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 Voice3月号に、筆者(紙媒体)初のシミュラフィクション「1ドル70円台の日本経済」が掲載されています。
 また、本シミュラフィクションをお読み頂いた方は、是非とも以下のPHPのメールアドレスまで、感想を送って下さいますようお願いいたします。http://news.goo.ne.jp/article/php/business/php-20090219-09.html
PHP研究所Voice編集部 voice@php.co.jp

予告! 日本の3月15日 田植え祭 続報をお待ちあれ!

 昨日、3月15日が「ユリウス・カエサル暗殺」の日を示すと書きましたが、カエサル暗殺は単純に一人の人間の死を意味していません。別に歴史学者でも何でもないですが、個人的にはカエサル暗殺には幾つも意味があると考えています。
■ テロリストたち(カエサル暗殺犯たち)は、結局、社会を前向きに動かすことはできなかった。
■ 3月15日はカエサルの死を意味すると同時に、養子であるオクタヴィアヌス(後の初代ローマ皇帝)による新しい時代の始まりを意味する。
■ しかしカエサルの死からオクタヴィアヌスが最終的に勝利者になる(アクティウムの海戦)までは、13年の年月が必要だった。

 
 要するに、新たな時代の始まりとなる象徴的なイベントがあったとしても、最終的に新時代が始まったと確認できるまでは、しばらく時間が必要ということですね。同時に、新しい時代が始まった場合には、その象徴となるイベントが過去にある可能性が高いということも意味しています。(本日はここまで)
 ところで、予定通りドイツが前四半期GDPの詳細を出してくれたので、分析してみました。

第4四半期の独GDP、1990年の統一以降最悪
http://money.jp.msn.com/investor/stock/news/newsarticle.aspx?ac=JAPAN-366822&cc=03&nt=14
 ドイツ連邦統計庁が25日に発表した08年第4・四半期の国内総生産(GDP)伸び率は、前期比マイナス2.1%となり、1990年の東西ドイツ統一以降の最悪を記録した。
 速報値と同じ。統計庁によると、対外貿易がGDPを2.0%ポイント押し下げた。輸出は前期比7.3%減少、輸入は3.6%減少した。(後略)』

ドイツのGDP(ソース:ドイツ連邦統計局)
【内需部門】
 ■民間部門
 民間最終消費支出(個人消費) -0.1%  
 民間住宅投資 -1.3%
 民間企業設備投資 -4.9%(※日本:-5.3%/韓国:-16.1%)
 ■公的部門
 政府最終消費支出 0%
【外需部門】
 輸出 -7.3%(※日本:-13.9%/韓国:-9.2%)
 輸入 -3.6%(※控除)(※日本:+2.9%%/韓国:-12.8%)
【総合】 -2.1% 

 ドイツの名目GDPの各項目のシェアは個人消費⇒53%、民間住宅投資⇒9%、設備投資⇒8.5%、輸出(サービス含む)⇒45%、輸入(サービス含む)⇒39%ってところです。(ソース:内閣府 月刊海外経済データ)
 ということは、輸出の対前期比7.3%減少(寄与度は3.3%減少)の影響を受け、個人消費の寄与度が0.05%減少、設備投資の寄与度が0.4%減少、住宅投資の寄与度が0.1%減少となったわけです。ドイツのGDPも輸入が減少(寄与度+1.4%)したおかげで、GDP全体は多少下支えされましたが、この分や在庫変動の寄与度分などが無ければ、ドイツのGDPは全体で対前期比で3.85%の減少となり、日本を超えるGDP減少率になったということですね。
 まとめますと(日韓の寄与度の数値は、多少先日のエントリーと変わっています。誤差の違いでしかないのですが、一応、こちらの方が正しいです。)、

■日本:輸出(サービス込み)が13.9%減った結果、(以下全て寄与度)GDPの輸出分が2.6%減り、設備投資分が0.8%減り、個人消費分が0.2%減り、住宅投資分が0.2%増え、輸入分(輸入増加により)が0.5%減り、総合GDPが対前期比で3.3%減少となった。
■ドイツ:輸出(サービス込み)が7.3%減った結果、(以下全て寄与度)GDPの輸出分が3.3%減り、設備投資分が0.4%減り、個人消費分が0.05%減り、住宅投資分が0.1%減り、輸入分(輸入減少により)が1.4%増え、総合GDPが対前期比で2.1%減少となった。
■韓国:輸出(サービス込み)が9.2%減った結果、(以下全て寄与度)GDPの輸出分が5.3%減り、設備投資分が1.4%減り、個人消費分が2.65%減り、住宅投資分が0.8%減り、輸入分(輸入減少により)が7.5%増え、総合GDPが対前期比で5.6%減少となった。

 ふむふむ。幾つかポイントを整理します。
 まず、輸出の減少率の大きさが、日本>韓国>ドイツになっていますが、これは何気に輸出に占める資本財の割合の大きい順だったりします。資本財の割合は日本が70%超、韓国が40%弱、ドイツが30%です。ドイツは鵜飼貿易やっている割に、資本財のシェアが意外に小さいのです。ドイツの輸入の方を見ると、資本財の割合が45%にまで上昇するので、日本のような極端な資本財輸出国ではないのは確かだと思います。
 世界的な需要縮小期には、まず資本財の輸出から減りますので(各国はそれなりの資本財在庫を持っているので)、輸出減少率の大きさがこの順番になったのは納得がいきます。アメリカなどの需要が回復すれば、今度は三カ国の輸出の増加率の大きさが、この順番の逆になるはずです。(多分・・・)
 また、韓国は論外としても、日本の設備投資の寄与度のマイナス分がドイツよりも大きい点は、注目に値するでしょう。(注:設備投資自体のマイナス幅は日本が-5.3%で、両国はほぼ同レベル)ドイツの輸出依存度は日本の倍以上、そして08年第4四半期の輸出の減少率が、ドイツは日本の半分程度なので、設備投資の寄与度が同レベルのマイナスであれば、「掛け算」的には納得がいきます。
 それとも、ドイツの輸出依存度が日本の二倍で、日本の輸出減少率がドイツの二倍であるために、(寄与度ではない)設備投資そのものの減少率がほぼ同レベルになった、で正解なのでしょうか。う~ん・・・。
 いずれにせよ、現実はそんな算数やら数式の通りにいくわけがありません。ご存知の通り、日本の大手輸出企業は前四半期から世界に先駆けて、一気にリストラクチャリングを加速し、設備投資なども凍結しました。それはなぜかと言えば、もちろん輸出の減少率が(恐らく)世界最大だったからでしょう。
 と言うことは、今四半期にドイツの輸出減少幅が拡大すれば、今度はドイツの企業がリストラを加速させ、輸出依存度が示す以上に設備投資の寄与度が減少するはずです。繰り返しになりますが、設備投資のマイナス幅自体は、日本とドイツはほとんど差がないのです。
 日本-ドイツの比較は結構納得がいくのですが、分からないのが韓国です。韓国とドイツの輸出依存度は同レベルなのに、なぜここまで差が出るのでしょう。
 輸出の減少幅は確かに韓国の方が大きいですが、それにしても内需を直撃されすぎです。そういえば、最も世界で外需の影響を受ける国がアメリカになってしまう面白数式で、著者のVoiceの記事を宣伝してくれている方がいますが、その方には是非とも韓国の凄まじい状況を「数式」で解き明かしてもらいたいものです。

  実際に韓国の状況が悲惨な有様になっているのは、背景には幾つも理由があるでしょう。その内の一つは、日独(特にドイツが)が不動産バブルと無関係だったにも関わらず、韓国はバブルに踊っていたためだと思います。韓国は外需激減と不動産バブル崩壊の、挟み撃ちに会っている可能性が高いのです。
 という分けで、次に取り上げる国は、韓国と同じように輸出依存度が高く、不動産バブルも崩壊している中国です。(中国の対前期比のデータが見つかっていません。もしも見つけた方、何卒コメントまで m(_ _)m )

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