い込まれたとも報じている。広東省で外資系の輸出企業が最も多い東莞市の場合、賃貸用工場の27%が空いた状態だ。一時1000万人を超えた東莞市の人口は解雇労働者が離れたため800万人に減少したという。山東、江蘇、福建など中国沿海部各省も大部分が似たような状況だ。
 世界銀行は先月、中国の来年の経済成長率を8.5%と予想した後、このほど7.5%に下方修正した。ゴールドマン・サックスは6%、香港のCLSAは5.5%と予測した。今月初めに発表された中国の11月の輸出は1149億9000万ドルで、前年同期を2.2下回った。中国は2002年以降、毎年20%を超える輸出の伸びを示してきた。月次ベースの輸出伸び率がマイナスに転落したのは2001年に米ITバブルが崩壊して以降初めてだ。
 中国の内需も急速に冷え込んでいる。株式、不動産市場の低迷による資産価格下落の影響だ。中国株式市場では株式暴落で今年8月までに時価総額で15兆元(約199億円)が吹っ飛んだ。中国の国内総生産(GDP)の61%に当たる数字だ。北京、上海、深セン、広州など主要都市の不動産価格も20-30%下落した。中国政府は10月以降、2回にわたり不動産取引税を大幅に減免するなど不動産景気浮揚策を発表したが市場の反応はない。(後略)』
※15兆元(約199億円)⇒15兆元(約199兆円)が正しいです(三橋)

 中国輸出業のある意味象徴とも言える東莞市だけで、失業者が200万人超・・・。以前、読売新聞が書いた「中国の輸出企業倒産により2000万人が失業した」も、どうやらリアルな数字のようですね。何しろ東莞市だけで200万人超の失業者が出たのですから。
 2009年の中国の成長率予想は徐々に引き下げられつつありますが、もしも本当にゴールドマン・サックスやCLSAの予想通り6%を下回ると、中国の失業率は10%を越えると推測されます。2000万人どころか、1億人以上が失業することになるのです。
 通年の話は放っておいても、とりあえず目先の話として、中国は旧正月を無事に越えることができるだろうかという、いわゆる「中国二月危機」の問題が控えています。旧正月を越えるというよりも、現在、旧正月のために上記の2000万人の失業者が故郷に帰っているわけですが、彼らが旧正月明けにどうするのか、という大問題です。
 もはや都市部にやってきても職は無いわけですが、故郷であぶれた彼らを果たして地方の雇用だけで吸収できるのでしょうか。
 と言うか、それ以前に、今の環境で2000万人もの膨大な失業者を吸収できる国は、世界中に一つも無いですね。その上、GSなどの予想通り成長率が落ち込み、失業者が1億人を突破するような状況になったら・・・・。

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