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貯蓄率51%の中国人、経済危機で「どケチ」モードに
http://japan.donga.com/srv/service.php3?biid=2009011315768
「朝ごはんは1.5人民元(約300ウォン)のカップラーメンで済ます。お昼はダイエットを兼ねてりんご一つ(0.8人民元)で、夕飯はアイスクリーム(1人民元)と餃子、そしてデザートのりんごで済ます」
「水霊週四」というIDを使う中国のネットユーザーが「1日4.4人民元(約880ウォン)あれば、十分暮らすことができる」とし、ネットに書き込んだ1日の生活費の明細だ。
 IDが「波波夫」は、「お昼と夕食を会社の無料食堂で解決すれば、交通費4人民元、朝食5人民元、その他の費用6人民元を合わせて15人民元だけで1日を過ごせる」とし、「100人民元あれば、1週間も大丈夫だ」と主張した。
 07年の貯蓄率が51.2%に達するほど節約家の中国人が、最近の経済危機を受けて「どケチ」になっている。 (中略)
「100人民元で1週間を過ごす」キャンペーンを始めた王氏は、自分のブログで「100人民元で完全に1週間を過ごすのは難しい。だた、このようなキャンペーンを通じて、若者に節約の精神を学んでもらいたかった」と明らかにした。』

 中国の貯蓄率の異様な高さ、伸びない消費、GDPに占める個人消費の割合が年々縮小していく異常な状況については、最近はようやく日本でも広く知られるようになって来ました。しかし個人消費が伸びていない現実を受けて、「中国の個人消費は確かに成長していない。だからこそ『これから伸びる』わけだ。日本企業は中国13億人の市場に進出しなければ、生き残れない。媚中万歳!」なんて、真剣な顔をして莫迦な事を語る経済評論家がいたりして、鬱陶しいことこの上ないわけですが。
 要するに彼らの頭の中では「中国様こそ、次世代の支配者なり。媚中万歳!」という結論がまずあって、それに現実を合わせるべく言葉を捏ねくりまわしているわけですね。
 例の、
北京五輪前⇒北京五輪の大プロジェクトで、中国経済は成長し、日本経済はおしまいです。
北京五輪後⇒実は、北京経済が中国経済に占めるシェアは、わずか4%。中国経済は北京五輪と無関係に成長し、日本経済はおしまいです。
 など、まさに典型です。
 北京の経済規模が中国全体に占めるシェアが小さいのなら、始めからそう言えよ、という話なのですが、それでは「中国は北京五輪で大発展!」のレトリックが使えなくなってしまうので、不可なわけです。
 ご存知の通り、中国人の貯蓄率が50%強で高止まりしているのは、別にこれから個人消費が伸びるからではありません。単純に中国の社会保障の制度が崩壊しているため、一般人はお金を貯めて、いざというときに備えなければならないからです。
 先日の日経新聞に、大変興味深い中国人のエピソードが載っていましたので、ご紹介しましょう。

 2008年11月。
 強盗の罪で北京にて裁判にかけられた中国人男性が、有罪判決を受け、ひどくホッとした表情を見せました。男は慢性的な貧血で苦しんでおり、景気減速の影響もあって病院に行くことは不可能でした。もしも強盗で有罪となり、刑務所に入れれば、最低限の治療だけは受けることが出来ます。
 男は「刑務所の治療」を目的に、有罪覚悟で強盗に入ったのではないかと、北京の新京報は伝えています。
 中国の衛生省の調査によると都市住民の45%、農村部の79%の人々が医療保険を持っていません。すなわち、万が一病気になった場合、とんでもない金額をぼったくる中国の病院に自腹で頼らなければならないのです。
 例えば、日本人旅行者が左の左の大腿骨を骨折し、中国の病院に係り、請求された金額が430万円。これでも、中国人が医者に掛かるよりも遥かに安く済んだとのことです。
 かつては毛沢東主義がまだ生き残っていた頃、中国では他の社会主義国と同じように、医療費は基本的に無料でした。それが改革開放以降、医療の自由化が進み、中国人の拝金主義がモロに出た医療システムに様変わりしてしまったのでした。
 ちなみに共産党の幹部やその子弟の場合は、病気になってもきちんと国が面倒を見てくれますので、偉大なる平等主義何たら、栄光ある社会主義かんたら、の理想は未だに生き残っているわけですね。
 共産党幹部といえば、いわば現代中国という奴隷社会を支配する貴族様も同然。羨ましいご身分です。中国を賛美する日本のマスメディアは、きっとこういった共産貴族に憧れているのでしょう。
 はっきり言って、中国の社会保障制度を再構築するには、もう一回、共産革命を起こさない限り不可能です。つまり、この先も共産党が生き残っている限り、中国で個人消費が拡大する局面は永久に訪れないということですね。

 ところで、国民の無保険という、中国と同じような悩みを抱えている大国があります。そう、アメリカです。
 ご存知の通り、アメリカには全国民をカバーする公的保険がありません。無保険者の総数は4500万人。総人口の15%は健康保険に入っていないわけです。どんな先進国ですか orz
 しかもアメリカの保険会社と来たら、これがとんでもない代物で、基本的に患者や医師のことではなく、株主の利益のことを考えてビジネスを展開しています。そのため、保険料が毎年のように上昇していくのはもちろん、保険会社は保険金を可能な限り支払わないように、知力の限りを尽くします。薬や治療法に制限を設けるのはもちろん、細かな規定から少しでも外れた医療行為に対し、保険金の支払を拒否し、抗議を受けると保険料を吊り上げるなど、まさにやりたい放題です。
 しかし保険会社にとっては、それは当たり前の行為です。なぜならば(アメリカでは)保険会社とは医師や患者のためではなく、株主のためにビジネスを行う企業だからです。
 医師の方も下手な医療行為、というか患者を救うために保険会社の規定から外れた医療行為をすると、告訴を含めた様々な嫌がらせを受けるので、本当に大変だそうです。
 
 健康保険を空気か水のように自然に考えている日本人にとって、米中の保険制度の現実はショックでしょう。
 日本国内でシステムのあら捜しをして叩き合うよりも、まずはダメなお手本について評価し、共通認識を形成した上で色々と問題を解決していく方が何かと効率的でしょう。何しろ、昨今は「ぐろ~~ばる」な時代だそうですから。
 
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