三橋貴明のホームページ「新世紀のビッグブラザーへ」を開設しました。
  http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/index.htm

 さて、ドルの下落が世界的に止まらず、円は1ドル102円の世界に突入しました。実に3年ぶりのことです。今日は円を中心とした各国の為替のことを。
 
 円の適正レートは幾らなのか? もちろん「幾ら!」と断言することは難しいのですが、適正レートを計算する際の考え方を幾つかご紹介したいと思います。
 一つは、日米の卸売物価指数を使用する方法です。両国の卸売物価指数を比較し、同じ「モノ」を購入できる金額を比べ、両国の為替レートが算出されたレートからどれだけ乖離しているか計ります。
 日経新聞によると、卸売物価指数を用いたドル円の適正レートは95円。

 http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_02.html#Nikkei

 もう一つご紹介しましょう。意外と有名な、ビッグマック指数です。
 ビッグマック指数とはマクドナルドで普通に売られているビッグマックの価格を比較したもので、各国の総合的な購買力を図ることができます。その時に実際の為替レートと、PPP(購買力平価)による適正為替レートとを比較することで、各国の通貨がどれだけ購買力と乖離しているか見ることができるのです
 2007年06月02時点のビッグマック指数は、以下の通りとなっています。

 http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_02.html#bigmac

 日本のビッグマック指数による適正レートは、1ドル82円。2007年06月02日時点の乖離率が33%。日経新聞の卸売物価指数よりも、乖離が激しいと判断しています。
 2008年03月03日時点の為替レートは、1ドル103円前後なので、現実は徐々にビッグマック指数による適正レートに近づいていっています
 他の国を見ると、イギリスとユーロ圏の通貨が過大評価されています。特にユーロは、07年6月以降も対ドルでユーロ高が続いていますので(08年03月03日時点で約+34%の乖離)、今後には要注意です。ちょうど90年代の日本の「過大評価の局面の円高」に類似した状況になり、今後は極端なデフレ圧力が生じる可能性があります。
 実際にフランスなどに旅行すると、その物価の高さに驚きます。ユーロか物価が現在の六割程度にまで下落した価格が適正ではないか、というのがわたしの感触でした。
 アジア圏の通貨が軒並み過小評価されているのにも、驚きます。
 為替介入を繰り返し、事実上のドルペッグ制を維持している中国は58%の過小評価です。当然と言えば当然ですが、物凄い乖離率です。もしも人民元がビッグマック指数による適正レートにまで上昇すると、中国の輸出価格が二倍以上に跳ね上がることになります。中国の輸出企業は壊滅状態に陥るのではないでしょうか?
 韓国も面白いです。
 なぜなら昨今の韓国ウォンは、ビッグマック指数による適正レートに近づくどころか、対ドルで弱含み続けているからです。韓国ウォンは、昨年は瞬間的に1ドル900ウォンを切ったのですが、現在は945ウォンにまで下落しています。
 さて、なぜでしょうか(笑)