「ドル崩壊! 今、世界に何が起こっているのか?」が正式に発売になりました。
http://www.amazon.co.jp/dp/4883926583
http://www.7andy.jp/books/detail/-/accd/32119420

 予定では、本日は本ブログの読者の一人NO様から投稿頂いた、中国の自動車市場の件を予定しておりました。が、為替相場などの動きがあまりにもドラスティックなので、中国自動車市場は明日に延期させて頂きます。NO様、すみません。

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_10.html#vsUSD080905

 上記は2008年9月1日-5日までの一週間の日本円、ユーロ、英国ポンド、韓国ウォン、オーストラリアドルの値動きを、対米ドルで比較したものです。日本円を除き、全ての通貨が対ドルで大きく値を下げているのが分かります。
 それにしても、ウォンの動きはダイナミックですね。まるで株価のようなボラタリティ(変動率)で、激しく変動しています。わずか五日間で、5%以上の変動をしているのですから、中々半端ないです。また、豪ドルの下落振りも、想像以上です。韓銀が為替介入をしなければ、豪ドルの下落はここまで目立たなかったと思いますが。
 20:20現在、ドル円は106.26円、ユロ円は151.26円、豪ドル円は86.02円、ポン円は187.14円となっています。
 まるで、一ヶ月前とは別の世界にいるようです。
 おぼろげですが、一ヶ月前はユロ円は170円直前、豪ドル円は105円、ポン円は220円超だったと記憶しております。ドルだけは108円と110円の間を行ったりきたりしていましたが、さすがに最近は少し円に対し価値を落としました。レパトリー(決済前の、アメリカへのドルの還流)だの、キャリー資金の巻き戻しだの言われていますが、要は欧州、オセアニア、そして韓国に代表される新興経済諸国のバブル崩壊が決定的になっただけのような気も致します。
 結局、各国の通貨は幾らが適切なのか。例により、英国フィナンシャルタイムズ紙のビッグマック指数を見てみましょう。

http://www.economist.com/finance/displaystory.cfm?story_id=11793125

 FT紙の最新の指数によれば、各国のビッグマック指数(2008年7月24日)は以下の通りです。
        適切な為替相場
英国ポンド 1ドル1.56ポンド:現状は28%の過大評価
オーストラリアドル 1ドル0.97豪ドル:現状は6%の過小評価
日本円 1ドル78.4円:現状は27%の過小評価 <<<<おいっ!
ユーロ 1ドル1.06ユーロ:現状は50%の過大評価 <<<おい、おいっ!!!!

 ・・・・いつの間にか、円の価値がやたら高く、ユーロの価値がやたら低くなっとる。。。恐らく、欧州の物価高に対し、日本のCPI上昇率が緩やか、つまり購買力が落ちていないことが原因だとは思いますが、それにしても、変わりすぎでしょう、フィナンシャルタイムズ。
 もしもこの数値が正しいとすると、ユロ円の適正価格は83円になってしまいます。幾らなんでも安すぎる気がします。
 ちなみに昨年六月のビッグマック指数によると、ドル円の適正価格は82円、ドルユロの適正価格は1.12円、ユロ円の適正価格は92円でした。

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_02.html#bigmac

 ユロ円の適正価格が10%も下がっているのは、欧州が通貨バブルであり、バブルである以上、崩壊することを暗示しているのでしょうか。そう考えると、納得できないこともありません。
 
 さて、まるで株価のようなボラタリティを獲得してしまったKRW、韓国ウォンですが、韓国当局は「九月危機」の否定に必死になっています。わたしの知る限りでも、ここ数日でIMF、アメリカ三大格付会社、メリルリンチ、シティ、リーマンブラザースの意見を引き合いに出し、「韓国は通貨危機ではない」との主張を繰り返しています。どうでもいいですが、胡散臭いところばかりですね。
 第三者から見ると、この手の報道を必死に繰り返せば繰り返すほど、当人たちの危機感があからさまに見えて笑ってしまうのです。
 ま、いずれにせよ、他人事ですが。
 ところで、今週前半にウォンが5%以上も値を下げた後、木曜日から韓銀はようやく目覚めたかのように、通貨防衛の介入を大々的に行っています。個人的には、この韓銀の抵抗は間違ってはいないかな、と思っています。
 韓国の報道機関には、ウォン安圧力に抗い、外貨準備高を減らすのは愚策との主張を展開しているところもありますが、そもそも「こういうとき」のために外貨準備高はあるのです。もしも外貨準備をケチり、通貨安がヒートアップし、万が一オーバーシュートに突入してしまえば、全ては手遅れです。たとえ外貨準備を使い果たす可能性があろうとも、韓銀は為替介入によりウォンを防衛すべきなのです。もちろん、外貨準備が尽きてしまえばジ・エンドですが、少なくとも韓銀が通貨防衛を行っている限り、韓国にとって最も貴重とも言える「時間」を買うことができます。
 韓銀の抵抗により、何とかウォン安のオーバーシュートの瞬間を先延ばしにしておけば、もしかしたら現在の世界的な為替の混乱が収まるかも知れません。もちろん、収まらないかも知れませんが、今の韓国の状況だと、韓銀が通貨防衛を行わない限り、週に5%以上という背筋の寒くなるようなペースで、ウォンは下落していくでしょう。
 何しろ現在の韓国には、韓銀の介入を除いてウォンが上昇する要因が一つもないのです。(そもそも、これが問題なのですが)

ウォン急落で韓国通貨危機寸前 市場介入で外資逃避を封じ込め
http://www.j-cast.com/2008/09/05026368.html
 韓国ウォン安が深刻化している。外為市場の関係者によると、韓国通貨当局は米ドル売りウォン買いの市場介入を「断続的に行っている」ようだ。それによって、2008年9月5日のウォンは1米ドル1117.8ウォンで、前日に引き続き上昇した。政府のドル売り介入の報道をきっかけに反転上昇しはじめたが、ロイター通信などによると、韓国内では1997年のアジア通貨危機を思い起こさせる、「9月金融危機説」までも飛び出し、政府は外資の国内封じ込めに懸命という。
-3日には年初来18.9%も下落-
2008年9月4日のウォンは5日ぶりに反発し、1米ドル1128.6ウォンをつけたが、前日(3日)の終値は1148.5ウォン、一時は1米ドル1157.35ウォンまで下がった。ブルーンバーグによると、ここ数日で最も下がった9月3日時点で、ウォンは年初来で18.9%も下落。1997年のアジア通貨危機を思い起こさせた。(後略)』

  人気ブログランキングに参加してみました。
 日本が大好き!な方は、↓このリンクをクリックを。
http://blog.with2.net/in.php?636493  

 新世紀のビッグブラザーへ ホームページは↓こちらです。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/index.htm
 新世紀のビッグブラザーへ blog一覧は↓こちらです。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/blog.html