三橋貴明診断士事務所を開設しました。お仕事のご依頼はこちらから http://takaaki-mitsuhashi.com/
 Voice3月号に、筆者(紙媒体)初のシミュラフィクション「1ドル70円台の日本経済」が掲載されています。
 また、本シミュラフィクションをお読み頂いた方は、是非とも以下のPHPのメールアドレスまで、感想を送って下さいますようお願いいたします。http://news.goo.ne.jp/article/php/business/php-20090219-09.html
PHP研究所Voice編集部 voice@php.co.jp

予告! 日本の3月15日 田植え祭 続報をお待ちあれ!

 日本経済新聞の『韓国経済の現状は? ウォン安、今年は試練の1年に』(日経新聞 2009年2月24日夕刊 9面)を読みました。正直、韓国経済に関して書かれたもので、ここまで文句の付けようのない記事は初めてです。
 散々当ブログで繰り返してきた、数値データを分析する際の鉄則「割合で見る」「流れで見る」「他者と比較する」を全て満たした上に、韓国の「日本依存」という構造問題についても適切に(つまり数字ベースで)説明しています。
 日経が他国についてもこのレベルの記事をコンスタントに書いてくれれば、わたしがわざわざ「国家のモデル」の類の本を書く必要もないんですけどね。
 というわけで(何が?)、扶桑社からの新作「崩壊する世界 繁栄する日本 「国家モデル論」から解き明かす」発売日が3月16日に正式に決定致しました! amazonの予約が結構早めに始まるらしいので、掲載されたらまたご紹介いたします。
 ちなみに本書の出版日が上記の「日本の3月15日」の翌日になったのは、偶然です。3月15日の真の意味は、世界史が好きな人であればすぐにピンときますよね。

 本日はアメリカの話です。
 最近(と言うか昨年から)、アメリカを始めとする海外主要国の日本への擦り寄りが目立ちます。ノーベル賞の三人同時受賞(小林氏、益川氏、下村氏)に引き続き、今度は「おくりびと」「つみきのいえ」アカデミー賞同時受賞ですか。これまで、アメリカ以外の国の作品が複数同時にアカデミー賞を受賞したケースって、ありましたっけ? ちょっと記憶にないです。
 さらに、オバマ政権の最初の首脳会談の相手に、日本の麻生首相を選んだことも、大変象徴的です。何か産経新聞が麻生首相が「昼食会がなかった」などと妙なことに注目し、妙ちくりんな記事に仕立て上げていました。

急な招待もそっけない? 日米首脳会談 異例の昼食なし
http://sankei.jp.msn.com/world/america/090224/amr0902240836001-n1.htm
 米ホワイトハウス当局者は23日、オバマ大統領と麻生太郎首相との24日の会談について、約1時間の会談にとどまり昼食会はないと説明した。大統領が24日夜に就任後初の議会演説を控えているとはいえ、ワシントンで行われる近年の日米首脳会談で食事をともにしないのはめずらしい。
 オバマ大統領が先月就任してから、ホワイトハウスに外国首脳を招くのは麻生首相が初めてで、米側の同盟国日本への配慮とみられている。ただ、昼食なしの会談について米政府元当局者は「支持率が低いとはいえ、急に首相を招待した割にはそっけない」と政権側の対応を批判した。(後略)』

 英中などの主要国を差し置き、アメリカが日本の首相を最初に招いた(招かざるを得なかった)事実に比べれば、昼食会の有無などマイクロンレベルにどうでもいい話でしょう。しかも「米政府元当局者」のコメントを持ち出すなど、ミスリードする気満々です。(日本のマスメディアがよくやる「政府周辺の関係者」と同じです。)
 アメリカが日本を重視することが、それほど都合が悪いのでしょうか。急な招待だからこそ、昼食会が無かったのでしょう。麻生首相もオバマ大統領も、今、のんびりとランチを共にするような時間はありません。
 先日のヒラリー来日の意味がよく分からなかったのですが、どうやら今回の招待状を持ってくることが主目的だったようですね。
 ブルームバーグの報道によると、日米首脳会談ではドル基軸通貨制の維持など、経済問題を中心に話し合いがなされたようです。

『日米首脳会談:経済中心に協議、ドル信認の重要性指摘-麻生首相
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90003011&sid=aIvfq0jR44wg&refer=jp_asia
 2月24日(ブルームバーグ):麻生太郎首相とオバマ米大統領は24日、ワシントンのホワイトハウスで会談した。初の顔合わせとなった両首脳の会談では経済問題をはじめ、アフガニスタンや気候変動などを話し合い、麻生首相は「話の中身は濃かった」と記者団に語った。
 麻生首相はオバマ大統領について、「一緒に手を携えてやっていける信頼たる指導者という印象が一番だった」と語った。会談の半分が経済の問題だったと述べ、基軸通貨であるドルの信頼の維持が一番肝心だということをオバマ大統領に伝え、「基軸通貨のドルの信頼が損なわれると非常に大きな影響が出る」と指摘したことを明らかにした。 (後略)』
 
 これはある意味当たり前で、今、日米の首脳が会談するのであれば、他の問題は差し置いてもドルの話を中心にするべきです。(特に米国債の問題)
 何しろ、アメリカが史上最大級の米国債発行(要は海外からの借金)を推し進める中、アメリカ国内の諸問題が悪化の一途を辿っているのです。アメリカ、ひいてはドルや米国債の信用が危ぶまれても、当然でしょう。

米AIGが多額の損失計上へ、政府との交渉決裂なら破たんも
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-36640920090223
 米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)は、商業用不動産をはじめとする資産の評価損が響き、600億ドル近い損失を計上する見込み。(後略)』

米政府による銀行国有化は最後の手段=シューマー上院議員
http://jp.reuters.com/article/financialCrisis/idJPJAPAN-36665220090225
 シューマー米上院議員(民主、ニューヨーク州)は24日、政府が銀行を接収して経営すべきではないが、経営陣を交代させた上で民間部門による経営が認められるのであれば、最後と手段として、実質的に経営破たんしている銀行の国有化を行う必要があるかもしれないとの認識を示した。(後略)』

GMの目標株価を0.50ドルに引き下げ=シティ
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-36641720090223
(前略)米政府による救済策については、裁判所を介さない救済、あるいは政府支援下での破産法11条の適用申請のいずれかに行き着くだろうとし、事前調整型の破産法申請もあり得ると指摘。(後略)』

 最近のアメリカでは「破綻するぞ詐欺」が流行っているのでしょうか。それはともかくAIGの問題、銀行国有化(シティなど)の問題、そしてビッグスリーの問題。それぞれがアメリカ経済にマグニチュード8クラスの大激震をもたらしかねません。
 昨晩のNYはバーナンキFRB議長の「銀行国有化はない」発言で反発しましたが、これらの問題に関するアメリカ要人の発言により、株価が暴落したり急騰したりする状況が続くような気が致します。
 米国債のFRBによる買取もそうですが、アメリカは大々的に戦略を転換する際に、まずは政府周辺の要人(元何々とか、前何々)にコメントさせ、徐々に世論を形成していくという手法を好むようです。銀行国有化も、元々はグリーンスパンFRB前議長の発言で火を吹きました。前議長の発言によりシティなどの株価が急落したため、バーナンキ氏が軌道修正を行ったような気が致します。
 個人的には、アメリカは一部の銀行の国有化、GMのチャプター11の上での救済、そしてFRBによる長期米国債の買取は実行すると思っています。米国債の買取はともかく、金融機関の救済もビッグスリーの救済もお金の必要な話ばかりです。
 アメリカ政府が資金調達をする道が、事実上、米国債の海外への販売(海外からの借金)に絞られている以上、オバマ政権が麻生首相を最初の要人として急遽招待した理由も分かるというものです。 

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