三橋貴明診断士事務所を開設しました。お仕事のご依頼はこちらから http://takaaki-mitsuhashi.com/
SPA1月27日号 P96「極寒のソウルで『ウォン崩壊』を実感してきた!」にインタビュー記事が掲載されています。
チャンネル桜 闘論!倒論!討論!2009 日本よ今...『中東問題と世界経済』に出演しています。
AERA 1月26日号 「ミネルバを知っているか」
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20090119-00000002-aera-int

 サブプライムローン問題は、2007年7月10日にムーディーズがサブプライムローン関連証券を一斉に格下げしたことで、本格的に始まりました。この日が火曜日だったことから、今はなきベアースターンズがこの日を「ブラディチューズデイ」と名づけ、印象的な命名だっために筆者の本などでも採用させて頂きました。
 ムーディーズは結果的にサブプライム危機の引き金を引いた形になりましたが、格下げをしたこと自体よりも、なぜあの時点まで対応が遅れたのかについて、轟々たる非難を浴びました。なぜならば、すでにサブプライムローンの延滞率が二桁に達しており、かつリセット(オプションARMなどの優遇期間終了)の時期が集中し始めていたことから、証券化のビジネスモデルが破綻することは、もはや誰の目にも明らかだったからです。
 アメリカの住宅ローンで最も規模が大きいのは、プライムローン(ドル崩壊!執筆時は800兆円強でした。)です。サブプライムローンは130兆円規模でしたが、実はこの二つのローンの間に、オルトAと呼ばれる領域があります。サブプライムほど金利は高くないですが、プライムほど安くもないローンですね。
 このオルトAについて、ついに赤信号が点りそうです。

オルトA住宅ローン証券、ジャンク級に格下げの公算大-ムーディーズ
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90003009&sid=alLgAlNFz_og&refer=jp_home
 米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは22日、2006-07年に発行されたオルトA(サブプライムとプライムの中間)住宅ローン証券を、投資不適格級に格下げする可能性が非常に高いと発表した。
 ムーディーズは発表資料で、今回の格付け見通しが証券を裏付けるローンに関連する想定損失の拡大を反映していると説明。07年発行の証券化商品の損失率は24%に達し、昨年5月時点の予測(4-8%)を大きく上回る公算が大きいと予想した。
 ムーディーズは「06年および07年発行のオルトA証券化商品を裏付けるローンでは、この資産クラスで前例がない深刻な滞納の急増や期限前返済率の低下が見られる」と説明している。
 FTNファイナンシャルによれば、オルトA証券の発行残高は約8000億ドル(約71兆2000億円)。ブルームバーグのデータでは、証券の裏付けとなっているオルトAにおける30日以上の延滞比率は昨年12月時点で22.49%と、1年前の9.4%から上昇した。 』

 延滞率22.5%の時点で、すでにドル崩壊執筆時のサブプライムローンの延滞率(オプションARMつきで、20%でした)を上回っています。損失率24%では、もはや破滅は免れようがないでしょう。
 ムーディーズは前回の反省から、事前に格下げの警告をしたのでしょうが、結果的に世界中でパニックを引き起こすことにあまり変わりはないような気が致します。
 21世紀の初頭は、後の世からは「資本主義が暴走し、旧共産主義が資本主義化したことにより、バーチャルマネーが膨らんだ」時代であると言われるのではないかと、最近考えています。アメリカやイギリス、及びそれに追随した国々が対外債務&貿易赤字による高度成長を成し遂げていた期間、日本他一部の国々の国民は割りを食わされていたのです。日本のように貿易黒字&通貨安という国は、あまり例がありません。
 同時に、21世紀初頭は旧共産主義諸国が見せ掛けだけは資本主義の振りをすることで、やはり仮初の繁栄に酔いしれました。この、ある意味偽善に満ち溢れていた時代、仮初の繁栄が目立ったのは、アメリカ、イギリス、一部新興経済諸国、ロシア、及び中国などでした。
 資本主義諸国と、旧共産主義諸国の同盟かよ、と、当初は思っていましたが、実体は違うようです。
 例えばアメリカの住宅市場は、実は他の西側諸国と比較すると、遥かに社会主義的です。何しろファニーメイやフレディマックのような、明らかに共産主義諸国の国営企業(もどき)の住宅ローン会社が存在し、住宅ローンの金利はアメリカの所得税から「全額」が控除される仕組みになっているのです。
 アメリカでは半国営企業のファニフレが住宅ローンの過半を提供していたわけで、これは明らかに資本主義というよりも、社会主義に近いでしょう。なぜならば、アメリカの住宅売買に際し、日本などと比較すると明らかに政府が関与する余地が元々大きいからです。
 こと不動産市場に注目した場合は、アメリカの政策は市場原理主義などと呼ぶなんてとんでもないという感じです。同市場は、元々明らかに社会主義の要素を元々持っていたのです。
 政府の手厚い保護の下に成長した不動産ビジネス、特にオルトAが今後どのような変遷を遂げるのか。その状況により、世界経済は大きく揺れ動き、株価や為替も大変動を免れないでしょう。
 
 オバマ政権になり、アメリカは財政赤字の規模が対GDP比で10%を超えることがほぼ確定していますが、これなども市場原理主義どころか、明らかに社会主義的です。要するに、アメリカは自国の国益さえ維持できれば、国体が資本主義だろうが社会主義だろうがどうでもよく、その時点でもっとも適した政策を選択しているだけなのです。
 逆に「○×主義」という、いわゆる「建前」に引きずられるのは、アメリカよりもむしろ日本の似非経済評論家の方が多いと思います。現実には、市場原理主義もグローバリズムも、右翼も左翼も、革新主義も保守主義も、資本主義と共産主義さえもどうでもよく、各国はその時点で最も国益に貢献できる選択をし、後付で「何々主義こそ、正しい」と叫んでいるに過ぎないなのだと思います。

 その辺の話を、幻冬舎から出版される新作で書いたつもりです。お楽しみに。
 それはともかく、ムーディーズがオルトAをジャンク債に格下げした際に、何が起きるのか。個人的にはgkbrが止まりません。
 本気で。

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