続 多面的分析 (前編)からの続きです。
http://blogs.yahoo.co.jp/takaakimitsuhashi/24678675.html

 さて、日本の話に戻りますが、日本は健全性には問題はないが、効率性に問題を抱えているとします。(実際に抱えています。)
 次にどうするかですが、ここからが先日から取り上げているブレイクダウン分析の出番なわけです。

■日本の問題(の一つ):効率性の一指標である「公的債務対GDP比率(公的債務額÷GDPx100%)」が、他国に比して相対的に悪い。

 公的債務対GDP比率は、公的債務額÷GDPですので、まずはGDPに問題があるのか、公的債務額に問題があるのか確認します。単年で見ても意味がないので、数年の推移を見てみます。
※これまでに散々繰り返していますが、分析時の大原則は「割合で見る」「流れで見る」「他者と比較をする」です。
 そうすると、日本の公的債務対GDP比率が他国と比べて悪いのは、公的債務の増加自体に問題があるわけではなく、公的債務の増加ペースに比べてGDPの伸びが低いためである事が分かります。
 それではなぜ日本のGDPの伸びが低いのか、
「GDP(支出面)=民間最終消費支出(個人消費)+総固定資本形成(公共投資、住宅投資、設備投資)+政府最終消費支出+在庫変動+純輸出」
 に基づき、細分化(ブレイクダウン)して調べていくわけです。
 結論から書くと、日本のGDP成長率が低い理由の一つは、政府の支出(政府最終消費支出+公共投資)が「他国に比べて」伸びていないためであることが分かります。すなわち、日本は「公的債務は増加している」にも関わらず「政府支出が伸びず、GDPが増えない」結果、公的債務対GDP比率が他国よりも悪くなっているという「真の問題」が把握できるわけです。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_16.html#Seifusisyutu

 それでは、なぜ「公的債務が増加しているにも関わらず、GDPを増やす政府支出が増えていないのか」あるいは「政府支出が増えていないにも関わらず、なぜ公的債務が増えているのか」と、更なるブレイクダウンを行うことで、昨日のエントリーに書いた、↓これに繋がるわけです。(おお、見事に繋がった)

http://blogs.yahoo.co.jp/takaakimitsuhashi/24640701.html
『① 政府支出が抑えられ、GDP成長率が低下した結果、税収が減少し、国債発行額が増えた
② 円高防止の為替介入(主に2003年と04年)のために、政府短期証券を発行し、円安誘導を行った(政府短期証券の残高は約100兆円)』

 ここまで来れば、日本の効率性改善のための対策までは、あと一歩です。要するに政府の支出以外の公的債務を増やさなければ良いわけですから、

円高防止の為替介入はしない
政府の支出を増やし、同時に日銀の国債買取により公的債務額を削減する

 これでオッケーです(多分・・・)。
 最近、政府紙幣発行論が盛んになっています。わたしはどちらかといえば昨日の日経一面にあった「国債発行&日銀の買いオペによる国債買取」派ですが、別に政府紙幣発行でも「政府の支出を増やす」という目的は達せられるので、問題ないと思います。
 国債発行、国債買取、政府紙幣発行などの議論になると、すぐに「ハイパーインフレーションになる!」「円が暴落する!」などの極論で反論する人がいますが、ハイパーインフレーションは国内の供給力不足により起きるのです。世界最大級の需給ギャップ(需要に対し供給力が大きすぎる)を抱える日本で、ハイパーインフレーションなど起きるわけがありません。ジンバブエとは違うのです。
 また、輸出企業が円高の影響で業績が落ち込んでいるときに、「円が暴落する!」と心配するのも妙な話です。アメリカが「プリンティングマネー」への道を歩もうとしているときに、円暴落の心配をするなどナンセンス以外の何物でもありません。

 個人的には、政府紙幣を発行するのであれば、政府債務の償還に使って欲しいですね。日本人がお金を使わない理由の一つに「政府の借金が多くて、将来が不安」があるのですから、政府紙幣でドカンッと公的債務を減らして、
ほら、この程度の話ですよ マスゴミm9(^Д^)プギャー」 
 とやるのが、日本人の不安感を取り除くのには最も適切なのではないでしょうか。
 なんて話を、一昨日の経済産業省の講演でお話させていただいたわけです。(ここまで細かくはやりませんでしたが)

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 ※最近、難しい話が続いていると思っているのですが、逆にランキングポイントが増えて驚いています。もしかして、皆さんこういう話が好きなのでしょうか。

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