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 先日来、日本を始めとする貿易黒字国の輸出金額の頭打ち、減少の話題に際し、世界的な外需縮小の話を何度かしましたので、世界の外需、すなわち世界各国の輸入金額のシェアをグラフ化してみました。

 http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_03.html#WWIMport06

 2006年の輸入金額のシェアになりますが、日本、アメリカ、欧州諸国の輸入金額が、世界の過半を超えていることが分かります。2006年と言えば、サブプライムローンに代表される米欧の住宅バブル絶頂期ですから、このグラフの日本を除く米欧の輸入金額は、ホーム・エクイティローンなどにより、随分と嵩上げされていたことでしょう。
 世界のほぼ半分を占める米欧の輸入金額が、昨年末頃から急激に縮小を始めたのが、現在の世界経済なわけです。「本当にヤバイ!中国経済」を書いた時点では、アメリカの需要縮小と欧州のそれとは、半年以上のタイムラグがあると予想していました。が、昨日掲載した日本の輸出状況を見ると、欧州の需要も明確に縮小傾向を見せ始めた様子です。
 正直、不動産バブルなどにより嵩上げされていた米欧の需要分がどの程度なのか、規模が全く把握できないので、最終的に世界の需要がどの程度縮むのか、今のところ検討がつきません。但し、米欧の輸入金額と、日米欧を除く残りの世界各国の輸入金額がほぼイコールですから、米欧の輸入金額が例えば20%減少した場合、日米欧を除く世界各国の輸入金額が20%以上増加しない限り、デカップリング論は成り立たないわけです。日米欧以外の各国の需要は、多分に最終需要国(米欧)の輸入が膨らんでいた恩恵を被っていたわけですから、幾らなんでも無茶な話です。
 2008年からは、米欧の輸入減少を受け、徐々に各国の輸入金額も減少をしていくことになるでしょう。世界的な外需縮小の中では、体力の無い、即ち内需が小さい国ほど苦しむことになると思います。

 さて話は変わりますが、昨日の日経朝刊にビル・エモット氏のインタビューが掲載されていたので、ご紹介します。ビル・エモット氏をわたしが高く評価しているのは、日本と中国の関係について、あくまで「競争相手」であると認識しており、間違っても「アジアの共生」とか「日本は中国との友好が必要」などと、お花畑論を展開しないからです。
 インタビューはかなり長いので、要約だけ。


日本経済新聞 2008年6月7日 朝刊 世界を語る「日中印、アジアで大競争 -過熱を防ぎ 繁栄につなげ」より抜粋
--中国、インド、日本(原文ママ)のアジア三国の関係をどうみる。
「アジアは日本、中国、インドのバランスに左右されるようになり、新たな国家間競争が生じている。中国の軍事予算は年18%増と過度に拡大しており、日本が備えが必要と考えるのは当然。
 インドも軍事費を年に10%増やし、十年以内に空母三隻を保有する計画を持つが、理由はパキスタンとの紛争ではなく、中国への対抗意識。日本、中国、インドの間に利害対立、緊張関係が強まっており、制御が必要。世界がその現実から目を逸らすと、各国の軍事拡大に歯止めが利かなくなり、紛争の種となる」
--今後、どうなっていくと見るか。
「現在のアジアと似た状況が19世紀の欧州にあった。英国、フランス、プロイセン、ロシアの四カ国間で緊張が高まり、1870年代に戦争が勃発。第一次、第二次大戦へと続いた。しかし四カ国が緊張を制御できた間は、繁栄の時代でもあった。国家間の競争は、巧く操縦すれば経済社会が活性化し、国民の生活水準を向上させる。
 アジア三国のうち経済発展で先行した日本から、中国が学べる点は多い。環境汚染、通貨問題、高インフレなど、中国が現在直面している問題は1970年代の日本と共通点が多い。通貨切り上げや金融引き締めで国内景気が悪化しても、財政支出で需要を補う余力がある点も同じだ。
 これまで中国は輸出大国ではあったが、ここの中国企業は世界的ブランドではなかった。今後は世界のトップ企業に中国ブランドが食い込んでくるだろう。インドは三国の中で経済発展が遅れたが、中国の国力増強に対抗しようと構造改革や経済自由化に取り組んでおり、猛スピードで変化している」
--現在の世界で最大の問題は。
インフレだ。信用収縮と同時に起こったが、二つとも根源は同じだ。需要を上回るマネー供給(過剰流動性)で与信金利が過度に下がり、信用バブルが膨らんだあげく破裂した。更に震源市場に流れたマネーで商品相場も高騰した。問題の本質はマネー現象だ。
 中国の金融政策の第一目標は人民元の管理で、国内のインフレ問題は後回し。湾岸産油国は自国通貨の米ドル連動制を維持しており、国内インフレと無関係に米国の金融政策を追随する。この半年間、米国が金融緩和を続けたため、湾岸諸国は国内が超インフレなのに金利を下げて事態を悪化させた」
--世界経済の問題克服にどのくらい時間が掛かるか。
世界のバブル醸成は五年ほど続き、その崩壊は昨年八月に始まったばかり。五年はかかるだろう
--食糧インフレは。
「二年以内に沈静化するだろう。現在の食品価格急騰は新興国の牛肉消費拡大が原因ではない。主因は過剰流動性や米欧がこの二年で導入したバイオ燃料補助金などだ。今後は米欧が助成金拡大政策を見直し、穀物価格の上昇も鈍化するだろう」
--欧米の金融政策をどう評価する。
「FRBが今年初めに急ピッチで金融緩和した時も慎重だった欧州中央銀行の判断は正しい。欧州の中銀は経験からインフレの恐ろしさをよく知っている」(後略)』

 幾つか突っ込みたいポイント(中国は既にインフレ防止に舵を切っている点など)はあるものの、非常に冷徹にアジアや世界の情勢を見ていると思います。
 日経新聞のように中国との友好前提ではなく、彼の国を競争相手として捉え、正当な価値観やルールに則って競合し、相手がルールから逸脱したら(中国はルールを守る事の方が少ない気がしますが)容赦なく糾弾する。
 先日も書いたように「価値観で戦う」姿勢が、今後の日本の政治家には求められていくと思います。競争相手である以上、「友好」やら「共生」やらはあり得ません。日本や世界の市場で競合している企業で、コンペティターについて「友好」やら「共生」やらを唱える会社はないでしょう。(競争に負けて、倒産したいのであれば、別ですが)


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