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 昨日から今日に掛け、ハイブリッド型スタグフレーションのニュースが、主に日経新聞などで目白押しでした。
 まずはこちら。

『中国:4月の消費者物価指数、8.5%の高い上昇率
http://mainichi.jp/select/biz/news/20080513k0000m020077000c.html
 中国国家統計局は12日、4月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比8.5%上昇したと発表した。食品価格の22.1%上昇が全体を押し上げ、11年9カ月ぶりの高水準となった2月の8.7%に次ぐ高い上昇率になった。
 上昇が目立ったのは、昨年夏以来の供給不足が続く肉類及び製品の47.9%で、このうち豚肉の上昇率は68.3%に達した。野菜類と穀物もそれぞれ13.6%、7.4%上昇した。
 また、中国人民銀行(中央銀行)は12日、金融機関の預金準備率を20日から0.5%引き上げ、16.5%にすると発表した。引き上げは今年4回目。
 預金準備率は、金融機関が保有する預金の一部を強制的に人民銀に預け入れる比率。市中に出回る過剰な資金を吸い上げることで、投資の過熱や物価上昇を抑える意味がある。』

 豚肉(中華料理の中心素材)の上昇率が68%!中国の一般庶民の負担たるや、想像を絶するレベルです。
 実は中国の4月の消費者物価の高騰は更に問題を抱えています。前回のブログでも書きましたが、農村部の物価上昇率が都市部を上回っているのです。4月の農村部の物価上昇率が9.3%と、二桁寸前にまで高まりました。農村部の物価上昇率は、1995年12月以来、12年4ヶ月ぶりという高水準です。余剰労働力を1億人以上抱え、都市部と比較して遙かに購買力のない農村の物価上昇率が、都市部を上回っているわけです。共産党政権の国らしいと言えば、らしいのですが。
 続けて、日経新聞(2008年5月13日朝刊 国際面)「フードクライシス グローバル危機の構図」から。
 
『食糧難が世界を覆っている。途上国では価格高騰で治安が悪化し、波紋はインフレ懸念となって先進国まで広がった。国連は12日ニューヨークでグローバル食料危機タスクフォースの初会合を開催、6月の食料サミットへ向けて具体策の準備を急ぐ。グローバル化する食料難を解決するため、緊急援助などに留まらない、国際社会の政策総動員が求められる。
 先週のシカゴ商品取引所でコメ先物相場は値幅制限いっぱいまで買われる日が続いた。9日には1時100ポンド(約45キロ)当たり23.50ドルまで上昇、四月下旬につけた最高値(25.07ドル)に迫る勢いを見せている。材料はミャンマーを襲ったサイクロン「ナルギス」だ。(後略)』

 更に食料問題について。日経新聞(2008年5月13日夕刊 総合・ビジネス面)「なるほどビジネスMap」から。

『主要なコメ生産国の輸出余力が低下している。輸出大国のアジア各国が経済成長に伴う国内消費の伸びを背景に、輸出を規制せざるを得ないためだ。国際指標となるタイ米の輸出価格が年初から二倍に急騰するなどコメ需給の逼迫が鮮明になってきた。(後略)』

 ここまではスタグフレーションの「インフレーション面」についてですが、スタグフレーションにはもう一つ、「不況面」の顔があります。
 日経新聞(2008年5月13日朝刊 15面)「トヨタ失速 米国変調」から。

『先週のトヨタ自動車の決算は少々ショッキングだった。今期の営業利益予想が三割減というのは想定の範囲で、驚きではない。円高や原料高の逆風が吹く中で、むしろトヨタの底堅さを示す数字と言える。
 衝撃は2008年1-3月の四半期決算で、これまでドル箱だった北米の営業損益が124億円の赤字に陥ったことだ。07年4-6月期は1602億円の黒字で、わずか一年足らずの間に北米での収益基盤は大きく弱体化した。
 金融関連の評価損など特殊要因も効いたが、根底にある理由はきわめて単純。高い車が売れなくなったことだ。(中略)
 もしかすると、米経済が日本化するのではないか-。経済学者のポール・クルーグマン教授が米紙のインタビューでこんな仮説を唱えている。住宅バブルの崩壊で資産デフレが進行し、それを機に10年単位の長期に渡って経済が活力を失う。米経済の先行きを見通したとき、こうした最悪シナリオを排除できないと教授は言う。
 この見解が正しいかどうか、現時点では分からないが、自動車に限って言えば米国の「日本化」は間違いなく進んでいる。(後略)』

 現代の資本主義社会において、こと製造業の収益性の面では間違いなくトップを走るトヨタが、北米市場で赤字化してしまいました。勿論、トヨタの技術力や経営力に翳りが出た等の問題ではなく、単にアメリカ人がガス食いの自動車を買わなくなっただけです。
 アメリカの消費者は、折からの資源高で、一斉に燃費の良い小型車やハイブリッド車などにシフトしつつあります。残念ながら、自動車業界は未だに「小さい車は利益が小さい」という常識から逃れることができていません。
 資源高までもが工業製品の小型化、安値化を促進し、この面でのデフレーション、つまり不況は徐々に拡大していくでしょう。
 その反面、資源と食糧はますます高騰していくという、世界経済は大げさも何でもなく、資本主義始まって以来の危機的局面を迎えようとしています。20世紀初頭の大恐慌では、農産物が供給過剰となり、あまりの価格低下にアメリカの農民たちが軒並み破産しました。1970年台の石油危機は、原油高騰を主因として工業製品が軒並み価格高騰に見舞われました。
 工業製品が供給過剰で、明らかな不況局面であるにも関わらず、投機マネーにより食糧と資源価格が高騰していくというのは、わたしの知る限り例が無いはずです。(もしも似た事例を知っている人がいたら、コメントに書き込んで教えてくだされ。)

 そして、冒頭の記事にある、中国。
 中国の食料品価格が上昇していく原因は幾つもあるのですが、その一つに、昨年から天災が続き、国内の農産物収穫量が落ち込んでいるというものがあります。
 そこにきて、まるで歴史の教科書に書かれるようなタイミングで、四川省(旧チベット領)で大震災が発生しました。人命の損失も凄まじい限りですが、この地域は中国の中でも穀倉地帯の一つです。今後、中国の農産物の供給不足が加速し、食料価格を更に押し上げていくことは容易に予想がつきます。
 恐らく5月のCPI上昇率は、全国的には9%台、農村部では二桁に到達するのではないでしょうか。その中で、アメリカという世界最大の需要家の規模的縮小が続くわけです。
 
 そして、この国家的大災害の真っ直中にありながら、福建省竜岩で予定通り聖火リレーを強行する狂った中国共産党政府。聖火を掲げ、笑顔を浮かべながら走る中国人リレー走者。

 我々は今、もしかしたら本当に歴史が動いている現場を目撃しているのかも知れません。

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