予想通りというか、何というか、主要官製メディアが「長野の聖火リレーは何事もなく、無事に終了した」を繰り返す中で、一部の中国メディアが暴走を始めました。と言うか、チベット国旗を掲げた日本人グループと、赤旗の中国留学生のグループが激突し、小競り合いで負傷者が(中国側に)出た時点で、いくら中国当局が抑えようとしても、こうなるのは時間の問題だったのです。

http://www.zakzak.co.jp/top/2008_04/t2008042821_all.html
『長野聖火炎上…中国当局「大成功」もネットで乱入流布
 長野五輪リレーでは「反日」は見られなかったが、ネット上では台頭しつつある=26日(クリックで拡大)
 混迷する北京五輪の聖火リレーだが、中国の官製メディアは胡錦濤国家主席の訪日を前に、長野でのリレー成功と日中友好を強調した。一方で、ネットでは中国人留学生が負傷した事実に対し「打倒小日本!!」と日本製品の不買を呼び掛ける書き込みが殺到。韓国では抗議者への集団暴行にエスカレートした。中国政府が国民の団結に利用してきた民族主義が、政府の思惑を離れてついに暴走を始めた。
 ≪軍国主義が復活した。われわれは恥辱の歴史を忘れない。中国はもはや眠れる獅子ではない。いつでも攻撃の準備はできている≫
 中国最大のネット掲示板への書き込みだ。長野でのネット右翼の結集や暴力沙汰を受け、これまで見られなかった日本への攻撃が始まったのだ。(後略)』

 在日留学生を含めて民度最低、知能は幼児レベル、でもプライドだけは世界最高な中国の一般民衆に比べ、中国共産党の首脳部は確かに頭が切れます。世界の常識も、自分たちが世界の非常識であることもきちんと理解しています。その上で、最も自分たちに都合が良いと思われる道を選択しているのです。
 反仏デモが起きて以来、胡錦濤来日と日本議長のサミットを控え、中国共産党首脳部は必死に国内の愛国人民たちを制御しようとしています。同時にダライラマ側との譲歩の姿勢を見せ、(特に)日米両国の反中感情が拡散しないように努力しています。
 土曜日の長野の中国人留学生の振る舞いは、日本史上最低レベルの醜悪さでしたが、あれでも中国人としては行儀が良かったつもりのようです。そもそも官主導で留学生を集めたのですが、日本(チベット側)と全面衝突にだけはならないように、懸命に統制を試みていました。賛否両論はあるでしょうが、日本当局も中国側に協力し、大暴動などが起きないように懸命に押さえつけていました。
 もしあの時、中共による統制が行われなければどうなったか。その良い見本が、昨日の韓国の大騒動です。
 中国人が一万人集まり、地元民やら警官を相手に大暴れ。
 外国人のチベット支持派に襲いかかり、ホテルに逃げ込んだ人々を追いかけて、ホテルの中で凹殴り。警官にまで集団で襲いかかり、竹竿で滅多打ち。しかも韓国人は日本とは異なり、特にチベット問題を重点的に抗議していたわけでもなかったのに、あの半暴動状態。
 さすがの韓国政府も、聖火リレーでの混乱について中国に遺憾(抗議)を表明しました。そりゃそうでしょう。
http://japanese.yonhapnews.co.kr/Politics2/2008/04/28/0900000000AJP20080428001400882.HTML
 あの韓国で暴れていた連中が、まさに中国人のデフォルトなのでしょう。
 もしも長野でソウルと同じような展開が繰り広げられたとしたら、全ては終わっていました。中共は今後の展開のキーを(偶然)握ってしまった日本に対しては、本当に、本当に気をつかっていたのです。あれでも。
 この後の展開を予想してみます。
 中共は北京五輪が終わるまでは、とにかく日米欧を刺激しないように全力を尽くすでしょう。具体的にはダライラマと適当な会談を重ね、同時に国内の反日米欧勢力を押さえ込もうとします。(反韓暴動などは認可して、適当なガス抜きを図ったら笑いますが)
 しかし、ここ数日の報道を見ただけでも、中国当局、というか中国国内の報道機関がかなり混乱しているのが分かります。政府系のメディアと、ネット系のメディアでまるで逆の報道を行っているのです。さすがの中共のメディア統制も、こと「愛国問題」に限ると巧く機能していない気がします。
 5月上旬に、胡錦濤が来日しますが、彼の帰国までが最初の山場です。
 来日までに反日暴動に至ってしまうと、ジ・エンド。
 来日中に反中デモが行われる予定になっていますが(無論、わたしもチベット国旗を持って参加しますとも)その報道次第で、再び中国の反日青年に火がつき、反日暴動が起きると、やはりジ・エンド。
 そこを抜けても、次はサミットです。サミットまでに反日暴動が起きると、やっぱりジ・エンド。
 中共は国内の愛国人民(散々愛国心を煽ったので、自業自得ですが)をなだめつつ、チベット側と妥協(に見えない妥協)を重ね、日米欧をなだめつつ、北京五輪の準備をしなければならないのです。しかもこの間、株価が激しく上下するため、国内投資家への対処も要求されます。
 昨日、韓国経済はこれから「糸渡り」の運営を要求されると書きましたが、中国が渡らなければならない橋は、どう考えても韓国よりも細いです。