三橋貴明診断士事務所を開設しました。お仕事のご依頼はこちらから http://takaaki-mitsuhashi.com/
2月28日発売予定の正論 2009年 04月号に「中国、韓国経済の惨憺たる実態」を掲載しています。
http://www.amazon.co.jp/dp/B001T2D6HC/
※お読み頂いた方は本寄稿に対する感想を、是非とも seiron@sankei.co.jp までお送り頂きたく m(_ _)m
予告! 日本の3月15日 田植え祭 続報をお待ちあれ!

 昨日は史上最高数(多分)となる御アクセスと膨大な応援のコメント、誠にありがとうございました。御存知の通り、筆者はあまり夜更かししないタイプでございますので、わざわざ23:55に目覚ましをかけてアクセス数を確認させて頂きました(12,970人でした)。Yahoo!ブログはネットの数字になりますので、実際に一日に一万三千人の方に御来訪頂いていることになります。
 これはかなり凄い数字に思えるのですが、どのくらい凄いのか今ひとつ実感がありません。なぜかといえば、比較対照がないからですね。同じ条件でアクセス数を比較するには、他のYahoo!ブログと比べるしかありません。本ブログは全Yahoo!ブログにおいて、大抵は「こうちゃんの簡単料理レシピ」「Happy Life Style」に次いで三位をキープしていますが、上位二つはユーザー層が全く違うので、おそらく抜くことはできないでしょう。
 
 さて、突然話が変わりますが、浦沢直樹原作の「20世紀少年」が映画化され、大ヒットしています。原作であるコミックの方は読んでいたのですが、途中若干の中だるみがあったと記憶しております。それに比べて映画の方はスピード感に溢れ、原作を知らない人でも楽しめる傑作になっていると思います。
 この「20世紀少年」の敵役である"ともだち"が、なぜ恐怖を呼ぶのかといえば、ずばり「正体が分からない」からです。正体が分からない"ともだち"が、あのくぐもった声で「け~んじく~ん、あそびましょ~う」とやるから怖いのであって、"ともだち"が誰かが分かってしまえば怖さは格段に下がります。
 かように、人間は「正体の分からないもの」「よく分からないもの」に対して恐怖を覚えます。具体的に書くと、経済指標のことなのですが、
GDPが年率換算で対前期比12%超の減少になったっ!
 とだけ言われると、余程知識が豊富な人でない限り、普通は恐怖心を抱くでしょう。GDP年率換算12%超の意味が、「よく分からない」からです。恐らく聞いた人は「12%も減少!」という印象だけが記憶に残り、意味も分からない割に(いや、だからこそ)怯えるだけなのではないでしょうか。
 これが「年率換算」の意味をきちんと説明され、かつGDPをブレイクダウンして具体的に「何」が悪かったのかを説明されると、「あ~あ、な~んだ」となるわけです。(当ブログ「輸出バブルの消滅」シリーズ参照)
 本来は、この「よく分からないから怖い」"ともだち"の正体を説明するのがマスメディアの仕事だと思うのですが、日本の新聞やテレビはセンセーショナリズムだけを求めるので、我々は大変困った状況になっているわけです。
 そもそも「年率換算12%超の減少!」と騒ぐのであれば、GDPが上昇したときも「年率換算」で見出しを書くべきです。無論、日本のGDPが成長したときに、マスメディアが「年率換算」で報道したことなど、これまでに一度もありませんでした。
 何でこんな話をしているかと言えば、韓国の2月の貿易統計が面白い数字になったからです。

2月の輸出17%減少も、33億ドルの黒字
http://japanese.yonhapnews.co.kr/economy/2009/03/02/0500000000AJP20090302000900882.HTML
 2月の輸出が前年同月比17%以上減少しながら、貿易収支は33億ドルに迫る黒字を記録した。
 知識経済部が2日に明らかにしたところによると、先月の輸出は258億4800万ドル、輸入が225億5300万ドルで、貿易収支は32億9500万ドルと暫定集計された。2007年6月(34億9000万ドル)以降で最大の黒字幅となった。2月の輸出は前年同月に比べ17.1%減少したが、輸入が30.9%急減し2005年8月(220億ドル)以来の低数値を記録したことが、大規模黒字の原因となった。1月と2月を合わせた貿易収支も6100万ドルの赤字と、赤字幅が大幅に改善された。(後略)』

 国内のマスメディアは、日本の悪い話はセンセーショナルに報じ、良い話はスルーします。ところが、こと韓国の話になると、今度は良い話だけをセンセーショナルに報道する気持ちの悪い習癖があります。上の連合ニュースの記事も、「韓国の2月の貿易収支 33億ドルもの黒字に!2007年以降最大!」などという阿呆な見出しで報じる可能性がありますので、注意して見てみてください。
 2月の韓国が貿易黒字になったのは、輸出が増えたからではありません。当ブログで散々説明してきた「縮小成長」、すなわち輸出減にも関わらず、輸入がそれ以上に激減してしまったために、貿易収支が黒字になっただけなのです。
 韓国の輸入激減とは、すなわち企業の生産活動のために必要な資本財の輸入減少を意味しますので、今後は劇的に輸出規模と生産活動が収縮していくことになります。(既にしていますが) 御存知、韓国の輸出依存率は四割近いので、今期の韓国の経済成長率は昨年第4四半期の比ではない、物凄いことになる可能性が濃厚というわけです。

後編に続く
http://blogs.yahoo.co.jp/takaakimitsuhashi/25141243.html