本日も円は上昇を続け、一時は1ドル100円を切る寸前まで急騰しました。(結局割れました)
 以前、別の記事で日銀の為替介入による円安誘導から生じた歪みが、解消されつつあるのが今の情勢であると書きましたが、この日銀の為替介入が行われたのは2003年と2004年の二年間でした。

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_04.html#BOPJP0307

 日本の国際収支を見ると、03年と04年の外貨準備高が激増しているのが分かります。
 その後の05年から07年の三年間も、外貨準備高は微増していますが、これは額的に運用収益のようですね。この三年間、日銀が為替介入をしていないのは間違いなさそうです。
 ところで、日本の経常収支の中で、所得収支の黒字が増え続けているのは新聞などでよく話題になりますが、日本が特殊だと思うのは、貿易収支の黒字も決して減少してはいないことです。
 一般に、経済が成熟化するに従い、所得収支黒字の増加と貿易収支黒字の減少が同時に起きる。というのが所謂「国際収支の発展段階説」です。ご存知のアメリカやイギリスは日本よりも経済が成熟しており、既に貿易収支黒字減少の局面を通り過ぎ、貿易収支が赤字化しています。
 そして、国際収支だけを見た場合、日本と米英の中間に位置しているのが、スイスになります。
 
 http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_04.html#BOPCHF0206

 所得収支が巨額黒字で、貿易収支が黒字ぎりぎりなのをご確認頂けるのではないでしょうか? スイスは所得収支黒字の対GDP比が大きいのも特徴で、所得収支の黒字が実にGDPの10%に届いています。典型的な投資国家と言えるのではないでしょうか?

 このように、国際収支を見るだけで、その国の経済構造が意外に分かります。この視点から「ある国」の経済構造と未来を解き明かそうと試みるのが、わたしの次回作になります。
 さすがに締切が厳しくなってきましたので、今日はこの辺で。

*三橋貴明のホームページ「新世紀のビッグブラザーへ」を開設しました。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/index.htm