本当は中国本ネタとか、「日本はアジアで孤立している。ハアァ?」ネタとか、色々書きたいことがあるのですが、とりあえず「本当はヤバイ!韓国経済」を書いた人間としては、今日はこのネタを書かないわけにはいかないでしょう。
 本日も韓国ウォンの下落は止まらず、前日比23.5ウォン下落の1ドル1049.6ウォンで取引を終えました。実に終値ベースで2年6ヶ月ぶりの安値です。瞬間的には、1050ウォンを超えました。

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_05.html#KRW080508

 円も多少対ドルで円高が進みましたので、終値で100円1004,9ウォンと、3月以来、約一ヶ月半ぶりに1000ウォンを突破しました。いやあ、これでまた対ウォンの計算が楽になりましたね。円に10倍すると、ウォンが計算できるわけです。
 さすがにここまでウォンが下がると、韓国のメディアも徐々に悲鳴を上げるところが増えてきました。
『1ドル=1049ウォン…中小企業・留学生 ‘悲鳴’
http://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/286527.html
今年に入って 12% 急騰…政府後手も暴騰分け前
 国際原油値上昇と投機的なドル需要が押し寄せながらウォン-ドル為替が 1050ウォンあごの下まで急騰した. 政府もこれを積極的に容認するという態度なので上昇勢はつながる見込みだ.
 8日外国為替市場ではウォン-ドル為替が前日より 23.5ウォンも上昇した 1049.6ウォンで終わった. 取引間一時 1050ウォンに取り引きされたりした. こういうわけで為替は先月 25日 996ウォンを記録した以後 7日連続急騰勢を見せながら年中最高値を更新した. 去る 3月為替急騰の時の 1029.2ウォンをずっと越す水準だ.
 為替急騰は国際原油値上昇で原油導入による決済金額が増えたうえに株式市場で資金を回収海歌は外国人たちのドル需要が増加したからだ. また政府が為替上昇を積極誘導する態度を取ることで追加上昇に対する期待を脹らますことも一分け前をしている. モナカ頃企画財政部借款はこの日 “(為替急騰は) 経常収支赤字が解消されなかったし市場需給に不均衡が生じて起きた自然な現象”と言った. 外換銀行外為取り引き関係者は “政府関係者たちの発言などで市場が過熱されていて上昇勢が易しく止めるようではない”と言った.
 為替が短期に急騰しながら原油・穀物・金属など原資材を輸入しなければならない企業らと留学生を置いた家計には非常事態になった. 特に内需に基盤を置いた中小企業たちは為替上昇で採算性が高くなる輸出大企業たちと違い深刻な経営圧迫要因で作用している.
 ウォン-ドル為替は昨年末 936.1ウォンを基準にする時もう 9日まで 113.5ウォン(12.1%)が上がった状況だ. 原資材値上昇に為替上昇まで勘案する場合おびただしい負担で作用しているわけだ. 全北全州でプラスチック製造業社を運営しているという三何某代表は “原資材値急騰に為替上昇で主原料であるポリエチレンの値段が年初より 40% ほど上がった t当たり 170万ウォンに至る”と “政府が輸出主の成長政策を広げながら内需企業らを寄せつけるようだ”と言った.』

 ちなみに、韓国の報道機関では、為替相場の上昇、下落の表現が、日本とは逆です。(どちらかと言えば、韓国方式の方が国際的には多かったりします。)
 予め言っておきますが(前にも書きましたが)、ウォン安で韓国の輸出企業が復活する!韓国経済は無敵だ!なんて論調は、超一面的な見方しかしていない短絡的な思考で、愚者の愚論です。(そう。愚、愚です)
 アジア通貨危機後の韓国輸出企業は、確かにウォン安で収益を改善できましたが、当時の原油は1バレル20ドル程度だったことを忘れてはいけません。今や、1バレル120ドル超の時代です。原油以外の資源価格についても、言わずもがなです。ウォン安は輸出企業云々抜きに、韓国の国民生活に多大な悪影響を与え、韓国経済の根幹を破綻させるだけです。
 李明博政権後の韓国の金融政策当局の動きを見ていると、ウォン安の方が韓国にとっては得なのか、ウォン高の方が得なのか、見極めが巧くできていない気がします。
 当然ながら、輸出企業はウォン安を望み、恐らくこの意向に沿って韓銀は為替防衛の介入を控えめにしているように思いますが、逆に銀行サイドからはドル不足で悲鳴が上がっています。銀行からしてみれば、世界的な信用収縮は継続しており、海外金融市場でのドル調達が徐々に難しくなり、ロールオーバー(債務の借換)も難しくなっている環境下ですから、この状況でウォン安では泣きっ面に蜂でしょう。
 かといって、外貨準備高が減少している以上、韓銀は全面的なウォン安促進にも出てはいないようです。(驚異的な物価高が襲いかかっている状況なので、当たり前ですが)
 金利政策も、この韓銀の逡巡ぶりを映し出したような状況が続いています。

『基準金利を年5.00%で据え置き、韓国銀行
http://japanese.yonhapnews.co.kr/economy/2008/05/08/0500000000AJP20080508001400882.HTML
ソウル8日聯合】韓国銀行の金融通貨委員会は8日、今年の基準金利を年5.00%に据え置く方針を示した。昨年9月以降、9カ月連続で据え置きとなった。景気下降に対する懸念から、一角では基準金利の引き下げもささやかれていたが、4月の消費者物価が4.1%急上昇したことに加え、国際原油価格の急騰、ウォン安などが金利凍結につながった。』

 基準金利はまたもや据え置きです。韓銀にしてみれば、利下げはウォン安とインフレーションを促進し、利上げは景気停滞と国民の利払い負担を増強しますので、無理もないとは言えます。
 まあ一言で言えば、どこかの国と同じくスタグフレーションなわけです。
 本日は、KOSPI、韓国ウォン、債権の全てが下がる、見事なまでのトリプル安に終わりました。
 昨日のモルガンスタンレーの報道にもありましたが、韓国はとにかく、国、銀行、国民の三者が借金まみれで、バランスシートが歪んでいる状況です。韓国の対外債務は外貨準備高の額を遙かに越え、恐らく今期中に純債務国に転落するでしょう。銀行は、手持ちの預金の1.3倍以上を貸し出しており、国民の所得は10%近くが利払いに費やされています。
 バランスシートが毀損している状況で(いや、だからこそ)、通貨下落が続いているわけです。一昨年末から予想してきた状況が、刻一刻と近づいている予感がします。1ドル1100ウォンを越えると、そろそろ「通貨危機」という単語が使われ始めるのではないでしょうか。

 人気ブログランキングに参加してみました。よろしければ、↓このリンクをクリックを。
http://blog.with2.net/in.php?636493  

 新世紀のビッグブラザーへ blog 一覧は↓こちらです。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/blog.html