「荒木飛呂彦の漫画術」 | タカタカ先生の高望み日記

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我が精神を支える愛読書でもある名作漫画「ジョジョの奇妙な冒険」。




1987年の開始より総連載期間は25年を超え、単行本の巻数は100巻以上にのぼるロングセラー作品です。現在はウルトラジャンプにて第8部が連載中。




「奇妙な」という名の通り、独特な雰囲気を醸し出す世界観は一見癖があり、万人ウケはしないけど、好きになる人はとことんハマるという印象があります。



全シリーズを通して、「人間賛歌」をテーマとしており、魂に響く言葉に勇気をもらうこともしばしばあります。



当ブログの締めの言葉として使っている「アリーヴェデルチ」を決め台詞にしている第5部のブローノ・ブチャラティの名言にもずいぶん救われました。





本日はそんな人気漫画「ジョジョ」の作者である荒木飛呂彦先生が最近執筆された書籍をご紹介します。







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タイトルの通り、本書は荒木先生が漫画家を志す者に向けて書いた指南書的な一冊。




絵の描き方だけでなく、いかにキャラクターを作り、世界観を生み出すか、アイデアからどうストーリーを構成するか、といった漫画を読む側が普段意識していないところも詳細に説明されています。



よく「異色」だと思われがちなジョジョですが、荒木先生は序章で「『ジョジョ』は王道漫画だ」と断言しています。



私は漫画作りに関しては詳しくはありませんが、本書の内容は非常に論理的であり、素人目から見ても納得できるものでした。




また、編集者の目に止まる作品の特徴や作り方も書かれており、漫画家志望の方にとっては目から鱗なのではないでしょうか。





もちろん、私自身は漫画家を目指しているわけではありません。




しかし、「賢者は他人の経験に学び、愚者は自分の経験に学ぶ」というビスマルクの言葉にもあるように、自分とは異なる分野の人の経験から貴重な気づきを得ることが往々にしてあるものです。



荒木先生も序章でこう述べています。



(はじめにより引用)


ただし、「王道漫画の描き方」は漫画に限らず、もっと普遍的なハウツーであるようにも思います。キャラクターやストーリーを作るというところで、小説や映画脚本の書き方にも通じる部分が多いですし、絵の描き方ということではもちろん絵画にも、それからアイディアをどう見つけるかということでは他の仕事にも関わりがあるでしょう。世界の構造を考えるという視点は、科学や、社会の仕組みを考察するときにも共通するように感じます。


(引用以上)



非現実世界も含め、幅広い世界観を作るための取材力、キャラクター作りのための身上調査書、アイデアの作り方等はとても興味深かったです。



膨大な情報量のインプット&アウトプットし、次々に作品につなぐ想像力を考えると人気漫画家を今まで以上に感じるようになりました。



本書を読めば、漫画を見る目が変わるはず。




アリーヴェデルチ。




【タカタカチェック】

●実際に漫画を描くとき、常に頭に入れておくべきこと、それは、僕が漫画の「基本四大構造」と呼ぶ図式です。
重要な順に挙げていくと、

①「キャラクター」
②「ストーリー」
③「世界観」
④「テーマ」

ということになります。
この四つは、それぞれ独立して存在するのではなく、互いに深く影響を及ぼし合っています。そして、これらの要素を増補し、統括しているのが「絵」という最強のツールで、さらにセリフという「言葉」でそれを補う図式になります。



●キャラクターは超重要事項だということ、人真似はダメだということを頭に叩き込んだ上で、自分がこれから描く漫画のキャラクターに必要な条件はいったい何なのか、絵を描く前に、まずイメージを作る必要があります。

この時に一番大事なのは「動機」です。主人公は何をしたい人なのか、その行動の動機をはっきり描かないと、キャラクターというものは出来上がっていきません。「人がなぜ行動するのか」を描くのは非常に重要なで、ここが曖昧だと、読者は主人公に感情移入できないのです。

たとえば、『ドラゴンボール』の「悟空」の動機は「どんどん強くなりたい」という、シンプルかつ男の子なら誰もが思う非常にわかりやすいもので、この「強くなりたい」という動機を、「なんのために強くなりたいのか?」「強くなって何をしたいのか?」という形で深めています。だからこそ読者は主人公と共に一喜一憂できるわけです。



●キャラクターを作るときは、絵にする前に、必ず身上調査書をかくことにしています。これは、『ジョジョ』の連載が始まる前から40年以上続けていることで、僕にとっては「秘伝のたれ」のようなものです。この身上調査書があれば、「最初は運動が苦手という設定だったのに、戦っている間に急に機敏になってしまう」といった、キャラクター造型に矛盾を感じさせる事態を防ぐことができます。



●いつも自分の周りで見聞きしたことで「おもしろいな」と思ったことをメモしておき、アイディアノートにまとめる習慣を続けています。ただ、「おもしろいな」と思っても、その場てはメモをとりません。後になって「何をおもしろいと思ったんだっけ」と忘れてしまうこともしょっちゅうありますが、忘れるようなものはたいしておもしろくない、と考えているのでそれほど気にしません。本当におもしろいものであれば、そのうち思い出すに違いないからです。

大きく分けると、「おもしろい」と思ってメモする内容は三つに分けられます。

①自分がよいと思ったこと
②自分とは違う意見や疑問に思う出来事、理解できない人
③怖い出来事や笑える出来事、トラウマになりそうな出来事