コミュ力が低くて人間関係が苦手な僕は基本的に一人でいるのが楽だったりする。しかし誰とも話すことがないとやはり寂しいし孤独感を感じてしまう。自分でも面倒な気質だと思っている。まあいわゆるHSPというやつだ。

 

とにかく人に伝えるのが下手だし、劣等感を持っているので当然会社のコミュニケーションは苦手だった。年齢や肩書が上の人とどう話したらいいのだろうか?下手な発言をしてしまうと、今後嫌な役回りをやらされるかもしれない。かといってポジティブなことを言っていると気に入られてしまい、出世してしまう可能性もある。そうコミュ力が低い人間にとっては出世は必ずしもいいことではないのだ。そうなったら確かに収入は増えるかもしれない。肩書が自信をくれるかもしれない。ただそれと引き換えに強烈なストレスもあるだろう。自分から行動していかなければならない。つまり積極的なコミュニケーションを求められるのだ。それができないともちろん注意されることになる。苦手としているコミュニケーションを積極的に取り、それが当たり前と思われるわけだ。これはキツイ。常に勇気を持って頑張っている状態を維持しなければならない。かなりのストレスだ。もちろん成長できるチャンスではあるのかもしれない。ただ僕は上司を見てきている。部長クラスから叱責を受けている上司。さらに昇進したけど、そのプレッシャーからか鬱病になってしまった先輩。こうしたことを見ていると今のままではいけないと感じる。今の自分に何ができるのか。

 

僕がやったのはとりあえず、勉強だ。自分が感じているこの生きづらさを知ることから始まる。そしてどう向き合っていくべきかを学ぶのだ。本を何冊も読み理解を深めていった。代表的な本は「嫌われる勇気」というアドラー心理学に基づいた本になる。この本はベストセラーにもなっているらしい。ここから分かるように自分が悩んでいることはほかにも多くの人が悩んでいるということだ。実際に生活していて悩みを共感したりする機会はほとんどないので分からないが意外と周りにもいるということになる。それだけでもちょっと心が楽になる気がする。

 

本を通して考え方の偏りを正して、そして正しいコミュニケーションの取り方を学ぶ。すると何が見えてくるのかというと普段接して嫌だなと感じたり、苦手と感じる人っていると思うけど、それって自分に問題があるからではないということが分かる。勉強するまでは自分のコミュ力が低いからそうなっていると思っていたけど、そうではない相手に問題があるということが理解できるのだ。すると自分を責める必要が無くなり、メンタルが安定することにつながる。

 

一人りが楽だということで今までの人間関係もかなり希薄になっていて一番の親友は突然亡くなり(病気)心の支えを失った僕は腐ることなく、学び行動した。

 

大好きな釣りをしながら何ができるだろうかと考えて、そこで話しかけることを始めた。それが昨年の事だ。積極的なコミュニケーションが苦手な僕にはいい練習になると考えた。ただ目標を持って取り組まないとだらだらとしてしまうと思い、事前にその日の目標を掲げて取り組んだ。釣りに集中したいと思いながらもそれだとただ遊んでいるだけで成長できないと思ったのでしっかりと話すことにも時間を割いた。最初はもちろん緊張した。見た目がイカツイ人もいる。ただ共通の話題があるので見た目にビビることなく話しかけていった。そうしている自分が今までずっと見た目で人を判断していたという事実に気が付いてくる。見た目はイカツイ人でも意外と普通の人だったりする。積極的に話しかけたから得られた成果だ。

このトレーニングで普段から人の見た目に惑わされることなく、対等に話せるようになれるんじゃないかと期待している。

 

昨年から取り組んでいるので釣り場に行くと、以前話した人と会う確率が上がっている。

そして当たり前のように声をかけて楽しく会話している。

僕は学校や会社くらいしか密接なコミュニケーションを取ったことがない。しかし自ら考えて行動したことで家から十数キロは離れた河川でそうしたコミュニケーションが取れている。

その日はその人と一緒にしばらく釣りをした。自分の力で作り上げた関係なので本当に嬉しいと思った!

そして午後からは別の河川に一人で行って、いつものように釣り人に話しかけながら釣りをしていた。

車に戻ろうと先ほど話しかけた人の横を通った時にその人が話しかけてくれたのだ。行きで話したときは2ターンくらいで会話が終わってしまったけど、次は違った。午前中はどこ行ってきたの?と聞かれて話しているとあることに気が付く。

乗っている車、そして、その人が午前中に行っていた場所、だんだんと思い出してきた。そう、その人は昨年の秋に話したことのある人だったのだ。

またしても過去に話したことのある方と出会ったのだ。同じ釣りを趣味としていると同じ場所に通うのでこうしたことがある。

釣りに関してではあるがこうして年齢も仕事も収入も違うと思われる人と対等に会話できるとちょっと自信になる。

 

中学校の時に「経済力の差だな」と馬鹿にされてからどこかお金のある人に対して苦手意識を持っていた。そうでない人を馬鹿にするイメージを持ってしまったのだ。

この日の最後に会った人が乗っていたのは新型のアルファードだ。明らかに高級ミニバン。しかし全く嫌な感じがしなかった。人を見下したりすることなく対等に話してくれた。

僕が中学時代に植え付けられた意識の修正をしていかなければならない。

 

そして何よりこうして繋がりを感じられるとそこに居場所ができているような気がする。自分の事を知ってくれている方がいるだけで居場所になる。そしてその居場所を自分の行動から見つけられたのは大きなことだと思う。

なかなか共通点が無いと話しをするのは難しいけど、偏見を持つことなく対等に接することが人間関係においては大事だと思った。人に見下されるのを恐れて、勝手な偏見を持ちコミュニケーションを取らないということがあるけど、まずは話してみることかもしれない。そして合わなければそれまでだということだ。恐れずに行きたいと思う。