ちょうど「ドル崩壊!」の校正チェックと、書き足し(ヤバ韓と同じく、後ろに用語集をつけます)、それに8月3日の件について、確認事項への対応が重なってしまい、昨日は更新できませんでした。
 
 さて、前編で2008年第1四半期までの日本の実質GDP成長率について見てみましたが、2008年通年ではどうなるか、各関係機関の予想を見てみましょう。

日本の実質成長率、08年は+1.7%=OECD 2008/06/04 ロイター
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-32100920080604
 経済協力開発機構(OECD)は4日、「エコノミック・アウトルック」を発表し、加盟国の経済見通しを発表した。日本経済については「成長率はやや減速してきているが、賃金上昇と住宅投資の持ち直しが2008年の景気拡大を支え、09年を通じて成長は上向くと見込まれる」との見解を示した。
 日本の08年実質成長率はプラス1.7%、09年はプラス1.5%とし、昨年12月の見通し(08年:プラス1.6%、09年:プラス1.8%)と比べ、08年を小幅上昇、09年を小幅低下させた。
 OECDは日本経済について、08年の残りの期間の成長率は約1.25%に減速し、09年には潜在成長率を少し上回る水準に上昇すると予想している。世界経済の減速と円高を背景とした輸出の減少を見込むが、内需については景気後退を回避するだけの勢いが十分にあると評価した。
 消費者物価指数(CPI)総合については08年は前年比プラス0.9%を予想しているものの、09年には同プラス0.4%に鈍化する見通しとなっている。(後略)』

日銀、景気「さらに減速」 物価「今年度1.8%上昇」 2008/07/16 日本経済新聞
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20080716AT2C1502J15072008.html
 日銀は15日の金融政策決定会合で政策金利の据え置きを決めるとともに、景気の現状判断を3カ月ぶりに下方修正した。白川方明総裁は記者会見で国内景気について「原材料高を背景に設備投資や個人消費の伸びが鈍化するなど、さらに減速している」と指摘した。4月にまとめた経済・物価情勢の展望(展望リポート)を中間評価し、成長率見通しを下方修正、物価見通しを上方修正した。
 日銀は今回の会合で、年2回だった成長率や物価の予測数値の開示を四半期ごとに増やすなど、情報発信の拡充策を決めた。今年度の成長率は1.2%(政策委員の中央値)と前回4月と比べ0.3ポイント下方修正した。
 今年度の消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く)の上昇率は1.8%と0.7ポイントの大幅な上方修正をした。原油価格が想定していた以上に上がったことを反映した。』

実質成長率、来年度1.5%軸に調整 内閣府経済見通し 2007/07/16 日本経済新聞
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080716AT3S1600416072008.html
 内閣府は日本の経済成長率見通しについて、物価変動の影響を除いた実質で2008年度は1.3%前後、09年度は1.5%前後とする方向で関係省庁と調整に入る。昨年末に決めた政府経済見通しと比べると、08年度は0.7ポイントの下方修正になる。景気の停滞は税収の伸び悩みにもつながるため、政府が目指す財政再建は一段と厳しい局面に入りそうだ。
 経済見通しは内閣府が作成し、22日に開く政府の経済財政諮問会議に提示する。08年度分は内閣府試算、09年度分は諮問会議民間議員による想定との位置づけだ。09年度予算の概算要求基準(シーリング)を決める前提の1つとなる。』

今年の世界経済成長率、4・1%に上方修正…IMF 2008/07/17 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20080717-OYT1T00883.htm
 国際通貨基金(IMF)は17日、4月に発表した「世界経済見通し」を改定した。
 2008年の世界経済全体の経済成長率は4・1%と、4月から0・4ポイント上方修正した。
 各国別でも、米国が0・8ポイント上方修正の1・3%、日本は1・5%(0・1ポイント上方修正)、ユーロ圏1・7%(0・3ポイント上方修正)など4月予想を上回る成長を見込んだ。ただ、IMFは、インフレ懸念の増大をリスクにあげ、「インフレ圧力の動向を注視していく必要がある」と指摘した。
 米国は、08年前半の景気減速は予想したほど急激ではなかったと指摘。しかし、原油と食料価格の上昇などで消費が減速し、08年後半にややマイナス成長になった後、09年に徐々に回復するとの見方を示した。』

 時期的には微妙なずれがありますが、各機関の日本経済2008年に関する成長率のアウトルックは、以下の通りなわけですね。

■OECD 1.7%
■日銀 1.2%
■内閣府 1.3%
■IMF 1.5%

 日本の当局の予想に比べ、国際機関の方が微妙に高い、何となく納得できる数値になっています。
 特に注目はOECDのアウトルックですが、ポイントを整理してみましょう。

世界経済の減速と円高を背景に、輸出は減少する
賃金上昇と住宅投資の持ち直しにより、内需が拡大する
内需は景気後退を回避するだけの勢いが充分にある

 わたしは基本的にOECDと同じ予想をしているのですが、日銀や内閣府は逆に「原材料高を背景に設備投資や個人消費の伸びが鈍化するなど、さらに減速している」との立場を取っているわけですね。
 どちらが正しいかは、第2四半期の実質GDP成長率が発表されれば明らかになるのですが、一つ気になることがあります。それはIMFが7月17日に日米欧の経済成長率について予測を上方修正していることです。特にアメリカの0.8ポイントの上方修正はインパクトがあります。08年前半の景気減速は予想したほど急激ではなかった、とのことですが、やや唐突感があります。
 また、日本の物価上昇率ですが、CPI上昇率1.8%(08年予測)というのは、果たしてそれほど高いものでしょうか? 健全な物価の上昇は逆に国民の購買意欲を煽り、個人消費を刺激する効果があります。無論、ガソリン価格だけが突出して消費者の財布を圧迫しているのであれば、個人消費に悪影響を与えますが、最新の原油卸価格は下落の傾向を見せているため、今後の趨勢はいまいち読めません。
 結局、何を言いたいのかといえば、過去の経済成長率を分析すると「ああ、そうだった」と万人を納得させることができるレポートを作れますが、未来を予測するのは極めて困難ということです(当たり前ですが)。2008年第2四半期という直近の四半期の予測でさえ、OECD、日銀、内閣府、IMFと四機関がバラバラの予測をしているわけです。

 というわけで、わたしの2008年の日本経済へのアウトルックは、第2四半期のGDP成長率詳細(速報)が出るまで保留とさせてください。二つほど固い予想をすると、
(1) 第1四半期が年換算4%という高成長だったので、第2四半期は確実に成長率が下がる
(2) 日本の経済成長率は(たとえどういう状況でも)欧米より諸国よりは高い可能性が高い
 といったところですかね。

 ところで、現在(と言うか、今週)のわたしは、本業の方で恐らく今年一番多忙な時期を迎えておりまして、コメントへのご回答等は週末までは無理だと思います。すみません。
 ブログの方は、何とか今週も毎日更新していく予定ですので、ご期待ください。

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