一般にレパトリとは、資金の自国内への還流を指しますが、本ブログにおける意味は「アメリカへのドル還流」を意味します。

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_10.html#vsUSD080825

 上記は2008年8月11日から25日までの10営業日におけるKRW(韓国ウォン、アジア新興通貨代表)、EUR(ユーロ)、GBP(英国ポンド)、そしてJPY(日本円)の推移を比較したものです。この期間、九月決算を控えた米系金融機関などによるドルの引上げ(レパトリ)が主因と思われるドル高が続きました。
 韓国ウォン(紺)の下落も派手ですが、同じペースで英国ポンド(緑)も対ドルで下げています。ユーロもさすがに対ドルで値を下げ、そして日本円は・・・すごいですね。まるでドルペッグのようです。
 このグラフを見ると、要するに米ドルが投資されていた国ほどドルのレパトリの悪影響を喰らい、通貨が下落している事が明らかに思えます。

ウォン安進み1079ウォンに、3年9カ月来の数値
http://japanese.yonhapnews.co.kr/economy/2008/08/25/0500000000AJP20080825002600882.HTML
 ウォン・ドル相場が続落し1ドル=1080ウォンに迫った。25日のソウル外国為替市場は前日比16.40ウォン安の1ドル=1078.90ウォンで取引を終えた。3営業日で29.60ウォン安で、2004年11月17日の1081.40ウォン以来、3年9カ月ぶりのウォン安水準となった。』

アジア通貨動向(25日)=下落、ウォンはほぼ4年ぶりの安値
http://jp.reuters.com/article/forexGlobalMarketReport/idJPnJS823933120080825
 25日午前のアジア通貨は対ドルで下落。韓国ウォンは1%超下げ、ほぼ4年ぶりの安値をつけた。
 ドルは主要通貨に対して.DXY上昇した。第2・四半期の英国の実質国内総生産(GDP)改定値が、季節調整済みで前期比変わらずだったことを受け、ドルは対ポンド<GBP=D4>で2年ぶりの高値をつけている。
 マレーシアリンギ<MYR=>は0.8%安い1ドル=3.3680リンギと、昨年11月末以来ほぼ9カ月ぶりの水準をつけた。トレーダーは、国内の政局不透明感もリンギの重しとなっている、との見方を示した。(中略)
 マレーシア中銀は25日、政策金利の見直しを予定している。インフレ率は6月の7.7%から7月に8.5%へと急上昇した。
 韓国ウォン<KRW=>は1.3%安の1米ドル=1076.5ウォンに下落し、2004年11月以来の低水準で推移している。韓国経済の健全性と、ソウル市場で最近、外国人投資家からの売り注文が続いていることへの懸念が深刻化していることが背景にある。
 ソウル市場での外国人投資家による売り越しは、先週だけで10億ドル超となった。外国人投資家はそれによって手にした資金をドルに交換するため、今後数日はドル買いが膨らむとみられている。』

 韓国の報道機関マネートゥデー「第2の為替危機は来るか?」の記事によると、韓国の対外債務のうち、九月に満期となる債券は合計で43兆ウォン。そしてこの内、大部分の債券について九月九日、及び九月十日の二日間に償還が集中しているそうです。
 果たして、韓国は通貨が日々下落していく中で、対外債務(多くがドル建て)のロールオーバーが滞りなくできるのでしょうか。
 そして、すっかり七月の迫力を逸してしまった韓国銀行。外貨準備を惜しむあまり、為替防衛を諦めたのか、それとも流動性が尽きたのか。個人的な考えを言わせて貰えば、例え外貨準備が尽きるような状況になっても、通貨を維持し続けるための為替防衛(ウォン買いドル売り)は続けた方がいいと思うのですが。

http://news.moneytoday.co.kr/view/mtview.php?no=2008082215582079845

 また、ロイターの記事によると、イギリスのGDP改定値が前期比変わらず(要するにゼロ成長)だった事を受け、英国ポンドも二年ぶりの安値になったということです。ポンドは対円でも値を下げ、そろそろ1英国ポンドが200円を切りそうな情勢です。
 要するに、ここ最近の世界経済は、バブルの本家本元であるアメリカが九月決算を控え、海外に投資・投機したドルを自国に引き上げている(レパトリ)ことにより、他のバブル諸国の通貨が下落しているだけのように思えます。その一つの証として、韓国や英国など、バブルに浮かれていた国々の通貨が見事に揃って値を下げています。
 前述したように、バブルと言えばアメリカこそが本家本元のはずが、基軸通貨国の特権で通貨暴落を回避し続けているわけです。ずるいですよねw
 六月九日のポールソンによるドル防衛宣言から二ヵ月半。
 アメリカの「強いドル政策」は各国のバブル崩壊とレパトリにより、何とか維持され続けているわけです。しかし、九月の決算期を過ぎた場合は、どうなるのでしょうか。特に対ユーロで、アメリカの不動産バブル崩壊ぶりと、欧州の不動産バブル崩壊ぶりとどちらが悲惨か、より悲惨な方の通貨が下落する不毛な通貨戦争が始まりそうな予感がします。
 世界経済がインフレーションの猛威に襲われている以上、どの国も通貨下落(=輸入物価上昇)はご免被りたいところでしょうが、いかんせん通貨は相対取引であるため、どこかの国の通貨が強くなれば、必ず他の国の通貨が弱くなります
 そういう意味で、世界各国と同じくREITに代表される不動産バブルが崩壊過程にあるにも関わらず、他国の資金と無関係なバブルであったため、通貨に殆ど影響が出ず、同時にアメリカドルが投資されていなかったためレパトリとも無関係でいられる日本は、本当に特殊だと思います。
 ある意味、幸運だったと言ってもいいでしょう。いつまでも幸運を当てにしてはいけないことは、言うまでもないのですが。

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