多面的分析(前編)からの続きです。
http://blogs.yahoo.co.jp/takaakimitsuhashi/24640701.html

 さて、ようやく本日の主題ですが、先日からブレイクダウン分析手法について日本のGDPを例に説明してきました。
 次の分析手法は「多面的分析手法」です。多面的分析手法と言っても、そんな大仰な話ではなく、企業の財務分析時には一面だけではなく、様々な視点から分析しましょう、というだけの話です。
 具体的に書くと、企業の財務分析の際は「収益性の面」「健全性の面」「効率性の面」「生産性の面」などなど、複数の視点からの分析を行います。例えば収益性を見る場合は「売上高対利益率」を見たり、健全性を見る場合は「流動比率」を見たりするわけです。決して、収益性のみを見て「この企業は良い」「この企業は悪い」などという判断はしません。(と言うか、できません)
 多面的に分析しない場合、「収益性が高い」企業がある日、突然倒産したりします。例えば、利益を出していても、売上の多くが売掛金として滞留し、企業が手元のキャッシュ不足になり、支払が滞った結果倒産する、いわゆる黒字倒産のケースなどです。黒字倒産は、予め健全性の分析やキャッシュフロー分析を行っておけば防止することが可能です。
 企業の分析時には、ブレイクダウン分析や多面的分析が必須(と言うよりも、むしろ「普通」)なのですが、なぜか国家経済の分析の際は誰も使いません。一数値を取り上げ、「日本経済は破綻だ!日本は終わりだ!」と喚きたてるだけです。典型的なのが、日本政府の債務、すなわち日本国民の債権額を人口で割り、「日本国民一人当たりの借金」というレッテルを貼る、アレですね。
 現実の日本は、債権やら債務の問題、すなわち健全性には全く問題がありません。と言うよりも、むしろ世界で最も健全です。日本が世界最大の対外純債権国である以上、当たり前の話です。
(参考↓日本国家のバランスシート)
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_16.html#BSJP08
 日本の問題は、健全性とは別のところにあります。例えば効率性や収益性です。
 国家のGDPと企業の利益は違う概念ではありますが、共にフローであるということだけは同一です。企業の効率性とは、総資産対利益率(ROA)、あるいは株主資本対利益率(ROE)などになります。ということは、日本経済の効率性や収益性が悪いとは、どういう意味になるでしょうか。
 日本経済の効率性が悪いとは、ずばり資産が莫大な割に、GDP成長率が低いことです。ヘッジファンド張りのレバレッジ(要は対外債務)を膨らませ、主に個人消費拡大でGDP成長率を高めた(企業で言えば、ROEが高い)アイスランドの真似をしろとは言いませんが、折角の巨額資産を有効活用できていないことは間違いないのです。
 この話、明日に続きます。

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