http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/index.htm
 新世紀のビッグブラザーへのホームページに、第九章「環境に優しいガイア市民」を掲載しました。本作品は、この第九章のため書き始めたようなものですので、書き上げたときはさすがに感慨無量でした。まだ最終章が残っていますが、分量的には他の章の半分くらいなので、GW中には完結させることができると思います。

 また、上記HPの左のフレームに載せておきましたが、作者に次回作「本当にヤバイ!中国経済 -バブル崩壊の先に潜む双頭の蛇-」の表紙が上がってきました。出版社に黒い表紙と赤い表紙、どちらがいいですかと聞かれたので、「そりゃ赤でしょう」ということで、この表紙になりました。
 発売は一応、5月2日予定となっていますが、まだ確定ではありません。無事に印刷が上がってきて、5月2日までに取次先(↓の「出版業界について」参照)に納品できれば、予定通りとなります。
http://blogs.yahoo.co.jp/takaakimitsuhashi/4909285.html
 何かが原因で5月2日までに納品できなければ、残念ながらGW明けの5月7日が発売日となってしまいます。GWは出版取次会社も休みになるので、連休前に納品できるか否かで、これだけの差が出てしまうのです。

 さて、先日韓国のGDP成長率鈍化のエントリー(↓)を書きましたが、
http://blogs.yahoo.co.jp/takaakimitsuhashi/7207442.html
輸入物価だけではなく、消費者物価の方もなかなか悲惨な状況になっているようです。
『<緊急点検 原資材ショック>中国産まで価格高騰…突破口なし
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=97713&servcode=300§code=300
「通貨危機以来、生活苦痛指数に物価が影響を及ぼしたのは初めて」
白菜価格値上がり、サワラ、ワケギも2倍に高騰
 風刺画家のチョン・エスクさん(38、京畿道富川市)は、18日、キムチを漬けようと買い物に行った。昨年のこの時期、5株を漬けるのにかかった費用が1万1000ウォン(約1086円)だったが今年は3株を漬けるのに2万ウォン(約1974円)かかった。家計簿をさかのぼってみると野菜の値段が大幅に高騰していた。今年3株で6000ウォン(約592円)かかった白菜は、昨年5株で5000ウォン(約493円)だった。1本500(約49円)~700ウォン(約69円)したダイコンは1200ウォン(約118円)、ワケギ1束は1000ウォンから2480ウォン(245円)に値上がりしていた。キュウリ(3本1000ウォン→2000ウォン)やサワラ(一尾800ウォン→1800ウォン=約、約79円→177円)も2倍以上値上がりしていた。
(中略)
 原資材の値段高騰はこれから産業の現場の話だけにとどまらなくなる。いつのまにか家計簿にもしわ寄せを及ぼしているのだ。先月の消費者物価上昇率は3.6%で5カ月間連続で3%を超えている。統計庁の関係者は「物価調査後にインスタントラーメンが値上がりし、消費者が実際に感じている物価は数値を上回っている可能性もある」と話した。
(中略)
 「昼ごはんを食べに行くのもためらうようになりました」。
 ソウル西小門(ソソムン)のある大企業に通うキム某さん(35)の話だ。小麦粉が値上がりし、ジャージャー麺やカルグクス(韓国式うどん)のような庶民の食べ物までも価格が一気に高騰したためだ。
 生活用品の価格も値上がりしている。大型量販店は昨年下半期から値段が安い自社ブランド(PB)市場に発表し、競争を繰り広げ、すぐに生活用品の値上げは行わない方針だ。だが内部事情は差し迫っている。ロッテマートの商品運営チームのグ・チャンモ課長は「価格をいまのまま抑えておくのは難しい」と状況を説明した。納品している企業が原価の上昇を理由に単価を上げてくれと要求しているのだ。
 中国産の製品価格も上昇し始めている。値段が安い中国産は世界のいたるところの実感物価を一気に引き下げるのに最も貢献していた。しかし、中国から生活雑貨を輸入しているムン・ヒョンオさんは「昨年末に70元したコーヒーカップのセットたった2カ月で77元に値上がりした」と明らかにした。全般的に納品価格が10~15%も上昇し、近い将来再び上昇するはずだとムンさんは見込んでいる。国際貿易研究員のチョン・ファンウ首席研究員は「中国の賃金、物価、原資材の価格が上昇し、中国産製品の値段も上昇している」と説明した。
 物価が下落する兆候は全くない。三星(サムスン)経済研究所によると石油価格上昇は1カ月後に生産者物価に、2カ月後には消費者物価に影響を与える。石油価格と原資材価格が高騰を見せ、これと関係している物価は当分の間、上向きの曲線を描く見通しだ。この研究所の張在?(チャン・ジェチョル)首席研究員は「これまでに原資材価格が高騰した際には一部の品目だけが上がったり、価格上昇の衝撃を産業界が現場でできるだけ吸収してきたので、生活経済に直結することはなかった」と述べ「最近オイル価格、穀物価格、原資材価格がともに上昇し、為替レートまでが不安定な状況に陥って、その波が消費者にも波及し家計を圧迫している」と説明した。
◇消費者にとって最も大きい苦痛は物価=LG経済研究院は1995年から生活経済苦痛指数を測定し、発表してきた。消費者の物価上昇率と体感失業率を足した数値だ。高いほど経済的な苦痛が大きい。昨年9月、8.5だった苦痛指数は毎月上昇し1月には12.2になり、ここ3年で最高値を記録した。この研究院のペ・ミングン専任研究員は「これまで10年間の苦痛指数は主に雇用の影響を受けてきたが、昨年の第4四半期からは物価の影響がより大きくなった」と説明した。
(中略)
 物価の高騰傾向は韓国だけの問題ではなく、世界的な現象だという点が目の前をさらに暗くしている。食料品の価格が急騰し、中国は先月、消費者物価が8.7%も上昇した。米国の消費者物価は4.3%、ヨーロッパは3.2%も上昇した。世界全体の消費者が一度に物価高に苦しめられている。』

 韓国の場合、物価高も強烈ですが、貿易・サービス収支の赤字によりGDP成長率がゼロに近づいていることも、合わせて問題になっています。韓国経済新聞の報道によると、今月(4月)の貿易収支も赤字が濃厚のようで、これで昨年12月から(CIFベースで)五ヶ月連続の赤字になるようです。
 ご存じの通り韓国のサービス収支は毎回大赤字ですから、貿易・サービス収支の赤字が膨らみ、GDPの純輸出が「純輸入」になり、韓国の経済成長の足を引っ張ることになります。経済成長率の低下は、いずれ失業率の上昇を引き起こし、韓国国民は物価上昇と失業率上昇が同時に起きる、悪夢のスタグフレーションに巻き込まれることになります。
 しかも韓国の場合、国内経済に加え、対外債務の償還という問題もありますので、もはや綱渡りと言うより、「糸」渡りの経済政策が必要になってくるでしょう。頑張ってください。 

 はっきり言って、この世界的な物価高の状況で「円高で日本経済は破綻うんちゃら」と言っている人は、あまりにも近視眼的だと断言せざるを得ません。中央日報の記事にもあるように、消費者が困るのは通貨高で輸出が減少することではなく、物価上昇です。
 ここで「でも、日本は外需依存で」云々と思った人は、わたしの過去のエントリーを読み返してみてください。日本の外需依存度はアメリカに次いで低く、しかも円高の影響を受けやすい耐久消費財の輸出額は、対GDP比で3%強の規模に過ぎません。
 それでもまだ日本の外需依存度が高くないことを信じられない人は、代表的な外需依存国であるシンガポール、ドイツ、中国、韓国の数値を調べてみてください。何事も、比較してみなければ、高いのか低いのかは分からないでしょう。
 わたしは身長が日本人としては高い方ですが、ドイツ製レインコートのサイズは「S」です(笑)