4月2日に韓国の3月の外貨準備高が報道されました。
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2008/04/02/0200000000AJP20080402000500882.HTML
『3月の外貨準備高、前月比18億8千万ドル増加』
 ええ!あれだけ為替防衛のウォン買いをしていながら、外貨順準備高が増加???と、その時は思ったのですが、一応、韓国の中央銀行がソースなので、理由は分からないですが、とにかく3月の韓国の外貨準備は増えたのか、と思っていました。
 ところが。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_01.html#BOPQ307-Q108
 昨日報道された韓国銀行の発表によると、3月の韓国の外貨準備高は7.11億ドルの「減少」になったそうです。またもや「ええ!」
 ウォン安圧力が強く、為替防衛をしていた韓国の外貨準備高が減少するというのは、まことに納得がいく話ですが、それでは4月2日の報道は何だったのでしょう。額が多少増減するならともかく、かたや「外貨準備高増加」、かたや「外貨準備高減少」では、ミスリードと言われても文句を言えないでしょう。(なぜか韓国のメディアは誰もここに突っ込んでいないのですが)

 韓国の3月の国際収支は、非常に突っ込みどころ満載でした。
 CIFベースで貿易赤字だったのが、FOB(国際収支)で多少黒字転換したのは、まあ、12月もそうだったので、いいとしましょう。
 問題は、所得収支です。韓国の3月、4月は、海外への配当金の支払いが一年で最も多い二ヶ月ですので、所得収支は毎年大幅な赤字になります。昨年も、3月、4月は所得収支の大赤字のせいで、経常収支赤字になっていました。
 ところが、今年の3月の所得収支は、2.19億ドルの黒字・・・。有り得ない!と思っていたら、やはり裏というか、カラクリがあったようです。

 韓国wktkスレから拝借。
『4月の経常赤字30億ドル…今年に入って-81億ドル予想
http://www.seoul.co.kr/news/newsView.php?id=20080501001010
 去年 12月から連続 4ヶ月目経常収支赤字が持続した中に 4月経常収支赤字が最小 30億ドルに推定されて経常収支管理に非常事態になった.
 今年 1月から 3月まで経常収支累積赤字規模が 51億 6000万ドルで,4月経常収支赤字規模を加えれば赤字が 80億ドルで急増する.
 国際原油価格が 100ドル以上高空行進をする場合今年経常収支赤字規模は 100億ドルにのぼるように見える.
 30日韓国銀行が発表した ‘3月中国際収支動向(暫定)’によれば去る月経常収支は 5000万ドル赤字で去年 12月から 4ヶ月連続赤字基調を引き続いた.3月経常収支書こうという 2月 23億 5000万ドルに比べて大幅で減ったが今年の 1~3月経常収支累積赤字規模は 51億 6000万ドルに集計された.
 3月経常収支赤字幅は大きく減ったことは外国人投資者たちの配当金送金額の中で 10億ドルが 4月に繰越されたし, ビザカードニューヨーク証市賞状で異例的に 11億 7000万ドルの大規模配当金支給が発生したからだ.
 韓銀は “4月に外国人の配当金送金が 30億ドル予定されていて 3月に繰越された配当金送金 10億ドルを合すると所得収支でばかり 40億ドル赤字が発生することができる.”と明らかにした.』

 ・・・。要は、外国人に支払われた配当金10億ドルの送金が4月に繰り越され、所得収支の赤字が先延ばしになっただけのようです。もしもこの送金が3月に行われれば、3月の経常収支赤字は約15億ドルとなり、第一四半期の赤字幅も65億ドル超に膨らむところでした。
 とは言っても、ただ4月に送金が引き延ばされただけなので、先月(4月)の経常収支の赤字額が今年最大になることが確定してしまいました。5月末の韓銀発表が楽しみです。

 更に3月の国際収支で不思議なのは、巨額の誤差脱漏です。
 経常収支5400万ドルの赤字、資本収支3.88億の黒字、外貨準備が7.1億ドル減少、そして誤差脱漏が10.45億ドルマイナスって、誤差脱漏が最大値となる統計って、どうなんでしょう? 
 そう言えば、今年に入り、誤差脱漏の額が全体的に増えている気がします。
 理由はわかりませんが。

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