新世紀のビッグブラザーへ blog


三橋貴明診断士事務所を開設しました。お仕事のご依頼はこちらから http://takaaki-mitsuhashi.com/
SPA2月10日号にインタビュー記事が掲載されています。「今週の演説 日米両首脳」(P4です。)
↓麻生首相に応援メッセージを出そう@バレンタイン祭り開催中↓
http://blogs.yahoo.co.jp/takaakimitsuhashi/23925278.html

 2月10日発売のVoice3月号の見本が届いたのですが、な、何と!三橋貴明が表紙に載っていました。これも全ては、前回の韓国経済に関する寄稿記事が、ネットで大評判だったおかげです。極右経済評論家扱いして盛り上げてくれて、どうもありがとう、東亜日報!
 ちなみに、わたしのシミュラフィクションの次にロバート・フェルドマン氏(モルガン・スタンレー証券マネージングディレクター)の「為替不安が吹き飛ぶ成長戦略 円安誘導では経済に「夢」を描けない」が掲載されているのですが、フェルドマン氏もわたしと同じように「実質実効為替レート」のグラフを載せていたのには笑いました。
 結局、印象ではなく数値データを重んじる人は、同じ結論に落ち着くということだと思います。少し反則気味な気がしますが、フェルドマン氏の寄稿記事から一部引用します。

『(前略)それに、日本の輸出産業がいま冷え込み始めているのは最大の要因は、為替のせいではなく、需要の減少にこそある。たとえば日本の自動車会社に、仮に「円高で米国経済が4%成長」の場合と、「円安で米国がゼロ成長」の場合とどちらを望ましいと思うかと聞けば、恐らく「前者が望ましい」と答えるに違いない(後略)』
 
 まあ今は「円高で米国がマイナス成長」ですけどね(苦笑 
 本日の日経朝刊の一面トップ「製造業、初の最終赤字」に、
『(前略)ただ、業績の悪化は外部環境の厳しさに加え、企業が収益力を回復しようと矢継ぎ早に構造改革費用を積み増していることも要因だ。』
 とありますが、確かにそうだと思います。
 日立が最終赤字7000億円の業績予想を発表しましたが、その内、円高の影響は500億円分でしかないのです。有価証券評価損が400億円と同規模あり、そして構造改革費(要はリストラクチャリング用費用)1500億円やルネサスの損失などが積み重なった結果、7000億円にまで膨れ上がったわけです。
 日本企業はここ数年、内部留保を積み上げていましたが、その分、逆に大々的なリストラクチャリングを行う「余裕」があるわけです。GMなんて、リストラしようにも、その原資さえない状況です。何しろ運転資金に事欠いているような有様ですから、増資もしくは米国政府の融資を受けなければ、リストラを実施することすらできないでしょう。
 というわけで、個人的には今回の危機で日本の産業基盤、ファンダメンタルが崩壊することは無いと安心しています。内部留保が充分な分、派手なリストラクチャリングが可能になってしまい、報道上では目立ちますけどね。少し前まで日本企業の内部留保過多は「ROEを下げている主因だ!」などと、似非経済評論家たちに散々叩かれていましたが、今の状況になると本当に助かりました。

 不安なのは、むしろこっちの方です。↓

『米国債(6日):下落、来週の大型入札を警戒-10年債利回り2.99%(2)
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90003009&sid=aVjIkkwFG20k&refer=jp_top_world_news
 国債相場は下落。午前に発表された1月の米雇用統計は失業率が1992年以来で最高だったが、トレーダーの関心は来週実施される過去最大670億ドルの中長期債入札に移った。(中略)
 債券の売り材料
 AIGサンアメリカ・アセット・マネジメントの運用担当者、マイケル・チア氏は「債券市場関係者は、ひどい内容の経済統計が発表されたのだから、景気対策はより大規模かつ急速に導入されるだろうとみている。これは債券にとっては良くないニュースだ。特に国債の大型供給も併せると、2つの要素が債券売りにつながっている」と語った。
 財務省が4日発表した四半期定例入札の詳細によると、同省は3年債(320億ドル)入札を10日に実施、10年債(210億ドル)入札と30年債入札(140億ドル)をそれぞれ11日と12日に実施する。同省はまた、1993年を最後に停止していた7年債の入札を再開することを明らかにした。(後略) 』

 米国財務省は2月10日から12日にかけ、計670億ドル(約6兆円)という史上最大規模の中長期債を発行します。筆者は、これは第一四半期のアメリカ経済の一つのヤマ場だと思っています。
 日本の報道機関はオバマ政権の「財政支出」の規模だけを報じ、異様なヨイショを繰り返していますが、現実にはアメリカは米国債を日本や中国などの海外勢に売却しなければ、景気対策は打てません
 ブッシュ政権のアフガン・イラク戦争のために、アメリカの米国債発行残高は史上最高水準を更新し続けています。後を継いだオバマ政権は、アメリカ政府の対外債務が史上最大規模になっている状況で、さらに海外から金を借りないことには、国内の景気対策一つ打てないわけです。
 ヒラリーが来日すると聞いたとき、日本に国債を購入するよう圧力を掛ける気かと思いました。が、来日予定はは2月16日なので、上記入札の後になりますね。
 ちなみに、予め書いておきますが、日本は2004年のピーク以降、米国債の保有残高を少しずつ、少しずつ減らし続けています。(2008年9月末時点で、ピークから約二割減) ここ数年、まさにアメリカの飼い犬のごとく、米国債をひたすら買い続けていたのは、実際には日本ではなく中国です。おかげで、昨年九月時点でついに中国が米国債保有残高で日本を抜き去り、世界一になりました。
(や~い、世界で最もアメリカに貢いでいる国、m9(^Д^)プギャー、てなもんです。)
 しかし、最近の中国は米国債を保有するリスクを嫌がるようになり(当たり前ですが)、これ以上保有残高を増やすかどうか微妙なところです。さらに日本が中期的に米国債保有残高を減らし続けている現実がある以上、果たして順調な入札が行われるのかどうか、予断を許さない状況だと思います。
 個人的には、日本が現在の外貨準備の一部で米国債を購入するのは、今の状況では仕方がないと思っています(ユーロ債を売り払って、米国債を買うとか)。円高対策の為替介入をして、手に入れたドルで米国債を購入するのは、本当に勘弁して欲しいのですが。
 なぜか英国のRBSが↓こんなこと言っているからには、なおさらです。

日本の「あからさまな」為替操作を米国は歓迎、ドル80円へ-RBS
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90003017&sid=ahd64lGwyf80
 ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)は、円高に直面する日本政府が巨額の円売り・ドル買い介入という「あからさまな」為替操作を実施しても、介入で得たドル資金で米国債を購入するなら、米国は「もろ手を挙げて」歓迎するとの見解を示した。(後略) 』

 RBSは、すでに英国政府に半国営化された状況です。何か米英政府間で「アメリカの景気対策費用は、日本に頼ろう」みたいな合意でもできたんですかね。実際のところは分かるはずもありませんが、いずれにしても凄くいや~な感じです。
 麻生首相、アメリカに米国債買うように圧力を受けたら、
以前から何度も申し上げておりますが、二カ国間支援はしませんよ。IMFに行ってください
 とでも言ってくれませんかね。

 アメリカ経済、マジgkbr!と思う方は↓このリンクをクリックを。
    http://blog.with2.net/in.php?636493  
 ※人気ブログランキングの「ニュース部門」で一位を継続中です。皆様のご協力に御礼申し上げます。m(_ _)m 

 新世紀のビッグブラザーへ ホームページは↓こちらです。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/index.htm
 新世紀のビッグブラザーへ blog一覧は↓こちらです。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/blog.html
 関連blogへのリンク一覧は↓こちらです。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/link.html