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 日経新聞を取っている方々の中には、わたしと同じように本日の第五面を見て度肝を抜かれた人もいるのではないでしょうか。本日の日経の第五面に、いきなり2006年度の日本政府の貸借対照表(バランスシート)が掲載されていただのです。
 直接的な切っ掛けは、22日に財務省がバランスシートを発表したからなのですが、わたしが記憶している限り、日経が政府のバランスシートを掲載したのは始めてのはずです。(もしも昨年とか、一昨年で見た記憶がある方がいらっしゃいましたら、教えてください。)

国の債務超過277兆円 06年度貸借対照表 揺らぐ「小さな政府」
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20080823AT3S2202122082008.html
 財務省は22日、2006年度の国の資産と負債の状況を示した貸借対照表を発表した。一般会計と特別会計を合わせて計算した場合、負債が資産を277兆円上回る「債務超過」。国債発行残高の増加などで資産と負債の差額は05年度と比べ3兆円悪化した。財政再建による借金の抑制と保有資産売却などの圧縮を進めなければ、小泉政権以来、政府が目標に掲げてきた「小さな政府」の改革路線が揺らぐ可能性がある。
 06年度の超過額が増えたのは、資産が目減りしたにもかかわらず、それ以上に国債発行残高が増えて負債が膨らんだのが主因。資産は704兆円で、05年度より2兆7000億円減少。財政投融資改革によって、財務省が資金運用のために政策金融機関や独立行政法人に貸し付ける額が29兆円減ったためだ。
 一方、負債は同3000億円増の981兆円だった。郵便貯金による預託金などが30兆円余り減ったものの、国債や政府短期証券の発行残高がそれを上回って増加したためだ。赤字国債だけで10兆2000億円増えた。』

 内容的には相変わらず日本ダメポ論が前提で、それはいつもの日経だから良いのですが、オンライン版にバランスシートそのものを掲載しないのは頂けませんね。日経!大して項目数も無いんだから、手間を惜しんで欲しくないものです。
 仕方がないので、わたしが日経朝刊をソースに作成いたしました。

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_10.html#JPBS06

 実際に朝刊に掲載されていた記事は、オンライン版の三倍以上も長く、さすがにテキスト化がきついので、ポイントを整理したいと思います。

■例により数字の取扱が下手な日経は、バランスシートの数値や債務超過額について「各年度で算定手法が異なる(本当にそう書いてある)」にも関わらず、3兆円悪化!とかやっている。各年の算定手法が異なるのでは、昨年と比べても仕方がないだろうに・・・。
■世界の主要国で債務超過でない国家は存在せず債務超過額対GDP比で見れば、日本の債務超過額は平均レベルである事実を書いていない。
日本政府が保有する金融資産の規模が、他の先進国と比べて高水準にある事だけは書いてある。(どのくらい高水準かは、書いていない。)
■資産の部の中で最も巨額な貸付金は、独立行政法人などに対する貸付金(217兆円!)
■独立行政法人に対する巨額貸付が、民間の経済活動を阻害する要因となっている事を指摘し、増税の前に徹底した政府のスリム化を主張する「上げ潮派」の主張に沿っている。
■専門家(鈴木豊 青山学院大額教授)のコメントも、上げ潮派の主張に沿っている。

 まあ確かに経済紙としては及第点ぎりぎりですが、以前の財務省の主張に一方的に組した記事に比べると、はるかにマシです。四十点を差し上げましょう。
 問題は、当ブログで何度も述べている数値を扱うときの原則三つを守っていないところです。
? 割合で見る(例:債務超過額対GDP比率など)
? 流れで見る(数年間の流れで見る。一応、昨年と比べていますが、算定手法が毎年異なるのでは意味がありません。確かに財務省の問題ですが、日経がこの点を指摘し、追及する立場にある事は間違いないでしょう)
? 他者との比較で見る(折角、金融資産を他国と比べようとしているのですから、幾ら違うのか、債務超過額対GDP比率などはどうなのか、などに踏み込む必要があります)

 時間がありましたら、わたしの方で上記三点を加味した分析を行っていきたいと思います。毎日変態新聞の財務分析が終わっていないので、そちらが先ですが。(明日は毎日変態新聞の連結決算を分析する予定です。)

 本日の二つ目の話題は、昨今目立ちまくっている、崩壊する中国株式市場の件です。

中国株投信が急減 7月の純資産残高、ピークの半分
http://markets.nikkei.co.jp/fund/news.aspx?site=MARKET&genre=m5&id=AS2C2201G%2022082008
 中国の株式で運用する投資信託の純資産残高が急減している。国内で販売している中国株投信の残高は7月末で6020億円となり、ピーク時の2007年10月末(1兆2580億円)から52%減少した。北京五輪後の景気後退懸念から中国株式相場が急速に下落しているためだ。個人投資家の解約も増えている。個人マネーはブラジルなど資源国へシフトする動きが目立つ。
 投信調査の大和ファンド・コンサルティングが主に中国株で運用する公募投信35本を対象に調査した。軟調な株価を背景に8月末の残高は7月末から、さらに減少する可能性が大きい。』

 さて、ここ数年、中国株や中国株投信への投資を煽りまくっていた日経新聞は、いかに責任を取るつもりでしょうか? どうせ何の責任もとる気はないだろうけど、とりあえず質問します。

<おまけ 日本経済に関するメディアのダブルスタンダードの例 作:わたしと八八さん>

円高⇒輸出企業壊滅で、日本経済はおしまいです。
円安⇒ドル建てGDP減少で、日本経済はおしまいです。
株価下落⇒日本経済はおしまいです。
株価上昇⇒バブルの上、世界各国の上昇率に比べると、下落しているのも同じです。日本経済はおしまいです。
GDP上昇⇒実感なき経済成長に過ぎません。日本経済はおしまいです。
GDP減少⇒日本経済はおしまいです。
世界経済縮小⇒(本当は嘘だけど)外需依存の日本経済はおしまいです。
世界経済拡大⇒日本の存在感がなくなり、日本経済はおしまいです。
物価下落⇒デフレで日本経済はおしまいです。
物価上昇⇒インフレで日本経済はおしまいです。
日本が米国債を増やした⇒日本はアメリカの飼い犬で、日本経済はおしまいです。
日本が米国債を減らした(現実はこっち)⇒日本のアメリカへの影響力が薄れ、日本経済はおしまいです。

中国株価下落⇒調整です。日本経済はおしまいです。
中国株価六割下落⇒調整です。日本経済はおしまいです。
中国不動産バブル崩壊⇒不動産価格が正常化しています。日本経済はおしまいです。
中国貿易黒字激減⇒中国が内需を拡大しています。日本経済はおしまいです。
中国人民元上昇⇒中国が存在感を高め、日本経済はおしまいです。
中国人民元下落⇒中国輸出企業が興隆し、日本経済はおしまいです。
北京五輪前⇒北京五輪の大プロジェクトで、中国経済は成長し、日本経済はおしまいです。
北京五輪後⇒実は、北京経済が中国経済に占めるシェアは、わずか4%。中国経済は北京五輪と無関係に成長し、日本経済はおしまいです。
中国は米国債を増やした⇒貿易黒字がとどまるところを知りません。輸出大国と言われた日本経済に明日はありません。
中国が米国債を減らした⇒ドルへの依存度を減らし、自立経済を模索しています。日本経済に明日はありません。

 流行るかなw

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