本日は日本と世界のジニ係数の話を書こうと思い、準備していたのですが、タイミング良くこちらの記事が出たので、変更しました。

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_02.html#Yusyutsu

 2007年の名目国内総生産(GDP)に占める財の輸出額の割合である輸出依存度(03月02日のブログに書いた、外需依存度)は、16.3%。06年から若干上昇し、過去最高を更新しました。
 日経の記事によると、主要七カ国の輸出依存度の平均は22%。国際比較をすると、日本の外需依存度は「むしろ低い」とのこと。ここで、日経こそが「日本は外需依存、日本は外需依存!円高で日本経済は破綻没落!」と煽っていた張本人じゃないの?という疑問が浮かぶかと思います。
 ご安心を。我らが日経は、きちんと期待に応えてくれています。
 
 世界貿易機関(WTO)や国際通貨基金(IMF)のデータで主要七カ国の輸出依存度を計算すると、06年の日本は約15%で、これを下回るのは米国(7.9%)だけ。日本は主要七カ国平均(22%)よりも低位にある、とのこと。いやあ、わたしが03月02日にブログに書いた記事に、内容がそっくりですね。タイミングがタイミングなんで「おや?」と、妙な疑いを持ってしまいます。 
 まあ、そんなことはどうでもいいのですが。
 日経によると、大半の国は日本と同様に輸出依存度が年々上がっているが、中身は異なるそうです。
 日本は名目GDPが殆ど増えない中で、輸出依存度が上昇している。他の国々は、GDPが安定的に増えても、輸出がそれを上回って伸びる形で、依存度が上がっているとのこと。
 つまり、日本は外需依存ではないが、内需が伸びない中で輸出増で辛うじてGDPが伸びているだけであると。「個人消費などの内需が伸び悩むなかで日本経済は外需頼み」であると。

 ここで「おい!」と言いたいわけですよ。
 低金利、為替介入に加え、日経を中心としたメディアが「円安で輸出企業絶好調!」と煽りを繰り返し、2002年から昨年まで、円安傾向が続いてきました。円安ということは、日本国民の購買力は日々削られ、更に国内よりも海外に投資した方が、高金利に加え為替差益が期待でき、メディアが海外投資を煽り、国民の海外投資が更なる円安を呼び、国民の購買力を奪う。こんな状況の中で内需が伸びる方が、奇跡です。
 つまり、内需低迷の中、円安の恩恵を受けた輸出企業が伸びたのではなく、輸出産業一辺倒の政策(つまり円安志向)が、内需低迷を引き起こしたと考えるわけです。
 幸い、アメリカのサブプライム危機を切っ掛けに、徐々に円の過小評価は解消されつつあり、国民に購買力が戻り始めています。
 例えばガソリン価格は高止まりを続けています。ですが、円高の恩恵でガソリン価格が上昇「し続けない」というだけで、他国よりは購買力の面で恵まれているわけです、日本人は。
 この円高局面を受け、2008年の日本経済について、幾つか予想を立てたいと思います。

■ 2008年は徐々に円高が進み、ドル円は100円を切る。
■ 輸出産業は伸びが鈍化し、純輸出も減少するが、GDPは内需拡大、特に個人消費の復活を受け、2007年を上回る成長率を見せる。
■ 成長率は高まるが、輸出企業の成長が鈍化した結果を受け、日経平均は伸びない。せいぜい16,000円を回復する程度。
■ 2008年の輸出依存度は、15%程度にまで低下。再び(90年代と同様に)減少局面を迎える。
■ 海外投資ブームは一段落し、国内に投資が戻った結果、若干の資産インフレが起きる。
■ 日銀は数ヶ月ごとに0.25%ペースの利上げを続ける。

 言いっぱなしで、予想が間違っていてもフォローしないのでは、日本の大手メディアと変わらないので、一年後にこの予想を検証することをお約束しておきます。予想が外れたら、外れたなりに、その原因、要因について検証いたします。
 もしも一年後、わたしが忘れているようでしたら、コメント欄か掲示板で思い出させて下さいませ。


*三橋貴明のホームページ「新世紀のビッグブラザーへ」を開設しました。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/index.htm