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 本日は予告通り、多数のコメントを頂戴した「日本経済のティッピングポイント」の続編です。前回頂いたご質問にも、できる限りお答えしたいと思います。
 まずは昨日タイミング良く報道された、ブルンバーグのOECD報道から。

『OECD経済見通し:日本経済はリセッション回避へ-内需が好調
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003017&sid=asJlqOViNxJg&refer=jp_news_index
 6月4日(ブルームバーグ):経済協力開発機構(OECD)は4日、日本経済がリセッション(景気後退)を回避するとの見方を示した。住宅投資の回復と賃金上昇が内需を押し上げるという。
 OECDは半年ごとに公表する最新の経済見通し報告書で、日本について、「世界的な経済成長鈍化と円高を受け、輸出は減速する可能性が高いものの、内需にリセッションを回避するだけの十分な勢いがある」と指摘した。「生産の伸びは幾分鈍化するものの、賃金上昇と住宅投資の回復は08年の景気拡大の支えとなるはずだ。成長率は09年に上向くと見込まれる」という。
 日本の住宅着工は昨年、改正建築基準法に伴う着工前審査厳格化の影響で、約40年ぶりの低水準となったが、政府は昨年11月にこの規制を緩和。このため住宅着工は回復に向かっている。また、企業は今年4月の改正パートタイム労働法の施行をにらみ、昨年10月から正社員の採用を増やしてきた。
 報告書は、「08年第1四半期(1-3月)の賃金上昇は、正社員向けの報酬引き上げと賃金の低いパートタイム雇用への依存の終わりを反映しており、賃金上昇の大きな足かせが外れた」としている。日本の経済成長率は、08年が 1.7%、09年が1.5%と見込んでいる。
 OECDは日本銀行に対し、物価上昇率が「しっかりとプラス」になるまで利上げすべきではないと呼び掛けた。「インフレ圧力は引き続き弱く、基盤となるインフレ率がしっかりとプラスになることを容認し、デフレに対する適切な影響緩和を確実にする必要がある」と説明した。
 財政については、日本政府に歳出を抑制し歳入を増やす政策を強化するよう促した。11年度までに国債費などを除いた基礎的財政収支、いわゆるプライマリーバランスの均衡を達成するとの政府公約の実現が「極めて重要」だとしている。 』

 要約すると
「世界的な経済の成長鈍化により(つまり、外需縮小により)、日本の輸出は減速する可能性が高い」
「賃金上昇と住宅投資の回復に引っ張られた内需により、日本経済自体はリセッション入りしない」
「日本のインフレ圧力は引き続き弱い」
 と、大枠ではわたしの主張(内需拡大により08年の日本経済は成長する。外需依存度は下がる)を裏付けてくれています。
 ところで、本ニュースに関する日経新聞の報道は、オンライン版は以下です。(要注目)

『日米欧など30カ国、1.8%成長に下方修正 OECD08年予測
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20080604AT3S0401G04062008.html
【パリ=瀬能繁】経済協力開発機構(OECD)は4日、世界経済見通しを公表した。日米欧など加盟30カ国の2008年の実質経済成長率を1.8%と、昨年12月時点の前回予測(2.3%)から下方修正した。07年より0.9ポイント低下する。08年の消費者物価指数(CPI)の上昇率は日米欧とも07年を上回る。当面は景気減速とインフレが同時進行するとの見方を示している。
 米住宅融資問題を発端とする市場混乱は「ピークを過ぎた可能性が高まっている」としつつ、「余波はしばらく世界経済の成長の足を引っ張る」と指摘している。
 見通しの下方修正の主因は米国経済。08年の実質成長率予測を前回の2.0%から1.2%に下げた。住宅価格下落やガソリン高が家計の資産・所得を目減りさせていると分析。08年4―6月期には0.5%(年率)のマイナス成長に転じ、その後も回復のペースは緩やかで、09年にかけて1%台の低成長が続くとしている。』

 おい!日本経済の好調予測がどこにも書いていないじゃん! 
 ちなみに、実は本日の日経朝刊に掲載された記事では、オンライン版の続きがあったりします。

『(09年にかけて1%台の低成長が続くとしている。以降)
 日本の実質成長率は08年を1.7%と前回から0.1ポイント上方修正した半面、09年を1.5%と0.3%下方修正した。輸出が減速し、設備投資が弱含む。ただ住宅投資が持ち直し、賃金の緩やかな上昇による個人消費の下支えという好材料にも言及。「内需は景気後退を回避するだけの充分な勢いがある」との見方を示した。』

 ・・・信じられますか? なぜ肝心の日本の実質成長率の話を(しかも、紙面には掲載しておきながら)オンライン版では削除したのでしょう。そんなに日本経済が好調を維持するのが、日経新聞にとって不都合なのですか?
 これって、所謂ソースロンダリングという奴ですね。もはや朝日新聞並に信用度が低下していると思いますよ、日本経済新聞は。
 ちなみに、前回の「日本経済のティッピングポイント」のコメント欄で「かむら」様に御指摘頂いた、【日本株上昇の条件整う】の日経のインタビュアーも、酷いものでした。

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_06.html#NikkeiJun2_08

 の記事から、日経記者(インタビュアー)の質問だけピックアップしてみます。

-米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題は峠を越えましたか。
-米国の製造業は新興国などへの輸出に支えられているようです。
-日本の景気にもマイナスですね。
-政府や日銀の景況判断は徐々に下方修正されているようですが。
-市場にはどんな影響がありますか。
-でも、輸出主導の日本企業にとって世界景気の減速は逆風。物価高で苦しむ人もいます。
-運用者としては企業の内向きの経営姿勢は気になりませんか。

 ・・・お前はそれほど日本経済にダメであって欲しいのか、と、読者が突っ込みたくなる莫迦っぷり。未だに日本企業が「輸出主導」などと戯れ言言っているし。日本企業の一体何%が輸出主導と言えるのか、データで示して欲しいものです。それで、50%切っていたら「嘘を言ってご免なさい」と謝るか、もしくは廃業して下さい、日本「経済」新聞。
 と言うわけで、日経の妄想(日本経済は外需依存なの!輸出がダメになれば、日本経済もダメになるの!だから諸外国、特に中国様との友好が必要なの!)を置き去りに、日本経済はさくさくと内需主導成長の方向に進み始めています。
 それでは、前回のコメントにご回答いたします。

■日本(東京)の鉄道の混雑について
 統計的に混雑度が緩和されているのが確かでも、ラッシュに巻き込まれればつらいのは確かです。但し、東京の生産性が高いのは、主要輸出手段が鉄道だから、ではありません。鉄道の存在そのものではなく、鉄道で多量の人間を効率的に運んでいるからこそ、高生産性が達成されているのです。もしも一車両に一人しか乗っていなかったら、鉄道の資源効率性は、自動車よりも遙かに劣ります。
 個人的には、ラッシュの問題は社会的な運用の問題だと思います。昼間の地下鉄にのると、大抵ガラガラですよね。例えば午前に仕事が集中しない業務の人は、午後から出勤を推奨するとか、ラッシュアワーを避けた通勤の定期券を割り引くとか、様々な手段が考えられるでしょう。要は、企業で働く人たちの柔軟性を向上させ、一定時間に乗客が集中しないようにする工夫を積み重ねるのが一番だと思うのです。

■果たして円高・軽度のインフレで、日本の個人消費は回復するか
 個人の所得があまり増えていない原因は、主に二つあると考えています。
(1)バブル崩壊後のリストラクチャリングで、正社員の減少と非正規社員の増加が起きた
(2)デフレーションの進行により、所得が伸びないデメリットが緩和された
 まず、(1)については、改正パートタイム労働法の施行により、非正規社員から正社員化への波が起き始めています。例えばキヤノンは今年三月、製造現場での派遣契約を年内に全面的に打ち切り、正規雇用に切り替えると発表しました。方向的に正しい(正社員化)の方向に行っているのは間違いなさそうに思えるのですが、いかがでしょうか。
 (2)についてですが、ドイツなどではインフレに対応するべく労働者が賃上げを要求し、企業もある程度は認めています。さすがにCPIが2%を超えると、企業側も賃上げのペースを加速せざるを得ないと予想しています。何しろ内部留保はたっぷりあるわけですから。CPIが上昇したにも関わらず、大企業が賃上げを認めない場合は、その時こそメディアは企業を徹底的に叩くべきだと思います。

 わたしは大げさでも何でもなく、日本の個人消費を活性化させることこそが、世界経済崩壊の防波堤になりうると考えています。
 以前も書きましたが、日本人の持つ現預金(キャピタルゲイン見込みでもなく、借金でもない、キャッシュ)の額は07年9月末時点で約750兆円。この額はアメリカ人が持つ現預金(589兆円)を上回っているのです。

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_04.html#Nichibe

 この莫大な真水(キャッシュ)を持つ日本の需要が盛り上がらなければ、アメリカ経済リセッション入り後の世界の需要は半端ない縮小を見せると思います。今時、誰もデカップリング論など信じていないと思いますが、疑問を感じられた方は、是非BRICs諸国の内需について調べてみてください。

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