UFC186 | タカタカ先生の高望み日記

タカタカ先生の高望み日記

格闘技・スポーツ指導の気づき、
運動・健康についてのお役立ち情報等を発信します。


日本時間の4月26日(日)午後1時頃、カナダ・モントリオールで開催された「UFC186」に日本の堀口恭司選手(KRAZY BEE/同級7位)が王者デメトリアス・ジョンソンの持つUFC世界フライ級タイトルマッチに挑戦しました。

 

先週はムエタイで梅野源治選手が日本人初のルンピニースタジアムのタイトルを懸けて戦いましたが、こちらも日本人初のUFCチャンピオンという歴史的快挙を懸けた大一番です。

 


格闘技をあまり知らない方のために、どれくらいすごいことなのか少し説明します。

 


まず、当ブログでも度々話題にする「UFC」(=Ultimate Fighting Championshipの略)とはアメリカのMMA(総合格闘技)団体であり、総合格闘技という競技の草分け的存在でもある歴史のある団体です。

 

2007年までは世界最高峰の大会として、日本の「PRIDE」と双璧をなしていた形ですが、PRIDEを始め、ライバル団体を次々と買収・合併し、今では世界的に1強状態になりました。

 


PRIDE消滅後、世界各地で数多くの団体の興亡しましたが、現時点でMMAの頂点に君臨している団体であることには疑いの余地もありません。

 


団体の格付け的な評価が抜けているため、「UFCのチャンピオンがその階級の世界最強である」、というのがMMAにおける共通認識にすらなっており、世界中のファイターが目指す大舞台なのです。

 


MMAという競技自体も、PRIDE消滅後の日本格闘技界が低迷する一方で世界的には非常に人気が高まり、メジャースポーツとしての市民権を得ました。

 

競技人口の拡大、技術レベルの向上、新世代の台頭。

 


かつてPRIDEで世界の頂点を競い合った選手たちは、新しい波に飲まれています。

 

格闘技ブーム全盛期のスターだった日本人選手たちも輝くことができずに苦しんでいます。

 

 

堀口選手は私も参戦する修斗で、プロ格闘家のキャリアをスタートさせ、爆発力のある打撃を武器にKOを量産、修斗世界フェザー級王者に上り詰めました。

 


格闘家は自分の練習もあるので、よほど大きな興行でもない限り、仲間の応援やサポーツ以外で会場に足を運ぶことは少ないと思います。

 


しかし、修斗時代から堀口選手は身内が出場していない選手も試合を観に行きたいと思わせる存在でした。

 


もし、格闘技バブルといわれていた頃に彼がいたなら、師匠である山本KID徳郁選手のようにものすごく注目を集めていたんだろうと思います。

 


それくらい華があり、インパクトのある試合をする選手なのです。

 

{5CD4F722-4E37-4470-86EC-F9E8842DF155:01}
 


しかし、それでも世界の壁は厚かった。

 

圧倒的な打撃力を誇る堀口選手に対し、王者デメトリアスは前後左右に揺さぶるような素早いフットワークから、多彩な打撃、スピートのあるタックルを繰り出し続けます。

 

的を絞らせずにテイクダウンを狙い、壁に押し込む王者。
金網を背に必死に防ぐ挑戦者。

 

何度も押し込まれる攻防を続けるうちに、さすがの堀口選手も消耗してきたのか、タックルで完全にテイクダウンを奪われるシーンが増えてきます。

 

グラウンドでさらに削られ、スタンドでのスピードもなくなってきた堀口選手。

 


何とか1発逆転のパンチを当ててくれ――――。

 


という願いも無残に挫く、終了間際のデメトリアスのテイクダウン。

 


最後はサイドから削って、嫌がったところをマウントに移行し、電光石火の腕ひしぎ十字固めでタップアウトを奪った王者。

 


なんと、試合時間残り1秒での劇的な幕切れ。

 


あのまま押さえ込んでいるだけでフルマークの判定勝ちは揺るぎないにも関わらず、最後の最後まで一本を狙い、完全勝利を目指した王者に本物のプロフェッショナルを見ました。

 

 

正直、戦前は総合力では敵わないけど、堀口選手はやってくれるはず!という日本格闘技界の期待が大きかっただけに、ここまで光を消されるのか………というショックが大きかった。



{B7546432-4368-4106-831B-87325320AC20:01}

 


堀口選手は格闘家としてのキャリアで2敗目。前回の敗戦は、プロ修斗で上田正勝選手に敗れたものですが、それ以降は苦手な部分を磨いて大きく飛躍しました。

 

この敗戦が未来のチャンピオンロードに繋がると信じています。

 

 

アリーヴェデルチ。