おかげさまで「本当にヤバイ!中国経済」の売れ行きが絶好調で、早々と増刷が決まりました。実質的な発売開始が5月7日でしたので、ほぼ前々作「本当はヤバイ!韓国経済」と同じタイミングで増刷が決まったことになります。(ヤバ韓の時は、発売二日後でした)
 というか、彩図社は初版をかなり絞り込む傾向があるのです。PHP研究所の「トンデモ!韓国経済入門」の時は、初版が多かったため、amazonで在庫切れを起こして皆様にご迷惑をお掛けする事もなかったのですが。
 とにかく、来週月曜日にすぐに増刷作業に入りますので、amazonなどオンライン書店の状況もすぐに改善すると思います。本当に、申しわけありませんでした、重ねてお詫び申し上げます。

 さて、本日は増刷御礼ということで、書庫は「中国経済関連」なのですが、メインは韓国経済の話です。昨日の「どこまで下がる?コリアウォン」の中で、ウォン安が韓国経済に多大なるダメージを与えると書きましたが、ついに韓国の「輸出企業」からも悲鳴が上がりつつあります。

『韓国メーカー、原材料価格の高騰で悲鳴(上)
http://www.chosunonline.com/article/20080509000050
 年初めのウォン安・ドル高で歓喜に沸いた輸出業者が、今度は原材料価格の高騰で、ウォン安に伴う増収分をそっくりそのまま使い果たすなど、つかの間の喜びとなっている。1ドル=970-980ウォンにまでウォン安が進み、2-3%ほど増収が見込まれたものの、そのほとんどを急騰する原材料価格に充てなければならなくなったのだ。
 特に鉄鋼製品の占める割合が高い自動車業界への打撃は大きい。こうした中、「それでもウォン安が進んだことで、原材料価格の高騰にも何とか耐えられそうだ」と胸をなでおろす企業も少なくない。
◆自動車業界「原材料価格の高騰でウォン安効果はゼロ」
 昨年のウォン高により世界市場で苦戦を強いられた現代・起亜自動車は、年初めのウォン安にホクホク顔だった。当初、今年のウォン相場を1ドル=900-910ウォンと見込んでいたが、実際は970-990ウォン台で推移したのだ。
 昨年のウォン相場は平均で1ドル=929ウォンだった。今年の年平均の為替レートを970ウォンと仮定し、1ドル相当の製品を輸出した場合に生じる利益拡大分は、41ウォン(約4.2円)。売り上げ全体の60%を占める輸出分野で、年間4.4%ほど利益が増える計算だった。
 しかし、こうした利益拡大への夢は、相次ぐ鉄鋼価格の引き上げで、もろくも崩れ去ってしまった。自動車の鋼板に使われる冷延鋼板の値段は、今年2月に11%上昇したのに続き、今月もさらに18%引き上げられた。年初めに比べ実に30%も値上がりしたのだ。自動車1台当たり約1トンの鋼板を必要とすることから、1台当たり18万5000ウォン(約1万9000円)ずつ原価が上昇した計算となる。エンジンの部品などに使われる鋳型など、そのほかの鉄鋼製品も同じような割合で値上がりしている。さらに、原油高に伴い、タイヤなど自動車に使用される石油化学製品も続々と値上がりしている。
 こうした相次ぐ値上げに対し、現代自の関係者は「全体的に自動車1台当たり少なくとも70万ウォン(約7万2000円)以上は原価が上昇するものとみている。この上、もし為替レートまでが悪かったら、到底やっていけなかっただろう」と話す。また、ハンファ証券アナリストのヨン・デイン氏も「当初、現代自が期待していたウォン安に伴う利益拡大分のほとんどは、原材料費の高騰で相殺されてしまうだろう」と予想している。』

 似たような話が続く「韓国メーカー、原材料価格の高騰で悲鳴(下)」
http://www.chosunonline.com/article/20080509000051
 は省略します。
 勿論、単純にウォン安のメリット面だけを見れば、輸出企業の収益を押し上げる効果があり、実際にサムスン、現代、LGなど韓国の主力輸出企業は、前四半期は好調な決算でした。が、これは韓国ウォンが偶々、輸出企業にとって最も都合の良い「1ドル970ウォン前後」を推移していたためだったようですね。
 980ウォンを越えてくると、さすがに輸入物価が騰がりすぎ、輸出企業にとってのデメリットが、メリットを上回るようです。(しかし、輸出企業にとっての適切なウォンの幅が狭すぎです、韓国は)
 ご存じのように、今や韓国ウォンは1ドル1040ウォン台と、980ウォンどころではない水準にまで急落しています。昨日の急落後ということで、さすがに本日は5ウォンほど戻しましたが、やはり瞬間風速で1050ウォンを超えました。円が急騰している状況なので、今夜のNYが同じ地合が続けば、来週月曜日には終値で1050ウォンを突破する可能性が高いです。
 しかも、折からの資源高で韓国にとって主要な資本財提供企業(日本企業が過半を占める)は容赦ない値上げを実施してきています。現在、つまり08年第二四半期は、ウォン急落&資本財費用増加で、韓国の企業は中小のみならず、大手輸出企業さえ大ダメージを受けている可能性が高いと思います。
 特に、韓国ご自慢の造船産業は、非常にデンジャラスです。
 なぜならば、造船業界では顧客からの発注時に(ドル建てで)代金が決まるのが一般的です。つまり、その後の為替変動や原材費増減については、受注側(この場合、韓国造船企業)がリスクを負わなければならないのです。
 韓国はここ数年、竣工能力があまり伸びていないにも関わらず、異常なまでに受注残を積み重ねて来ました。恐ろしいことに、その受注残は韓国の竣工能力の三、四年分にまで達しているのです。
 これからこの大量の受注について、韓国造船企業はせっせと竣工していかねばならないのですが、その間も日々、原材料の輸入価格は上がっていきます。顧客から貰える代金は変わらない中で、費用が上昇することで、収益が削られていっているわけです。
 勿論、ウォン安は受注金額(のウォン建)を嵩上げする効果がありますが、ウォン安&資源高で原材料費が上昇している中では、果たしてどうなるでしょうか。
 つまり現在の韓国造船産業は、「ウォン安&資源高のデメリット」v.s.「ウォン安によるウォン建て受注金額増加」の勝負になっているわけです。
 あなたなら、どちらの勝ちに賭けますか?

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