三橋貴明診断士事務所を開設しました。お仕事のご依頼はこちらから http://takaaki-mitsuhashi.com/
SPA2月17日号にインタビュー記事が掲載されています。「今週の無軌道 ロバート・ムガベ」(P5です。)
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http://blogs.yahoo.co.jp/takaakimitsuhashi/23925278.html

 Voice3月号に、筆者(紙媒体)初のシミュラフィクション「1ドル70円台の日本経済」が掲載されています。
 http://voiceplus-php.jp/now_number/index.html
 本シミュラフィクションをお読み頂いた方は、是非とも以下のPHPのメールアドレスまで、感想を送って下さいますようお願いいたします。
PHP研究所Voice編集部 voice@php.co.jp

 さて、皆さんは以下の話を読んで、どんな感想を持ちますでしょうか。

「トヨタ自動車の子会社の一つに、『新ブラ精密工業(注:実際には存在しません)』という部品企業がありました。
 この新ブラ精密のバランスシート(貸借対照表)の貸方(右側)の負債の部には、当然ながらこの企業の負債金額が計上されています。新ブラ精密は超大企業トヨタ自動車の子会社であるため、負債金額はかなり大きくなっていました。当たり前ですが、新ブラ精密の借方(左側)にはそれなりの資産が計上されています。
 ところが、日本中の経済評論家たちがこの負債額だけを取り上げ、『新ブラ精密の負債額は過大だ。破綻だ!破綻だ!』と一斉に論じています。
 バランスシートの資産については無視し、その上、この新ブラ精密が超リッチ企業であるトヨタ自動車の子会社であることも、経済評論家たちの目には全く映らないようです」

 はい。鋭い方はピンと来たと思われますが、この話の「新ブラ精密」と「日本政府」を置き換えると、日本政府の債務問題になります。
 日本は世界最大の対外純債権国であると散々に繰り返してきましたが、これは「日本国家」としての純資産が世界最大である事を意味しているのです。
 ウソだと思う人も多いでしょうから、「日本国家」のバランスシート(貸借対照表 最新版)を以下の通り公開いたしましょう。
 恐らく、報道機関、ブログを含めたインターネット上で、きちんと整理された日本国家のバランスシートが公開されるのは初めてだと思います。
 ちなみに、ソースデータは日銀にきちんと公開されています。日本の似非経済評論家たちは誰も見ていないと思いますが。

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_16.html#BSJP08

 アーカイブ先にも注意事項として載せておきましたが、日銀の資金循環統計上は、国家の純資産は「海外資産630.1兆円」-「海外負債330.3兆円」=「299.8兆円」となっています。本来はバランスシートの「純資産合計」は299.8兆円となるのが正しいです。
 302.1兆円と299.8兆円の差異は、四捨五入の誤差の積み重なりによるものになりますが、借方・貸方が同額の方がバランスシートとしては適切と考え、299.8兆円ではなく302.1兆円を記載しました。(しつこいですが、日本国家の純資産は、正しくは299.8兆円です。)
 また、財務省が発表する「日本の対外純債権250兆円」と「国家の純資産299.8兆円」との差異は、日銀と財務省の統計手法の違いによるものです。対外純債権と国家の純資産は、概念的には同じものになります。
 
 全体のバランスシートを見てみると、「日本は財政破綻だ!」などと叫んでいる似非経済評論家たちが、いかに経済センスがないかが理解できると思います。ところで、
「政府の負債は800兆円を超えて、確かにでかいが、日本は家計の資産が1400兆円を超えているから、大丈夫だ」
 と言っている人たちも、経済センスの無さという意味では似非経済評論家と同レベルです(多少マシではありますが)。なぜならば、日本の家計には確かに1400兆円を超える資産がありますが、同時に負債もあるからです。
 また、散々繰り返してきたように日本政府は負債とあわせて、資産も持っています。

 ちなみに、基本的に国家経済とは、政府や企業(非金融法人企業)が「借金」をすることで回っていきます。日本がバランスシート不況に陥っていた頃は、この「非金融法人企業の負債」が百兆円単位で激減し、フロー(GDP)の危機に陥った結果、それをカバーするために政府の負債が増えました。逆に言えば、ただそれだけのことです。
 政府と企業が借金をしない限り経済は回らない以上、「政府の純資産」や「非金融法人企業の純資産」がマイナスになっていない国は存在しません。もしも存在したとしたら、それは企業が設備投資を行わず、政府がインフラの公共投資を一切打たないということを意味します。
 
 アメリカなどの対外純債務国は、国家のバランスシート全体として負債の合計が資産の合計を上回っており(いわゆる債務超過)、貸方の一番下の純資産合計がマイナスになることでバランスしています。(しているはずです。)

 廣宮孝信氏の「国債を刷れ! 『国の借金は税金で返せ』のウソ」(彩図社) http://www.amazon.co.jp/dp/4883926788/
には、この手の話が沢山記載されています。 

 さて、本日のエントリーはここまでに致しましょう。
 この「日本国家のバランスシート」を見た感想を、コメントにどんどん書き込んで頂ければ幸いです。

【追加】本文のバランスシートは金融資産のみです。(不動産とかは入っていません。)
また、政府の負債は地方政府も含んでいます。だから846兆円ではなく948兆円になっているわけです。差額が地方分です。

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